調べ・見立て

編集長の「見立て」。
スーツはネイビーが第一選択。ではグレーの役割は?

2018.01.19

山本 晃弘

写真・図版

メンズファッションの専門家は、「ネイビー、グレー、ブラウン。これが、男の装いの三原色だ」と言います。この三色のなかで、ブラウンは休日の装いのイメージが強く、黒髪の日本人に似合いづらいこともあって、ビジネススーツに採り入れるのは難しいものです。最近では、ブラウン系のカラーであるベージュの玉虫色が美しいソラーロ素材のスーツを提案しているセレクトショップも増えました。着用してみると、とてもおしゃれな印象になりますが、ビジネスウエアとして一般的に認知されるには至っていません。社外でのアポイントメントのない日に着てみる、といったところにとどめておいたほうがいいでしょう。

となると、ビジネススーツはネイビー、もしくはグレーの二択となります。では、どちらを選ぶのがいいのでしょうか。それぞれの色に特性がありますので、解説していきましょう。

まず、ネイビー。知的、精悍(せいかん)、爽やかというイメージがあり、誰からも好かれる色のため、ビジネススーツでは絶対的な第一選択となります。ネイビーにも濃淡があり、濃い色ほどフォーマルなイメージ。学生服やユニフォームにダークネイビーが使われるのは、そのためです。明るめのネイビーは夏のスーツに選びたい素敵な色ですが、フォーマル度が下がるため、着るシーンに気を付けてください。

2017年12月18日付の「調べ」記事のアンケートとして、「今年の冬、買いたいスーツは?」と問い掛けました。約1カ月を経て、1月12日現在の結果を見ると、「ネイビーストライプ44%」「ネイビー無地27%」となっています。スーツの市場では、ネイビーの人気はここ数年ずっと続いています。ストライプと無地を合わせると71%という高い支持率のアンケート結果も、市場の売れ行きと符合します。

ただ、ストライプへの支持が44%と、無地27%を上回ったことは意外でした。ネイビー無地は、年齢を問わず着こなせるため、常に第一選択肢と考えられてきたのです。ただ、そういった圧倒的な人気を背景にして、「ネイビー無地は既に何着かもっている」という状況が生まれていると見立てることができます。はっきりとしたストライプ柄に抵抗があるビジネスマンには、織りでストライプを表現したシャドーストライプも候補になるでしょう。

次に、グレー。優しくて、やわらかい雰囲気を感じさせる色です。ネイビーがスピーディーに仕事を進める印象を感じさせるとしたら、グレーは落ち着いてじっくりと仕事に取り組むイメージ。色に濃淡があり、ダークなものほどドレッシーに見えるのはネイビーと同様です。なかでもチャコール(英語で炭の意味)グレーと呼ばれる濃い色は、照明によっては黒に見える場合もあって、とてもシックな雰囲気を感じさせます。

ネイビーもグレーも、ビジネウエアで選ぶべきは無地もしくはストライプのみ。今回のアンケートで「グレーチェック」と答えた14%の方は、千鳥格子やウインドーペーンといった古典柄のスーツを選択肢と考えているのかもしれません。ただ、よほどのおしゃれ上級者でない限り、ビジネスウエアとして着用するのは避けたほうがいいと思います。

ネイビーとグレー。色のイメージの違いを考えながら、用途によって使い分けるのが賢い方法です。営業先でビジネスの話を進めるとき、社内で企画をプレゼンテーションするとき。こういうシーンでは、知的で精悍なネイビーがいい。一方で、営業先でフランクな話をするとき、部下との面談に臨むとき。こうしたシーンでは、やわらかさを感じさせるグレーが最適です。こう考えてくると、仕事を進めていく普段のスーツはネイビー、協調性が求められる会議の日にはグレー。これが、目安となりそうです。

もうすぐ、2月。そろそろ春夏物の新作スーツが売り場に並ぶタイミングです。自分の手持ちのワードローブにあるスーツの色を確認しながら、購入するスーツの色を決めることをおすすめします。

プロフィル
山本晃弘(やまもと・てるひろ)
AERA STYLE MAGAZINE編集長
「MEN’S CLUB」「GQ JAPAN」などを経て、2008年4月に朝日新聞出版の設立に参加。同年11月に、編集長として「アエラスタイルマガジン」をスタートさせる。雑誌の編集の傍ら、朝日新聞や朝日新聞デジタルに掲載する、ファッション&ライフスタイル系の広告コンテンツや動画の制作も手がける。現在はトークイベントを通じて、ビジネスマンや就活生にスーツの着こなしを指南するアドバイザーとしても活動中。

Illustration:Akira Sorimachi

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