旅と暮らし

異国のJKの決断に学ぶ、影響力をもったときの姿勢とは?
『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』
[美しき映画ソムリエ]

2018.09.12

東 紗友美

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どんなにきれいごとを言おうと、学歴はそれなりに重要だったりする。
へたしたら人生の一部を大幅に変えてしまう可能性すらある。
大人と子どもの中間地点にいて、まだ何者にもなりきれていなかった10代のときの努力が、はがれない絆創膏(ばんそうこう)を貼り付けたみたいに、一生ついてまわるなんてよくよく考えると恐ろしい。
だからこそ、裏口入学や不正入学試験のニュースがいつの世も後を断たない。
いい学校に行けば、いい人生が送れるなんて保証はどこにもないけれど、それでも、もし選べるのならいい学歴になる学校に入学したいと考えるのは万国共通の受験生の願いのひとつなのであろう。
今回紹介するのは、タイ映画だ。トニー・ジャーの名前が日本でも知れ渡った「マッハ!!!!!!!!(2003)」などからタイ映画のイメージと言うとアクション映画を思い浮かべる人が少なくないだろう。

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映画好きじゃないとあまり目にする機会が少なかったと思われる、青春真っ盛りな少年少女たちによるタイの進学校を舞台にした学園ドラマである。
しかし、その内容は日本の学園映画のジャンルとして最も多いキラキラ系・壁ドン系とは一線を画している。高校生の犯罪チームによるカンニングを題材としているのが大きな特徴だ。

物語の舞台は、タイ。頭脳明晰な女子高生リンは、家にお金はないものの有名進学校に奨学生として入学を許可される。最初は答案と引き換えに代金をもらうビジネスをしていたが、学校で出会った仲間たちとともに、アメリカの大学に入学するために世界各国で行われる大学統一入試STICの試験において、最大のカンニングに挑戦することになるのだが……。

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クライマックスの28分に及ぶ緊迫のカンニングシーンはハリウッドのドル箱シリーズのひとつであるオーシャンズシリーズに匹敵するほどスリリング。中国などを含む8つの国と地域でタイ映画史上歴代No.1の大ヒットを記録した本作は「まるで高校生版オーシャンズ11のようだ」と評されたほど納得の“魅せる”出来栄えだった。
過去のカンニングがキーワードとなった映画だと、フランス映画の「ザ・カンニング[IQ=0]」や安室奈美恵出演作「That'sカンニング! 史上最大の作戦?」などが思い浮かんだが、それと比べてもカンニングシーンは高校時代にこの作品に出合っていたら悪用しなかったか不安になるほど実際に使えそうでアリティがあった……!

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さて、この映画のモチーフになっているのは集団不正入試事件。実際にあったこの事件が起きた中国では毎年6月に開催される全国大学統一入試において、2017年からカンニングが発覚をすると最高で懲役7年という重い懲罰も決まったそうだ。
日本においてカンニングで懲役がついてしまうなんて想像できないけれど、中国ではそんな懲罰が決まったあともカンニングはまったく減る様子もなく、近年ではハッカーを利用した傾向も増えているようである。

また学歴社会とひと口に言うけれど、舞台となったタイのそれは日本とは比べ物にならないほど。なんと「落第」のシステムなんて3~4歳の幼稚園のころから存在しているのだとか。問題のある教育システムに関しては経済のグローバル化以降、国際競争が激しくなり、致し方ない点もあるけれど、ともすれば学歴で人間が判断されがちな現代。この映画はタイや中国だけでなく、世界中の人の問題にもなりうる。すなわち私たちの国でも起こりうる話かもしれない。
ただカンニングシーンが面白いだけのエンタメ性の高い映画で終わらないのだからこそ見応えがあるのです。

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さて、そんな世界の教育事情に触れつつも、カンニングした高校生集団から大人である私たちが学ぶことがありました。それはとてもシンプルです。
それは「まわりにいい影響を与える人でなければ、自分の人生はうまくいかない」
言い換えると、「まわりに悪い効果を生み出す人は、自分の人生も行き詰まってしまう」ということ。
周囲に影響を及ぼす人物には、いい影響を及ぼす場合と悪い影響を及ぼす場合が両方存在しますよね……。

もし、自分がリーダーになることや人前で目立つ瞬間があるのであれば、意識してでもポジティブな効果を与えられる人でありたいと背筋が伸びるはずです。
カンニングをさせてお金を稼ぐことでリンの心は満たされるのでしょうか?
主人公リンが劇中で下すある究極の決断に注目を。

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『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』
公開:9月22日(土)より、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
(c) GDH 559 CO., LTD. All rights reserved.
配給:ザジフィルムズ/マクザム
監督:ナタウット・プーンピリヤ
脚本:ナタウット・プーンピリヤ、タニーダ・ハンタウィーワッタナー、ワスドーン・ピヤロンナ
撮影:パクラオ・ジランクーンクム
音楽:フアランポン・リディム、ウィチャヤー・ワタナサップ
キャスト:チュティモン・ジョンジャルーンスックジン、チャーノン・サンティナトーンクン、イッサヤー・ホースワン、ティーラドン・スパパンピンヨー、タネート・ワラークンヌクロ
原題:Chalard Games Goeng/2017年/タイ/タイ語/130分/字幕翻訳:小田代和子/監修:高杉美和
公式サイト: http://maxam.jp/badgenius/

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