紳士の雑学

忙しいビジネスマンのほったらかし投資術講座
Vol.1 ほったらかし投資のススメ

2019.02.06

写真・図版 板倉 京

写真・図版

お小遣いを切りつめてコツコツ貯金はしているけれど、子どもの学費や家のローンなど、お金の心配は尽きないもの。資産運用に興味があっても、なんだか怖いし何から始めたらいいかわからないという人も多いことでしょう。そんな資産運用初心者のために、全3回の連載で基本的な知識とオススメの資産運用の方法をお伝えいたします。

日本人は貯金好き!?

はじめまして、税理士の板倉 京(いたくら みやこ)です。
みなさんは、何か資産運用をしているでしょうか。

私はいま、資産運用の会社を運営しています。
この会社を立ち上げて感じたことは、「長期的視点で“お金に働いてもらう”ことを考えている人が少ない」ということ。

2018年に日本銀行調査統計局が発表した日本とアメリカやヨーロッパの家計の金融資産構成(表)を見ると、日本の有価証券(株式・投資信託・債券)の割合が16.2%なのに対し、アメリカは53.9%、ヨーロッパは31.3%となっています。日本人がいかに資産運用をしていないか、ということに驚くのではないでしょうか。

写真・図版
「家計の金融資産構成」 資金循環の日米欧比較 2018年8月14日 日本銀行調査統計局

欧米、特にアメリカでは“お金に働いてもらう”ことに積極的で、1995年からの約20年間で家計資産が3.32倍に増えたといいます。このうち運用による残高の増加は2.45倍。積極的にお金に働いてもらった結果、運用によって資産を倍以上に増やしているということになります。

一方、日本の家計資産は約20年間で1.54倍増。運用による残高増は1.2倍です。アメリカ人と日本人が100万円ずつ持っていたとして、20年後に資産運用に積極的なアメリカ人は100万円を245万円にし、預金が大好きな日本人は100万円を120万円にしかできなかった、というわけです。

ちなみに、政府が目標としている年2%のインフレ(物価上昇)が実現すると、現在の100万円は、10年後には82万円、20年後には67万円の価値となってしまいます。つまり安全資産と考えられている預金は、10年で2割、20年で3割以上も減ってしまう「危険資産」となり、資産運用しないことこそがリスクとなってしまうのです。

アメリカ人が長期的に資産を増やせる理由は、毎月の分散投資!?

投資大国アメリカで、多くの労働者が利用している「401k」という制度があります。給与から天引きする形で毎月定額を積み立て投資する方法で、長期運用をします。投資対象は分散投資できる投資信託など。長期的に資産運用する場合、この「毎月定額」で「分散投資」をするという方法は、リスクの軽減につながります。

【毎月定額】
投資でもうけるということは、安値で買って高値で売ることです。しかし、いつが高値でいつが安値なのかということは、相場のプロでも確実に当てることはできません。

仮に100万円の資金を運用する場合、全額投資したときの価格が高値であれば、利益を出すことは難しいでしょう。そして、もし投資後に値が下がってしまったら、慌てて売りたくなってしまいますよね。このようなリスクを経験した人は、「投資は怖い」と考えて運用をやめてしまうかもしれません。

そこで、資金を一度に投資するのではなく、毎月10万円ずつ10回というように分けて投資してみたらどうでしょうか。1口1万円のときに10口購入しても、その後に値が大きく下がって半分の1口5000円になってしまった場合には20口購入できます*。この方法のいいところは、値が下がったときにより多くの口数を購入することができるため、値が下がったときほど資産を増やすチャンスだと思えるところです。

このように、あせらず時間をかけて買い付けを行うことで、安値でも高値でもない平均的な価格で買い付けを行い、少ないリスクで安定的に運用益を目指すことができます。

【分散投資】
分散投資をすることで、ある商品が値下がりしても、別の資産でカバーしていくことが可能となり、短期的な値動きに一喜一憂せずに資産を運用できます。

少額で始められる分散投資が投資信託です。投資信託は、さまざまな投資商品を組み合わせて作られた金融商品で、運用のプロが組み合わせを考えて分散投資をしています。

長期運用は、ほったらかし投資がオススメ

このように、「毎月定額」で「分散投資」する仕組みを利用すれば、日々の値動きに一喜一憂することなく、ほったらかしたまま資産運用ができます。忙しいビジネスマンの皆さんには、このほったらかし投資をオススメです。

「お給料が振り込まれたら、自動的に積み立てに回す」というのも重要なポイント。収入にもよりますが、例えば「毎月5万円ずつ」と決めて自動的に積み立てるようにすることで、残りの金額で生活する習慣を作ることができ、毎月続けることで資産を増やすこともできるのです。

次回以降は、ほったらかし投資の具体的な方法について説明していきたいと思います。


*単位の表記をわかりやすくするため、1口1万円などと設定しております。

プロフィル
板倉 京(いたくら・みやこ)
成城大学を卒業後、保険会社・財産コンサルティング会社、税理士法人等で主に個人の資産や相続の業務に携わる。2009年に日本初の開業女性税理士の集団、株式会社ウーマン・タックスを立ち上げ代表を務める。2016年より、株式会社WTパートナーズ代表。あさイチなどのテレビ出演や全国での講演、書籍の執筆などの活動も多数。

Photograph:Hiroyuki Matsuzaki(INTO THE LIGHT)
Styling:Tomonori Kobayashi

あなたへのおすすめ

トレンド記事

  1. 写真・図版

    SIHH2019 ジュネーブサロン・リポート
    IWC

    美しい時計

    2019.02.15

  2. 写真・図版

    コーチの財布。
    持って、返して、開いてみた

    旬のおすすめ

    2019.01.29

  3. 写真・図版

    ファッショントレンドスナップ36
    スーツの着こなしに異変あり!?
    ピッティもカジュアル化が止まらない!?

    旬のおすすめ

    2019.02.14

  4. 写真・図版

    フルラの財布。
    持って、返して、開いてみた

    旬のおすすめ

    2019.01.28

  5. 写真・図版

    コクがあるのに爽やか、アンチョビとオリーブのとろとろマッシュポテト
    [長尾智子 料理の歳時記]

    旅と暮らし

    2019.02.14

紳士の雑学

調べ・見立て