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ファッショントレンドスナップ42【番外編3】
ベルルッティのバッグは、モード感と職人技のミックスが絶妙!!
2019.04.05
「ひと目で見てブランドもの!!とわかるバッグは持ちたくない」「職人技満載のクラシックなカバンは女性ウケしないし、今どきのシャープなスーツにはあわない」という悩み多きビジネスマンに、これがベスト!!というバッグを見つけました。
1895年に創業したパリの老舗ベルルッティのバッグです。正直言って同じパリ生まれのルイ・ヴィトンやエルメスに比べると、まだまだ日本での知名度はありませんが、かえってそこがポイント。知る人ぞ知るという名品を所有しているという満足感は、他のポピュラーになったブランドではもう味わえなくなっていますからね。
ベルルッティならではの深い光沢感のあるレザーのボディの右隅には、カリグラフィーと呼ばれる欧文が彫り込まれています。今年の春の新作は、この柄を部分的に使うことで、革の光沢とブランドのアイコンがお互いを引き立てあっています。
前面には、スマホなどを収納出来るポケットがついています。
文字はレザーを焼きながら彫り込んでいくという特殊な加工で、似たような加工をしたカバンは見たことがありません。この遊びは、元々は靴に施されていたものをカバンにも採用した技術だとか。
実はこのカバンの革の色はダークネイビー。遠目には黒っぽく見えますが、近づくとこの色の美しさに気づくという仕掛けです。ベルルッティのこうしたパリ流の粋「エスプリ」は、日本のビジネスシーンに間違いなくマッチしますね。
本来はカジュアルなトートバッグですが、ベルルッティならではの発色と深いつやを併せ持った革を使うことでビジネスシーンから旅行まで幅広く使えるようになっています。
とてもモダンでラグジュアリーなトートバッグですが、ベルルッティの創業当時からの受け継がれているモノづくりの遺伝子は、この革やステッチの1本1本に組み込まれています。
なかでも、このトートバッグやブリーフケースで使われている革は、ベルルッティが開発したベネチアレザーと呼ばれているもので、昔ながらの植物タンニンなめしと科学的なクロムなめしをほどこした特別なものです。
そもそも、植物タンニンなめしは、革を育てながら独特の色に変化するのが特徴で、エイジングが出来るレザーとも言われています。しかし、使い始めは硬く色もムラが出たりするのが欠点でした。
ベルルッティは、そこにクロムなめしの技術をプラスし、使い始めからソフトで薄いけれど独自のエイジングが楽しめるという画期的な革を開発したのです。
そのため、ベルルッティでは靴と同じ様に新品のカバンにも、購入した方の好みに合わせて職人の手作業で色を混ぜながら、世界にひとつの美しいカラーに仕上げるパティーヌと呼ばれるサービスを行っています。
こちらはそこの部分の縫い合わせ。クラシックなキャンバストートバッグに用いられている、三角形の仕上げのを革で見事に再現しています。こうなると、モダンにデザインされたように見えてしまうところがこのブランドの強み。細部を見ると、コバの仕上げやステッチに熟練の職人の技が見て取れますね。
こうした職人技とモードの感覚が絶妙にミックスされたベルルティのバッグは、今や日本のショップで超人気商品になっていて、デキるビジネスマンのマストアイティムになっているとか。ネット画像ではわかりにくいこのバッグの半端ないオーラは、是非ショップで確認してくださいね!!
問/ベルルッティ・インフォメーション・デスク 0120-203-718
掲載した商品は税抜き価格です。
プロフィル
大西陽一(おおにし・よういち)
数々の雑誌や広告で活躍するスタイリスト。ピッティやミラノコレクションに通い、日本人でもまねできるリアリティーや、さりげなくセンスが光る着こなしを求めたトレンドウオッチを続ける。
Photograph:Kazunori Igarashi(WISH)
Styling & Text:Yoichi Onishi