旅と暮らし

南アフリカの銘醸地の一本、
ウォータークルーフ・シリアスリークール・サンソー 2016
【今週の家飲みワイン】

2019.03.22

写真・図版 小松宏子

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インターナショナルに活躍するソムリエの梁 世柱さんによる、ワイン指南。自宅で気軽に飲める、お手頃でいて本格派な一本を紹介する。今月は「南アフリカ」のワインだ。

サンソー(Cinsault)というぶどう品種になじみがない人は多いかもしれない。南仏がルーツの、主にブレンドに使われることの多いぶどうだ。南アフリカは、第三世界のワインのなかでも、実は最も古い350年の歴史を持つことは、第1回で記したとおりだが、サンソーもかなり古い時代に南アフリカに入ってきたぶどうのひとつと考えられている。

「ある意味インパクトの薄い味わいなので難しい品種ではあるけれど、南アフリカにおいては、単一品種のリーダーになりうるポテンシャルを秘めたぶどうだと思っています。より軽やかなワインを求める時代の風潮もこの品種には追い風ですね」と梁さんも注目している。そんななかで今回選んだワインがウォータークルーフワイナリーの一本だ。

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ウォータークルーフが位置するのは、穏やかな地中海性気候のぶどう栽培に適した南アフリカのケープタウン周辺のにある銘醸地、ステレンボッシュだ。このあたりは、豊富な日照に恵まれ、強い風が病気や害虫を寄せつけず、収穫時期の2月~3月はほとんど雨が降らない。そのため、もともとあまり農薬を使用する必要がない土地柄ではあるのだが、ウォータークルーフの現オーナーである、ポール・ボートゥノウは、イギリスでワイン輸入業が成功したのち、1993年から理想のテロワールを探しはじめ、コートドール、シャブリ、ポイヤック、バローロなどを10年かけて調査した結果、南アフリカのステレンボシュに行き着いたという。

なかでも海に近い最も冷涼なエリアにある農園を2004年に購入。その後、世界中のビオディナミの畑を回り、自らのワイナリーも完全なビオディナミでの栽培に変更。その後、独創的な建築のワイナリーやテイスティングルーム、断崖に突き出たガラス箱のようなユニークなレストランをオープンさせた。醸造に関しても、あくまでテロワールを誠実に反映させるということを主眼に、自然に任せた不干渉主義のアプローチを貫いている。いまでは堂々たる、ステレンボシュを代表するビオワイン生産者に成長した。

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「透明感のある味わいなのに、十分な果実味が感じられ、適度な濃縮感と心地良いスパイスの風味が見事に調和している。軽やかで肩の力が抜けたようでありながらも、上質さも持ち合わせるサンソーに仕上がっていますね。長い歴史のなかで、さまざまなものが喜望峰に持ち込まれ、自然淘汰されながら現在に残った品種であるということが、そのクオリティーを証明していると言えるでしょう」と、梁さんは話す。いつか、喜望峰を訪ねてみたい、その雄大な姿を思い描きながら飲むのも楽しいではないか。

<<デイビット&ナディア シーブリッツクルーフ ピノタージュ

  ブーケンハーツクルーフ シラー 2016>>

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Photograph:Makiko Doi

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