腕時計
バーゼルワールド2018 レポート
パテック フィリップ
2018.04.23

年明け1月のSIHH(ジュネーブサロン)に続いて、バーゼルワールドがスイスで3月22日〜27日に開催された。1917年から始まった商品見本市をルーツとして、昨年に100周年を迎えた国際的な時計と宝飾の展示会。多彩な新作が数多く披露された。今年のトレンドは最後にまとめるとして、日本でも人気の高い有力ブランドから注目のモデルをピックアップしていく。
スポーティーな2モデルに高度な複雑機構を搭載
パテック フィリップはスイス屈指の名門老舗であり、時計技術から仕上がりまで、常に世界最高峰を目指してきた超高級ブランド。
今年のバーゼルワールドでは、ダイヤルカラーなどのリニューアルも含めてメンズで11型、レディスで3型の新作が発表された。昨年に比べて数としては少ないものの、クロノグラフや複雑機構を搭載したモデルが多く、充実したラインナップになっていた。

それを象徴するハイエンドなコンプリケーションが「ワールドタイム・ミニット・リピーター」(5531)だ。時差の異なる世界24都市の現在時間がわかる機構に加えて、ミニッツリピーターも搭載。12時位置に表示されている時間帯(自分がいる現地の時間=ローカルタイム)に対応して、低音と高音の2つの音色を組み合わせて時間と分を教えてくれる。ホームタイム(出発地の母国時間)で設定できるミニッツリピーターはこれまでもあったが、世界を移動するたびに修正されるローカルタイムに対応したモデルは世界初。ダイヤル中央にはクロワゾネ(金線七宝)で世界遺産に登録されているスイスのラヴォー地区の眺望とレマン湖が描かれており、芸術性も高い。

パテック フィリップのカジュアル・エレガンスを代表するスポーティーなコレクション「ノーチラス」と「アクアノート」にも複雑機構を導入。1976年に発表された「ノーチラス」は丸みを帯びた八角形のケース両側の“耳”が特徴だが、初めて永久カレンダーモデルが登場した。閏年も含めて、すべての月末を判別して日付を自動送りしてくれる。このコレクションでは最薄のケース厚8.42㎜も実現。新開発の折畳みバックルを採用しており、独立した4つの留め金によって開閉の際に不用意にはずれることがない。
丸みを帯びた八角形は同じだが、やや縦長で“耳”のないコンテンポラリーな「アクアノート」にも初めてフライバック・クロノグラフが搭載された。計測中でも瞬時にリスタートができ、オレンジ色のクロノグラフ表示が印象的。ブラック・コンポジット・バンド(ラバーベルト)が標準設定だが、取り換え用のオレンジ・バンドも付属している。

母国時間(出発地)と移動先の現地時間という2つの時間帯を表示する「カラトラバ・パイロット・トラベルタイム」は、ケースに18Kローズゴールドを新しく採用。上質な高級感を楽しめる
掲載した商品はすべて税抜き価格です。
問/パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター03-3255-8109
プロフィル
笠木恵司(かさき けいじ)
時計ジャーナリスト。1990年代半ばからスイスのジュネーブ、バーゼルで開催される国際時計展示会を取材してきた。時計工房や職人、ブランドCEOなどのインタビュー経験も豊富。共著として『腕時計雑学ノート』(ダイヤモンド社)。