紳士の雑学

大人のパーティーウエア講座。
【第1回】ブラックタイ

2017.12.15

大人のパーティーウエア講座。<br>【第1回】ブラックタイ

年末年始は、言わずと知れたパーティーシーズン。ドレスコードが記された招待状を受け取ることも少なくないだろう。どんなドレスコードにも慌てず、スマートに対応したいもの。そこで、ブラックタイ、スマートエレガンス、ビジネスアタイア、スマートカジュアルの4つのドレスコードについて、ルールを押さえつつ、個性が光るパーティーウエア術を、松屋銀座のカリスマバイヤーにして、メンズファッション関連の著作でも知られる宮崎俊一さんに伝授していただこう。

第1回は、なかでもフォーマル度の高いブラックタイについて。

ドレスコード:ブラックタイ――それはすなわちタキシード、あるいはカクテルスーツの着用を意味する。宮崎俊一さんは、フォーマル度の高いこのドレスコードに、日本人が慣れていない点を指摘する。

「ドレスコードがブラックタイのパーティーは、欧米の上流階級では日常的に存在するものですが、日本では会社の代表として出向くパーティーのケースが多いようです。ブラックタイは、本来は午後4時以降の服。華やかなロングドレス女性をエスコートしながら、あくまでも脇役に徹するシャドーのような存在を意識したいですね。靴は、日本では内羽根のストレートチップも許容されていますが、本来はオペラパンプス。これは舞踏会で、女性のドレスを汚すことがないように、靴墨のいらないエナメルの靴を履くという配慮からなんです。ノーベントで、フラップなしのポケットなど、ディテールもミニマムですが、屋外着の要素を省くなど、ちゃんとした理由があるんですね」

それだけに流行に左右されず、オーセンティック。個性よりも、ルールにのっとった着こなしが大切だ。

「タキシードは、シングルピークよりも、ショールカラーのほうが、よりフォーマル感があります。シャツはプリーツの入った、いわゆる“イカ胸”仕様で、ボタンが見えない比翼仕立てか、オニキスのスタッズを使います。黒と白の世界観のなかで、スタッズを使ったほうがポイントができますし、オニキスのカフリンクスと合わせる意味合いも出てきます」

気をつけたいのが、ポケットチーフだ。ここはシルクではなく、麻でなくては締まらない。

「よく勘違いされているようですが、ポケットチーフは麻でなくてはなりません。白いベストを着用する場合も、季節を問わず、麻素材と決まっています。それから、ブラックタイのときは、ネイビーのシングルチェスターコートを選びたいですね。英国貴族が正装用として着用する格式の高いものです」

ブラックタイの着こなしで電車に乗るのは、無粋というもの。専用車といかないまでもタクシーを利用するか、さもなくば早めに会場に出向き、控え室などで着替えるという策もある。

「ブラックタイのパーティーに、慌てて汗をかいて行くのはいただけません。余裕をもって出掛け、しかるべき人にきちんとあいさつすることが大切。最低限のルールを押さえた着こなしが、品格ある振る舞いにつながるのではないでしょうか」

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ポイント01
シングルピークも悪くないが、ショールカラーのほうがよりフォーマルな印象に。チーフは麻素材のものを、TVフォールドで。

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ポイント02
シャツは、胸にプリーツが入り、袖は写真のようなダブルカフ仕様を選ぶ。オニキスのカフリンクスとそろいのスタッズを使いたい。ボタンの見えない比翼仕立てのシャツを選ぶこともできる。

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ポイント03
靴は、光沢感のあるエナメルのオペラパンプスを合わせたい。日本では内羽根のストレートチップも許容されている。

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ポイント04
コートはネイビーのシングルチェスターコートを。英国貴族の正装用のフォーマルさがありながら、スーツからデニムまで合わせやすいのもいい。

【掲載商品】
タキシード[オーダー]131,000~、ウイングカラーシャツ¥16,000、カマーバンド¥20,000、サスペンダー[中に着用]10,000、スタッズ釦セット¥16,000、チーフ¥4,000/フェアファクス、コート¥90,000/アトリエメイド(すべて松屋銀座5F紳士フォーマル 03-3567-1211[大代表])、宮崎さん着用分はすべて本人私物。

掲載した商品はすべて税抜き価格です。

Photograph:Sunao Ohmori(TABLE ROCK.INC)
Styling:Tomohiro Saitoh(GLOVE)
Text:Yasushi Matsuami

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