腕時計
バーゼルワールド2019 リポート
タグ・ホイヤー
2019.06.19
1月のジュネーブサロン(SIHH)に続いて、バーゼルワールド2019がスイスで3月21日~26日に開催された。時計はもちろん、宝飾系ブランドも新作を披露する大規模な国際展示会だが、今年はオメガなどが属するスウォッチグループが不参加。その影響もあって出展社数は減少したが、会場は例年同様の活気が感じられた。スウォッチグループはブランド独自に新作を発表しているので、それらも含めて注目モデルをピックアップする。
カーボンコンポジット製ヒゲゼンマイを
「オータヴィア」に搭載
カーボンは軽量な新素材として時計のダイヤルやケースなどに採用されてきたが、タグ・ホイヤーは世界で初めて時計の心臓部に導入。カーボンコンポジット(炭素複合素材)製のヒゲゼンマイを独自開発した。ヒゲゼンマイは時計の定時性を司るテンプを往復振動させる重要な機能を持つ。これを軽量で密度の低いカーボンコンポジットにすることで、重力や衝撃などの影響を実質的に受けないという。ひずみのない同心円で収縮するため、精度も向上。非磁性素材なので、完全耐磁となっている。
このカーボンコンポジット製ヒゲゼンマイに、アルミニウム合金製テンワを組み合わせることで、最適な温度特性などを実現したトゥールビヨンを2019年1月に発表。それに続く第2弾として登場したのが、「オータヴィア アイソグラフ」だ。1933年に誕生したレーシングカーなどのダッシュボード計器がルーツであり、1962年に腕時計となった。新作の「オータヴィア アイソグラフ」は、丸みのあるケースと、面取りされたラグ(ベルトとの接合部)が特徴。経過分を簡単に測定できる両方向回転ベゼルを装備しており、これをセラミック製にしたモデルもある。大型リュウズは、手袋のままでも操作できるパイロット・ウォッチからの着想。名作のDNAを継承しながら、現代的にアレンジしたモデルだ。カーボンコンボジット製ヒゲゼンマイは「キャリバー5」に搭載しており、COSCによるクロノメーター認定を受けている。
日本限定モデルとして、“ブルーコレクション”も3タイプをラインアップ。ここではホワイトダイヤルにダークブルーの針が清新な印象を与える「タグ・ホイヤー カレラ キャリバー16 クロノグラフ ブルーエディション」をピックアップした。斜体のアラビア数字がビンテージ感。
掲載した商品はすべて税抜き価格です。
問/LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー 03-5635-7054
プロフィル
笠木恵司(かさき けいじ)
時計ジャーナリスト。1990年代半ばからスイスのジュネーブ、バーゼルで開催される国際時計展示会を取材してきた。時計工房や職人、ブランドCEOなどのインタビュー経験も豊富。共著として『腕時計雑学ノート』(ダイヤモンド社)。