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トレンドの潮目。
ピッティで知る、ニットウエアのこれから――

2018.02.20

柴田 充 柴田 充

トレンドの潮目。<br>ピッティで知る、ニットウエアのこれから――

ファッションシーズンの幕開けを飾る、第93回ピッティ・ウォモが今年もイタリア・フィレンツェで開催されました。来シーズンの秋冬コレクションの発表に、いち早くその傾向をつかもうと世界中から多くのバイヤーやジャーナリストが詰めかけました。その数ある出展ブランドから新たなトレンドの潮目についてフォーカスします。

よりカジュアルに、アクティブになる現代のライフシーンに応じて、メンズファッションも機能性が欠かせなくなりました。会場でもトレンドのスタイルを提案するだけでなく、伸縮性はじめ防寒や撥水性など、さまざまな機能を備えた新作ジャケットやパンツが多くの注目を集めます。

これに対してセーターやカーディガンといったニットアイテムは、これまで天然素材ならではの味わいを重視し、トレンドカラーやデザイン、あるいは製品染めや洗いをかけるなどの加工で新鮮さを打ち出してきました。しかし今回ニットブランドのグランサッソが発表したのは、機能性をもったニットウエアでした。撥水効果のあるレインウールを採用したコレクションを発表し、さらに防寒性に優れるサーモライトを組み合わせた新作も開発しました。

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「ニットの表と裏を、レインウールとサーモライトという2種類の異なる生地を糸の段階から編み合わせています。これは、たとえば片面ずつ色違いにする場合などに用いる伝統的なニットの編み方で、それをテクニカルな糸を使って応用したわけです。私たちにとっても新たなチャレンジでしたが、こうした機能性素材を使ったアイテムは将来的にもより発展させていきたいですね」とオーナー兼デザイナーのカルロ・ディ・ステファノ氏は説明します。

先進素材の開発と伝統的な技法の応用など、さまざまな技術を組み合わせることでニットの魅力はさらに広がります。またそれだけではなく、カシミアのリユースや廃棄素材のリサイクル、オーガニックコットンの採用や、羊毛の刈り取り時に羊を傷めない採取法にも取り組みます。

「私たちのブランドには67年の歴史があり、今後もいまやっていることを信じて進めば、さらにニットの未来は広がると思います」

プロフィル
柴田 充(しばた・みつる)
フリーライター。コピーライターを経て、出版社で編集経験を積む。現在は広告のほか、男性誌で時計、クルマ、ファッション、デザインなど趣味モノを中心に執筆中。その鋭くユーモラスな視点には、業界でもファンが多い。

Photograph:Mitsuya T-Max Sada
Text:Mitsuru Shibata

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