腕時計

SIHH2018 ジュネーブサロン・レポート
ヴァシュロン・コンスタンタン

2018.02.15

SIHH2018 ジュネーブサロン・レポート<br>ヴァシュロン・コンスタンタン

新作時計の初春到来を高らかに告げる恒例の「SIHH(ジュネーブサロン)」が1月15日から19日まで開催された。昨年は毎年3月に実施される「バーゼルワールド」からジラール・ペルゴとユリス・ナルダンが移行。今年もエルメスが新しく参加したほか、カレ(Carré des Horlogers)と呼ばれる特設会場に17ブランドが出展。大型パビリオンを構える18ブランドと合わせて、過去最多となる35ブランドが競演した。ラグジュアリーな雰囲気の中で静かな熱気が漂う会場で発表された新作から、魅力的なモデルを紹介していこう。

エントリープライスでスーツ姿を格上げしてくれる「フィフティーシックス」

ヴァシュロン・コンスタンタンはジュネーブに拠点を置く最古のマニュファクチュールであり、今年のSIHHでは何と億単位という仰天価格のユニークピース(1本だけの限定製作)を2本発表。15または16種類にも及ぶ複雑機構だけでなく、ケースのエングレーヴィングなど装飾技法でも卓越した最高峰のモデルだ。

レギュラーモデルも高品質でノーブルな品格を備えており、それだけに高額なのだが、このブランドでは画期的ともいえるエントリー的な新コレクション「フィフティーシックス」がデビューした。いきなり価格を紹介するのも恐縮だが、最もベーシックな「オートマティック」のセンター3針モデルで、ケースがステンレススチールなら133万円(税抜き予価)。新開発の自社製自動巻きムーブメントを搭載しており、シースルーのケースバックから見られるローターは22Kピンクゴールド。針とアプライド(植え込み)のインデックスも18Kホワイトゴールドという本格派だけに、同ブランドでは破格というほかないリーズナブルプライスなのである。

1956年に発表されたアイコニックなモデル「リファレンス6073」をイメージリソースとして「フィフティーシックス」=56とネーミングされたのだが、シンボルのマルタ十字をケースシェイプにアレンジ。ボックス型のサファイアクリスタル風防に、アラビア数字とバーインデックスを交互に配したダイアルなど、シーンを選ばずタイムレスに愛用できるレトロモダンなスタイルになっている。

前述した「オートマティック」に加えて、「デイ/デイト」「コンプリートカレンダー」の3タイプいずれもステンレススチールと18Kピンクゴールドのケースをラインアップ。中でも「デイ/デイト」は、3時位置に日付、9時位置に曜日をサブダイヤルにしたポインター表示であり、とりわけ個性的といえるだろう。6時位置のパワーリザーブ表示もアクティブなアクセントだ。ヴァシュロン・コンスタンタンのアイデンティティを継承する優雅な気品でスーツを格上げしてくれる、ビジネスマンには大注目の新コレクションではないだろうか。

  • 400_4600E_000A_B442_SDT_tr_1
    「フィフティーシックス・オートマティック」。自動巻き(キャリバー1326)、パワーリザーブ約48時間、ケースはステンレススチール、直径40㎜、厚さ9.6㎜、3気圧防水、\1,330,000(税抜き予価)、9月発売予定。
  • 400_4400E_000A_B437_SDT_tr_1
    「フィフティーシックス・デイ/デイト」。自動巻き(キャリバー2475 SC/2)、パワーリザーブ約40時間、ケースはステンレススチール、直径40㎜、厚さ11.6㎜、3気圧防水、\1,970,000(税抜き予価)、9月発売予定。

掲載した商品はすべて税抜き価格です。

問/ヴァシュロン・コンスタンタン 0120-63-1755

プロフィル
笠木恵司(かさき けいじ)
時計ジャーナリスト。1990年代半ばからスイスのジュネーブ、バーゼルで開催される国際時計展示会を取材してきた。時計工房や職人、ブランドCEOなどのインタビュー経験も豊富。共著として『腕時計雑学ノート』(ダイヤモンド社)。

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