腕時計
SIHH2019 ジュネーブサロン・リポート
フランク ミュラー
2019.03.22
高級時計の新作がいち早く出そろう、毎年恒例の国際展示会・SIHH（ジュネーブサロン）がスイスで１月14日から17日まで開催された。ラグジュアリー感あふれる落ち着いた雰囲気の会場に、約2万3000人が来訪したという（主催者発表）。このSIHH2019から、主要ブランドの動向と、魅力的な新作をピックアップして紹介する。
「ヴァンガード」にクレイジー アワーズの機構を移植！
フランク ミュラーはSIHHと同時期にジュネーブ郊外の自社工房・ウォッチランドで新作展示会を開催してきた。今年は新しく２棟の工房が完成。生産本数を倍増させるのでなく、より充実した時計づくりを目的として、最新の工作機械などが導入される予定だ。
それに先駆けるように、2003年に発表された独創的な「クレイジー アワーズ」が、トノウ カーベックスを継承する次世代モデル「ヴァンガード」に移植された。ランダムに並べられたアラビア数字のインデックスを、時針が正しくジャンプして指し示す。時計の常識を覆した面白さや驚きだけでなく、時間とは何かを考えさせる哲学的な刺激になったが、この仕組みをダイナミックな曲面で構成されたスポーティーなフォルムで再現。立体的なアラビア数字が力強さを感じさせる。世代交代で若返ったように見えるスタイルは、時間にとらわれることなく主体的に生きよというメッセージとも受け取れるのではないだろうか。
1920～40年代にヨーロッパの貴族階級が高級避寒地として愛したフランス領モロッコに触発されて誕生した「カサブランカ」が今年で25周年。これを記念して、ホワイトとブルーのダイヤルバージョンが登場した。鍛造製法で密度と強度を高めたステンレススチールのケースに、かつての時代背景を想起させるデザインを導入。明かりの乏しい夜道のために蓄光式夜光塗料を塗布したダイヤル、うだるようなアフリカの暑さにも負けないタフなカーフストラップなど、“過去の時”を慈しむ情緒的な視点で製作されたという。
Ladies' Watch Information for Gentlemen
［紳士も知っておきたい淑女の時計］
グラマラスなトノウケースにピンクカラーが登場
フランク ミュラーはレディースモデルも数多いが、ハートのアイコニックなモチーフが特徴の「ハート トゥ ハート」に、今年も新しいカラーバリエーションが追加された。鮮やかなピンクを、放射状の彫り模様のダイヤル、またはビザン数字のインデックスにアレンジ。10時位置にハートマークが描かれていることが共通している。ムーブメントがクオーツなので、リーズナブルな価格も魅力。
掲載した商品はすべて税抜き価格です。
問／フランク ミュラー ウォッチランド東京 03-3549-1949
プロフィル
笠木恵司（かさき けいじ）
時計ジャーナリスト。1990年代半ばからスイスのジュネーブ、バーゼルで開催される国際時計展示会を取材してきた。時計工房や職人、ブランドCEOなどのインタビュー経験も豊富。共著として『腕時計雑学ノート』（ダイヤモンド社）。
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