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トレンドの潮目。
ピッティで知る、ネクタイのこれから――

2018.02.19

柴田充 柴田充

トレンドの潮目。<br>ピッティで知る、ネクタイのこれから――

ファッションシーズンの幕開けを飾る、第93回ピッティ・ウォモが今年もイタリアのフィレンツェで開催されました。来シーズンの秋冬コレクションの発表に、いち早くその傾向をつかもうと世界中から多くのバイヤーやジャーナリストが詰めかけました。その数ある出展ブランドから新たなトレンドの潮目についてフォーカスします。

ネクタイは、太さや結び方の流行はあったとしても、基本スタイルに大きな変化はないように思われます。しかし男のVゾーンを飾る唯一のアクセサリーであり、昨今人気の“インスタ映え”するばかりか、好みや個性を手軽に表現しやすいアイテムとして、シンプルな中にも時代感を敏感に映し出します。イタリアの有名ネクタイブランド、フランコ バッシの2代目チェザーレ・バッシ氏は、ネクタイを通して今年のトレンドを見据えます。

「今年の秋冬カラーは定番のブルーとブラウンの発展形として、ボルドーとマスタードをお勧めしています。ブラウンのジャケットとの組み合わせもとてもいいですね」

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その背景には、メンズファッションの全般的な傾向として80sテイストがあるといいます。

「80年代はイタリアンファッションにおいてとても重要な時代でした。70年代からの転換期であり、人々は洗練されたものを求め、自分の個性をファッションで表現しようという気運が高まったのです。たとえばジョルジオ アルマーニの台頭であり、クラシコイタリアの復権もそう。ネクタイでは光沢のあるシルクタイをハリスツィードのジャケットに合わせ、クラシックなブリティッシュにモダンなコントラストを表現しました。当時は、よりエレガントなスタイルを求める傾向が強く、その時代感が現代に通じるというのも面白いですね」

そしてブランドの新たな取り組みとして、欧米でのカプセルコレクションでメイドインジャパンの素材をテーマに展開し、トランクショーでは顧客の好みに合わせたパーソナライザーションも始めています。それは絹織物の歴史や文化まで掘り下げ、さらに一人ひとりの個性を反映することで、ネクタイというアイテムの魅力を広げるのです。

プロフィル
柴田 充(しばた・みつる)
フリーライター。コピーライターを経て、出版社で編集経験を積む。現在は広告のほか、男性誌で時計、クルマ、ファッション、デザインなど趣味モノを中心に執筆中。その鋭くユーモラスな視点には、業界でもファンが多い。

Photograph:Mitsuya T-Max Sada
Text:Mitsuru Shibata

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