腕時計
SIHH2018 ジュネーブサロン・レポート
パネライ
2018.02.09

新作時計の初春到来を高らかに告げる恒例の「SIHH(ジュネーブサロン)」が1月15日から19日まで開催された。昨年は毎年3月に実施される「バーゼルワールド」からジラール・ペルゴとユリス・ナルダンが移行。今年もエルメスが新しく参加したほか、カレ(Carré des Horlogers)と呼ばれる特設会場に17ブランドが出展。大型パビリオンを構える18ブランドと合わせて、過去最多となる35ブランドが競演した。ラグジュアリーな雰囲気の中で静かな熱気が漂う会場で発表された新作から、魅力的なモデルを紹介していこう。
「ルミノール ドゥエ」でスーツにもフィットする初の38㎜小径モデル
圧倒的なボリューム感を持つ大型スポーツ時計の先駆けとなったのは1993年に発表されたパネライの「ルミノール」だが、今年の新作では薄型・小型化のトレンドを的確に反映。同ブランド史上で初となる、ケース径38㎜のモデルが登場した。
もともとパネライでは、2016年にマイクロローターによって厚みを抑えた自動巻きムーブメントを自社開発。これを搭載した「ルミノール ドゥエ」のケース厚は10.7㎜であり、それまでに比べて40%も薄く軽量化された。ただし、ケース径は最小でも42㎜に留まっていたが、今年のSIHHで初めて男女を問わない小径の38㎜モデルが追加されたことになる。ケースは僅かに厚くなって11.2㎜。
この「ルミノール」は、イタリア海軍特殊潜水部隊が標準装備していたダイバーズウォッチがルーツ。にもかかわらず、ミリタリーとはとても思えない優美な曲面で構成されたクッションケースに丸型のダイヤルなど、エレガントなフォルムと個性的なデザインで人気を高めてきた。新作の「ルミノール ドゥエ」は、リューズを衝撃や誤動作から保護するレバー式プロテクターも含めて、パネライのアイデンティティを継承。スタンダードである3日間巻きのロングパワーリザーブも備えており、実用性も高い。腕の細い男性や女性に似合うだけなく、スーツの袖にも無理なくフィットする。ビジネスユースも可能になったことが、最も嬉しい変化かもしれない。
ちなみに、「ドゥエ」とはイタリア語で「2」の意味。パネライの真髄をスタイリッシュにブラッシュアップした「第2章」の本格的な展開が始まったといえそうだ。
「ルミノール ドゥエ スリーデイズ オートマティック アッチャイオ−38㎜」PAM903。自動巻き(キャリバーOPⅩⅩⅩⅣ)、パワーリザーブ約3日間、ケースはステンレススチール、直径38㎜、3気圧防水、\670,000(税抜き予価)、6月下旬発売予定。 「ルミノール ドゥエ スリーデイズ オートマティック オロロッソ−38㎜」PAM908。自動巻き(キャリバーOPⅩⅩⅩⅣ)、パワーリザーブ約3日間、ケースは18Kレッドゴールド、直径38㎜、3気圧防水、\1,730,000(税抜き予価)、6月下旬発売予定。
掲載した商品はすべて税抜き価格です。
問/オフィチーネ パネライ Tel.0120-18-7110
プロフィル
笠木恵司(かさき けいじ)
時計ジャーナリスト。1990年代半ばからスイスのジュネーブ、バーゼルで開催される国際時計展示会を取材してきた。時計工房や職人、ブランドCEOなどのインタビュー経験も豊富。共著として『腕時計雑学ノート』(ダイヤモンド社)。