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トレンドの潮目。
ピッティで知る、ジャケット&コートのこれから――

2018.02.21

柴田 充 柴田 充

トレンドの潮目。<br>ピッティで知る、ジャケット&コートのこれから――

ファッションシーズンの幕開けを飾る、第93回ピッティ・ウォモが今年もイタリア・フィレンツェで開催されました。来シーズンの秋冬コレクションの発表に、いち早くその傾向をつかもうと世界中から多くのバイヤーやジャーナリストが詰めかけました。その数ある出展ブランドから新たなトレンドの潮目についてフォーカスします。

少し前になりますが、ファッションではエフォーレスがひとつのキーワードになり、アンコンジャケットや、ニットやジャージー素材を用いたジャケットの人気も広まっています。そんな気張らないインフォーマルなスタイルや快適性を求める傾向が強まるなか、イージージャケットで注目を集めるブランドがチルコロ1901です。

その革新性は、カットソー生地の表面にウールやツイードの柄をプリントすることで、見た目はクラシックなのにリラックスした着心地が味わえるというもの。

「現代を生きる人たちの一日はより多様化しています。私たちの作るジャケットはイージーですが、使い勝手はそんな多彩な用途に応えます。着る人それぞれが思い思いのスタイルを表現できるアイテムです」とオーナーのジェンナーロ・ダルジェニオさん。着心地や機能性だけでなく、そんな自由な気持ちのあり方こそがイージーなのでしょう。

プリント柄のジャージー素材のジャケットはいまや多くのブランドが追随していますが、先駆のイニシアチブは歴然で、秋冬の新作コレクションでもその実力を存分に発揮しました。英国調をやわらかに表現するトレンドを継続しつつ、さらにレベルアップ。象徴となるのがコートです。

見た目こそ大柄のガンクラブチェックのロングコートですが、袖を通すとビックリ。肩の動きを妨げないストレッチ性と、はおるような軽さはまるでブルゾンのよう。熟成を重ねた最高レベルの技術の結晶です。

「技術的にはかなり向上し、特に表現しにくい素材というのはありません。プリントする柄や本来の生地のボリューム感に合わせて、芯地を変えたり、生地の張りでエフェクトをかけます。これは他社が研究してもできない独自のノウハウでしょう」とダルジェニオさんも胸を張ります。

プロフィル
柴田 充(しばた・みつる)
フリーライター。コピーライターを経て、出版社で編集経験を積む。現在は広告のほか、男性誌で時計、クルマ、ファッション、デザインなど趣味モノを中心に執筆中。その鋭くユーモラスな視点には、業界でもファンが多い。

Photograph:Mitsuya T-Max Sada
Text:Mitsuru Shibata

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