旬のおすすめ
この人から買いたい。
山口ストアー 山口拓治さん
2017.09.12

関西の服好きに「大阪でおもろいセレクトショップはどこ?」ときくと、必ず名前が挙がるのが南船場の大阪農林会館ビルの「山口ストアー」だ。店名からしてユニークだが、ショップが入っている大阪農林会館ビルというのがまた1930年に建てられた古いアンティークビルで、それだけでもう期待感が増す。レトロなエスカレーターで4階へ上がり410号室の扉を開けると、白を基調とした古いヨーロッパのアパートメントのような店内には、店主の山口拓治さんのセレクト眼にかなった洋服や小物がセンスよく並べられている。
「基本はネイビーやグレーを基調とした、いわゆる昔でいうフレンチアイビーでしょうか。まぁでもブランドやスタイルにはこだわらずに、僕が着たいものをセレクトしています」
そう語る山口さんは、大阪で某大手セレクトショップに12年勤めたあと、「着る人が幸せになれる服」をコンセプトに同店をオープン。意外にも出身は関西ではなく九州で、ユニークな店名は九州の実家が経営していたスーパーマーケットの屋号なのだそうだ。
「九州では熊本がとにかくおしゃれな街で、学生時代にパーマネントモダンの有田さんがまだブレイズというショップをやっていたころから通い詰めて、有田正博さんのお店でいろんなファッションを学びました。僕のファッションの原点はまさにそこでしょうね」
熊本のパーマネントモダンとは、日本で最初のセレクトショップと呼ばれている伝説のショップで、オーナーの有田正博氏はセレクトショップの原形を作った人と言われている。山口ストアーの商品セレクトセンスの原点はそこにある。定番のアメリカ製のデニムの横にデットストックの軍パンが並んでいたり、まだ知られていない若い日本人デザイナーのブランドと大御所のドメスティックブランドが一緒にハンガーに掛かっていたり、見たこともない欧州のワークシューズがあるかと思えば、オールデンはモデファイラストとミリタリーラストしか置いていない。ほかの何スタイルでもないブランドミックスの最高のお手本は、店主の山口さんの着こなしだ。なにしろここは山口ストアーなのだから。

おすすめ01/マンドのダブルジャケット
服好きをうならせる確かなテーラーリングとエッジを効かせたデザインが人気のマンド。フレンチアイビーなメタルボタンのダブルのジャケットは、一見ウールのようだが実は化繊。¥65,000

おすすめ02/マンドのベルト付きパンツ
ダブルのジャケットと合わせればセットアップではけるマンドのベルト付きパンツ。シルエットはマンドらしいエッジの効いたサルエルパンツ。くるぶし丈で。¥29,000

おすすめ03/マンドのチェックジャケット
秋一番に着てみたいマンドのグレンチェック柄ジャケット。軽いアンコン仕立てなのでインナーには上質なカットソーを合わせてもいいだろう。¥58,000

おすすめ04/マンドのチェックパンツ
マンドらしいエッジの効いたグレンチェック柄のサルエルパンツ。同柄のジャケットと合わせてセットアップでノーベルトではくのが今の気分だ。¥29,000

おすすめ05/エスのサファリジャケット
新進ドメスティックブランドのES:S(エス)から、今シーズンのトレンドでもあるサファリジャケットをセレクト。コットンキャバでミニマムなデザインがフレンチシック。¥39,000

おすすめ06/コノロジカのストライプシャツ
某大手セレクトショップ出身の女性デザイナーが手がけるドメスティックブランド「キクスドキュメント」のハイエンドライン「コノロジカ」。上質な黒のロンドンストライプのドレスシャツを洗いざらしで。¥23,000

おすすめ07/ツキのカットソー
いまはなき人気ドメスティックブランド「ノリコイケ」でアシスタントを勤めていた女性デザイナーが始めた「tuki.s」。上質な着心地のカットソーはノリコイケ譲り。¥15,000

おすすめ08/インディビジュアライズドシャツの丸襟シャツ
山口ストアー別注「インディヴィジュライズドシャツ」のオックスフォードシャツ。BDではなくラウンドカラーというのが店主の山口さんのこだわり。¥24,000

おすすめ09/コモリのネルシャツ
人気のドメスティックブランド「コモリ」もビッグシルエットがはやる前から扱っている。ジャンルレスなライトネルシャツもゆったりめに着る。¥24,000

おすすめ10/デッドストックのカーゴパンツ
希少な1950年代のM-47デッドストック。モードにもカジュアルにも着られる軍パンのマスターピースだ。¥17,000

おすすめ11/ハンドルームのコーデュロイパンツ
元タブロイドニュースのデザイナーが新たに立ち上げた注目のドメスティックブランド「ハンドルーム」から、ウディ・アレンのようにはきたい太畝のコーデュロイパンツ。¥22,000

おすすめ12/リッチフィールドのデニムパンツ
オールデンに白いドレスシャツにジーンズ。そんな“大人に向けた、主張しすぎないデザイン”がコンセプトの新進デニムブランド「リッチフィールド」。信頼のメイドイン岡山だ。¥22,500

おすすめ13/ウィリアム レノンのスニーカー
1899年創業の英国の老舗ハンドメイドブーツメーカーからセレクトしたのは、珍しいサイクリングシューズ。ウールパンツに合わせてレザースニーカー風に履きたい。¥49,000

おすすめ14/オールデンのレザーシューズ
「オールデン」モデファイラストの黒のプレーントウ。山口ストアーの服はすべてこの靴に合うようにセレクトしていると言っても過言ではない。¥94,000

おすすめ15/インディビジュアライズドシャツの各種タイ
「インディヴィジュアルドシャツ」からデニム素材のナロウタイとリボンタイ。トラッドアイテムをモードに着崩すのが山口ストアー流。ナロウタイ各¥13,556、ボウタイ各¥12,000
掲載した商品はすべて税抜き価格です。
プロフィル
いであつし(いで・あつし)
数々の雑誌や広告で活躍するコラムニスト。綿谷画伯とのコンビによる共著『“ナウ”のトリセツ いであつし&綿谷画伯の勝手な流行事典 長い?短い?“イマどき”の賞味期限』(世界文化社)は、業界関係者にファンが多い。
Photograph:Akio Sekine
Text:Atsushi Ide