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スーツの着こなしでこだわるべき5つのポイント

2019.06.12(最終更新:2020.04.09)

スーツの着こなしでこだわるべき5つのポイント

スーツの着こなしには自信が不可欠。そのためには基本を押さえることが何よりも大切です。TPOに合わせ、ふさわしい色や素材、柄、そして丈まで正しいものを選べば、きっと周囲の見る目が変わります。そのポイントと基準を解説しましょう。

スーツの着こなしの前に知っておくべきマナー

着こなしとはマナーです。自分を主張し、相手を尊重するために欠かせません。基本をわきまえることでいいビジネスの結果が残せます。

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知っておきたい世界で恥をかく日本ルールの着こなしとは?

スーツの着こなしマナー① スーツの色の基本はグレーかネイビー

ビジネススーツの基本色はネイビーとグレー。特にネイビーは若々しく、20代なら必ずワードローブに揃えておきたいカラーです。

また深みのある青は日本人の肌の色とマッチしやすく、誠実さをアピールするのにぴったりですから、年齢を問わずに活躍します。もうひとつのグレーは地味な印象があるかも知れませんが、その分落着きを感じさせます。シャツやネクタイの色を選ばないのも重宝する理由。ビジネスシーンではハードルを感じさせるチェックも取り入れやすいでしょう。

避けておきたいのは黒。冠婚葬祭用のカラーで、仕事では不向きです。モード系のものもありますが、基本的にオンビジネスでは避けてください。

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スーツの着こなしマナー② ジャケットのボタンの留め方ルール

スーツはオフィシャルな制服ですが、機動性もポイントです。通常のスーツであれば、留めるボタンは上のみ。

主流の3つボタン段返りのタイプでは、最初のボタンは飾りになるので真ん中だけ留めます。いちばん下のボタンも同様で、ここは動きやすさも考慮して外しておきましょう。また座った姿勢の際に留めたままだとシワが入るので、着席時には外すことをお勧めします。

ただスリーピースではベストのボタンを留めているので、ジャケットのボタンはすべて外しても無作法ではないうえ、このほうがすっきりしてきれいに見えます。

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スーツの着こなしマナー③ スーツの袖丈のルール

スーツの袖丈は長すぎ、短すぎ双方共にNGです。手を下ろした状態でシャツの袖が1~2cm見える長さがベスト。既成品は長めに作られていることが多く、購入時にお直しが必要です。ただ左右の手の長さがまったく同じ人は少なく、たいていは利き腕のほうが長いため、袖口の高さが同じになるように丈を調整してください。

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スーツの着こなしマナー④ ポケットに物は入れない

ジャケットのポケットは飾りと考えましょう。中に入れた形が見えてしまうほどふくらむのはNG。ジャケットのようなパッチポケット(本体の生地の上に縫い付けられたもの)であれば多少マチがありますが、通常だと裏地に一体になっているため、入れたものの重みで引っ張られてシルエットが崩れてしまいます。

左右の下側のポケットについたフラップ(蓋)は雨の浸水を防ぐためのもの。すなわちアウトドアに由来するディテールです。そのため、屋内に入ったときはフラップを折って中に入れるのがマナー。
ただ現状でその習慣はあまり重視されておらず、そのままにしておいても問題ありません、また、最近はこの部分は縫付けられていることが多く、糸を外さないままにすること多いようです。

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スーツの着こなしマナー⑤ パンツのクリースをしっかりつける

パンツのセンターに入った折り目はクリースと呼ばれるプレスラインです。フォーマルなだけでなく、足をきれいに長く見せてくれる効果があります。雨や汗で消えてしまった場合はプレス機にかけるか、クリーニング店に依頼しましょう。

スーツの着こなしポイント。好印象を与えるためには?~ジャケット編~

素材やトレンド感以上にいいスーツの条件は、着る人の体に合っていること。試着は必須ですが、どこを基準にすればいいかわからない人も多いのでは。ここではチェック項目を解説します。

スーツジャケットの着こなしの基本ポイント① ジャケットは肩で着ると心得る

しっかりと肩に載ったジャケットは着こなしの基本。肩からずれたオーバーシルエットはもちろんのこと、肩がしっかり入っていない小さめサイズも論外です。一般的に、私たちの肩は欧米人に比べて前傾気味と言われます。輸入物を購入する場合は特に注意しましょう。

肩はリフォームで特に修正が難しい箇所です。ここがフィットしていることがスーツ選びの基本にして要となります。

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スーツジャケットの着こなしの基本ポイント② 背中のフィット感をチェック

肩回りの次に全体的なフィット感をチェック。背中に突っ張りやたるみがないことをチェックしましょう。縦方向に入るシワはサイズが大きすぎる目安です。また襟の高さはシャツが1~1.5cm程度出ているのがベストバランス。

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スーツジャケットの着こなしの基本ポイント③ 胸回りは動きやすさがポイント

胸回りの基準はフィット感と共に動きやすさも重視したいところ。前ボタンを留めた状態で、ラペルの下にこぶしが一つ入る程度の余裕がジャストです。

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スーツジャケットの着こなしの基本ポイント④ 着丈は「長すぎず短すぎず」がマスト

流行にも左右されますが、ビジネススーツでのジャケットの着丈はお尻がギリギリ隠れるくらいが標準です。ただしジャケット単体の場合はさほど厳密ではないようです。

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スーツの着こなしポイント。好印象を与えるためには?~パンツ編~

気温の変化やシチュエーションに応じて脱げるジャケットにくらべ、パンツは帰宅まで履き続けているもの。体の動きも生地への負担もより大きいですから、ジャケット以上にサイズ感にこだわりたいところです。

スーツパンツの着こなしの基本ポイント① ジャケット同様にパンツもジャストフィット

パンツを後ろから見たとき、ヒップのカーブが自然にフィットしていることを確認しましょう。ヒップ下にたるみがないか、太腿周辺がピチピチ、または逆に余計なたるみがないかを確認しましょう。

またウエストは合っていても、より立体的なヒップは見落としがち。小さいと左右に生地が張ってしまい、大きいとヒップの上に余計なシワが出ます。

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スーツパンツの着こなしの基本ポイント② パンツの丈は長すぎず短すぎず、がマスト

裾がもたつく長さではシルエットが台無しです。立った状態で靴下が見えないギリギリの長さ、あるいは靴で少し前がたわむハーフクッションが限度。試着の際には必ず靴を履いて丈の長さを決めたいもの。またパンツのシルエットとも関連します。最近復活傾向のゆとりのあるタイプなどは比較的長めにすることが多いようです。

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スーツパンツの着こなしの基本ポイント③ ベルトも着こなしにおいては重要

ベルトの穴は通常五か所。真ん中の穴にピンを通すのがベストバランスです。ひとつでも左右にずれるとおさまりが悪く見えます。また革小物は色を統一するのがセオリー。靴の色と合わせるようにしてください。

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スーツの着こなしポイント。好印象を与えるためには?~シャツ編~

シャツはスーツの脇役ではなく、ビジネススタイルでのもうひとつの主役。オンの場にふさわしいタイプを選ぶように心がけましょう。

スーツのシャツの着こなしの基本ポイント① ワイシャツの色は?柄は?

基本はシャツのみが目立つような色、柄は避けること。その意味では白シャツは鉄壁です。次に好ましいのは薄いブルー。ネイビーはもちろん、グレーのスーツにもマッチします。色が濃いシャツは主張が強すぎるうえ、タイが合わせにくいデメリットもあります。

柄では色味を押さえた細いストライプがおすすめ。キャンディストライプのような太いタイプは目立つので高難度。通常のビジネスでは避けたほうがいいでしょう。

スーツのワイシャツの着こなしの基本ポイント② ワイシャツの襟で個性を出す

ビジネス用シャツでは、襟もオーセンティックなデザインが好まれます。基本はやはりレギュラーカラー。狭いナローカラーはネクタイの幅も比例して細くなりがちですから、合わせるスーツを選びます。最近ではむしろ広めが好まれ、セミワイド、ワイド、ホリゾンタル(ボタンを綴じた状態で一直線になる襟)、カッタウェイ(襟が背中側に流れるもの)が人気。

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スーツの着こなしポイント。好印象を与えるためには?~タイ編~

顔に近い場所だけに、節度を保ちつつ、自己アピールするのに最適なのがタイ。押さえておきたいポイント3個をご紹介いたします。

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スーツのネクタイの着こなし基本ポイント① ディンプル(くぼみ)を作る

ネクタイのノット(結び目)にくぼみをつけることでメリハリが出ます。これはちょうど真ん中に来るようにするのが理想。

スーツのネクタイの着こなし基本ポイント② 柄や色などで注意すべきことは…

自己アピールといっても、浮いてしまうような柄、色使いは慎みたいもの。基本はレジメンタルなどのストライプ。シャツを無地にすれば少々太めのストライプでも大丈夫ですが、強い原色が並ぶような組み合わせは避けましょう。

間に白などの中間色が入ったほうが落ち着きます。プリントはキャラクターものなど論外。小紋やドットであればOKですが、個々の柄が小さなものがおすすめです。意外に使いやすいのがソリッドタイと呼ばれる一色のみのもの。特にネイビーや濃紺などは合わせるスーツやシチュエーションを選ばず万能です。ただし、黒や白は礼服用なのでNG。

スーツのネクタイの着こなしの基本ポイント③ タイの太さと長さの基準は?

タイはデザインだけでなく、幅にも流行があります。目安となるのはジャケットのラペル。タイの大剣、ラペルのいちばん太いところが同じくらいの長さに収まるのがベストバランス。また締めたときの長さは、大剣の先がベルトにかかるくらいが適正。大剣と小剣の長さが極端に異なる場合は調整を。

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スーツの着こなしポイント。好印象を与えるためには?~靴・靴下編~

靴選びはスーツスタイルの隠れた要。ここがいい加減だとステイタスを確実に下げます。好印象を与えるビジネススーツの靴・靴下の着こなしで、押さえておきたいポイント4個をご紹介いたします。NG例も載せているので、できればOKとNGそれぞれを画像付きで紹介します。

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「スーツに合う靴とは?【色選びと靴の種類】」はこちら

スーツの靴・靴下の着こなしの基本ポイント① 靴は基本的には紐靴タイプを

靴は紐つきが基本です。オンビジネスではローファーやスリッポンはリーズに見えるので注意してください。そのなかでもなるべく装飾が少ないものがベター。

内羽根式(靴穴がついた左右対称のパーツが本体と一体になったもの)でストレートチップがオーセンティックでおすすめ。ウィングチップのようにデコレーションがあるものはカジュアル度が高くなるので注意してください。

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スーツの靴・靴下の着こなしの基本ポイント② 靴の色は黒か茶色が基本

靴はまず黒を押さえましょう。もっともフォーマル度が高いです。茶色は抜け感があり、さまざまな色のスーツに合わせられるメリットがあります。黒をひと通り押さえたら、茶を試してみるのもいいでしょう。ネイビーや明るいグレーとも相性がいいので、お洒落度がアップします。ただし、金融関係などの職場では敬遠される傾向なので、オフィスの空気を読むのも肝要です。

スーツの靴・靴下の着こなしの基本ポイント③ 靴下は靴とパンツの色味に合わせて。素肌は見せない

靴下はあくまで黒子。靴やパンツから浮かない色を選んでください。濃紺やチャコールグレーなどの濃いタイプのほうが使いまわしが利きます。気をつけたいのは地肌を見せないこと。薄手のナイロン素材、またカジュアルソックスのような踝くるぶし丈は膝を曲げたときに脛毛が見えるので避けてください。ホーズという膝下まであるものがおすすめです。

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スーツの靴・靴下の着こなしの基本ポイント④ 靴は何足か持って履きまわすこと

高い靴より、ちゃんと手入れされた靴のほうが好感度はアップします。磨きや防水などの手入れを怠らず、一日履いたら必ずシューキーパーを入れて型崩れを防ぐようにしましょう。常時使える靴をできれば3足ほど揃え、履きまわしするように心がけてください。

ワンランク上の印象を与えるスーツの着こなしテクニック3選

スーツスタイルは選び方、小物使いなどのちょっとしたコツでランクアップします。基本を押さえておいたら、覚えておきたいポイントを解説します。

ワンランク上のスーツの着こなしテクニック① 無地感覚のスーツがおしゃれを演出しやすい

まったくの無地ではフォーマル感が強いため、意外に合わせづらいもの。むしろ、目立たない柄物のほうがコーディネートしやすいでしょう。ストライプ、チェックでも同系色で線が細いシャドータイプを選ぶと便利です。

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ワンランク上のスーツの着こなしテクニック② 基本的に柄や異なる色は二つまでと心得る

スーツスタイルはスーツ、シャツ、ネクタイの三位一体で完成します。すっきりとまとめるコツは、柄を使うアイテムはふたつまでにすること、つまり、スーツとタイが柄ものであればシャツは無地、スーツとシャツに柄が入っていればソリッドタイに。全部に柄が入るとトゥーマッチな印象となります。

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ワンランク上のスーツの着こなしテクニック③ 小物のアクセント使いをマスターする

ポケットチーフやカフス、タイバーなどの小物は、スーツスタイルに許された数少ない装飾品。視界に入りやすい胸元にポイントを置いたり、何気に目につく手元にアクセントを配したりと、好印象を与えるのに格好のアイテムです、上手に活用して、大人な着こなしを楽しみましょう。

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スーツのポケットに入れていいのは、チーフだけ。[男の服飾モノ語り]」はこちら

まとめ

スーツのデザインにももちろん流行はあります。それでも仕事着として求められることは変わりません。画一的で個性を出せないと敬遠したり、とりあえず上下揃えて着ればと考えたりするようであればまだまだ初心者。基本を押さえることからスーツの奥深さが学べます。 

① スーツの基本色はネイビーとグレー。まずはこの色を押える。
② ジャケットもパンツもジャストサイズが肝心。肩を基本に袖や裾まで気を配る。
③ 色と柄の組み合わせはトゥーマッチさに注意。無地をどこかに取り入れること。

Photograph:Osami Watanabe
Text:Mitsuhide Sako(KATANA)

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