旅と暮らし

頑張らないバリにちょうどいい、
おしゃれな家に住んでいる錯覚に陥るブティックホテル

2018.08.10

写真・図版 大石智子

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Katamama(カタママ)
インドネシア/バリ島

以前、女ふたりでバリに行った際にしたことといえば以下のとおり。街をブラブラしながら買い物をして、疲れたらカフェやバーで休憩。人の噂話や恋愛話をしながらランチやディナー。午前中はデスクワークをして疲れたらプールに入る……と、字面から感じるバリっぽさは特になし。プールに入っている以外は東京とさほど変わらない。でも、この街遊びとしてのバリもけっこう好きなのだ。

そのときに選んだのが、2016年の5月にスミニャックにオープンした「カタママ」だった。スミニャックといえば、バリ随一のにぎわいをみせるエリアで、散財要注意のおしゃれな店もひしめく場所。そんなスミニャックに位置する「カタママ」は、次世代のバリのホテルをリードする存在だと思う。

ウルワツの崖に立つホテルのように海と空の壮大な眺めがあるとか、ウブドやサヤンに立つホテルのように森に続くインフィニティプールがあるわけではない。しかし、じわじわとディテールに魅せられるホテルだったので紹介したい。

カタママはとにかくしゃれている!

結論として、上のひと言に尽きる。何もないところからポンと超絶にしゃれたホテルが生まれるわけもなく、実は「カタママ」はバリで常に満席の「ポテトヘッド・ビーチクラブ」を運営するジャカルタのPTTファミリーグループが作ったブティックホテル。

PTTファミリーとは、これまで手がけたレストランやアートギャラリーがすべて大ヒットするというハイセンス集団。特に2010年にオープンした「ポテトヘッド・ビーチクラブ」は、意識高い系の遊び人の間ですぐさまに人気に。バリの夜遊びの名所ともいえる場所となった。

そういった会社が作った「カタママ」に到着すると、すぐにあるものに魅了された。それは、ホテルのメイン資材となる赤レンガ。このホテルでは、バリの寺院に使われているものと同じ赤レンガを150万個も使用しているのだ。

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ひとつひとつのレンガの風合いが違い、光の当たり方によって表情が変わる。壁の中の廊下は夕刻になると赤みを増し、光と影のコントラストもドラマチック! 設計したのはインドネシア人の建築家、アンドラ・マティン。おしゃれなだけではなく、バリへの愛を感じる空間となっていてじ〜んとくる。

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お部屋はデザイナーの自宅のよう

部屋はいままで泊まったバリのホテルでは見たことのない造りだった。正直、ぱっと見はバリっぽくない。ミッドセンチュリー家具に幾何学のタイルなど、海外のデザイナーの自宅のようなおしゃれさで、それでいてすぐにくつろいだ気持ちになった。価格も1泊3万円強と、女性のふたり旅にも優しい値段だ。

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実際に部屋で過ごしてみると、実は細部にバリの職人芸が仕込まれていて、それに気づいた時が面白い。言い換えれば、ぱっと見では分からないほどバリの素材がモダンなデザインに馴染んでいる。

部屋の壁は前述のバリ島寺院と同じ赤レンガだし、クッションやガウンにはウブドで作られたインディゴ染めの布が使われている。

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    テラスに置かれたデイベッドの上には、インディゴ染めのクッションが並ぶ。
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    ガウンもインディゴ染め。農家のおじさんが使うようなカゴバッグとキャップも地元感も出しつつおしゃれ。
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    光がふんだんに入るバスルームは床のタイルがかわいい。
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    アメニティーの説明書きにはブッダのイラストが描かれていた。

個人的に感涙ものだったのが、部屋にバーカウンターがあったこと。全客室にこのバーカウンターを設置したというのだから、さすがPTT。遊び人のニーズを心得ている。

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手描きのイラストがかわいいカクテルのレシピ本やシェーカー、フレーバードシロップや各種スピリットが用意されていて、自分でカクテルを作ることができる。カウンターには氷がたっぷり入ったクーラーを内蔵させる徹底ぶりだ。頼まなくても氷がいつでもあるって落ち着く!

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ちなみにホテルは「ポテトヘッド・ビーチクラブ」の隣にあるので、部屋で飲むのはもちろん、夜はそちらへも繰り出した。「カタママ」に泊まっている間は、外でバーホッピングをする必要もないのが楽だし、その気にならない。

ノマド人間に優しいパブリックスペース

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特に何もオーダーしなくてもソファでくつろいでいられて、水をそっと置いてくれたりもする優しさがありがたい。読書や仕事もしやすくて、それこそ長期滞在したいと望むほど居心地がよい。ちょこちょこ置かれているビンテージ家具を見つけるのも醍醐味だ。

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パブリックスペースには壁がなく、奥に行くほど広がるような造り。ダイニングの「Movida」はメルボルンにある「Movida Bar de Tapas」という店のバリ版。モダンスパニッシュで野菜中心のタパスメニューがそろう。朝食がビュッフェではなく多彩なメニューからオーダーするスタイルも個人的には好みだった。

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    朝食のトルティーヤとフルーツの盛り合わせ、オープンサンドイッチ。
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    ディナーで食べたタパスコース内のアスパラガスのロメスコソースがけ。

スタッフのユニフォームも肩の力の抜けたホテルの空気感とぴったり合っていて、ご覧のとおりカジュアルでちょっとセクシー(スリットが深い!)。ゲストに仕えるというよりは、もう少し近い距離感を醸す装いだ。最近のいい感じのホテルは、みなこの傾向にある気がする。

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2泊3日という短い滞在を終えホテルを出る際、「旅のお守りです」と手編みのブレスレットを腕に付けてくれた。それから1週間、私はインドネシアでそのブレスレットを付けつづけ、いい旅を送ることができた。

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「カタママ」という名前はインドネシア語で“ママが言うには〜”が由来。そんな言葉に納得するような、アットホームで人を甘えさせてくれるホテルだった。

https://www.katamama.com
日本からの問い合わせ/プリファード ホテルズ & リゾーツ 0120-984-450
「カタママ」はプリファード ホテルズ & リゾーツに加盟し、そのなかでも特にレベルの高いLegend Collectionに認定されている。

プロフィル
大石智子(おおいし・ともこ)
出版社勤務後フリーランス・ライターとなる。男性誌を中心にホテル、飲食、インタビュー記事を執筆。ホテル&レストランリサーチのため、年に10回は海外に渡航。タイ、スペイン、南米に行く頻度が高い。最近のお気に入りホテルはバルセロナの「COTTON HOUSE HOTEL」。Instagram(@tomoko.oishi)でも海外情報を発信中。

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