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ファッショントレンドスナップ47{番外編}
デザインは、人を癒やしてくれる大切なパートナー
ミラノデザインウィークレポート3

2019.06.18

大西陽一 大西陽一

ファッショントレンドスナップ47{番外編}<br>デザインは、人を癒やしてくれる大切なパートナー<br>ミラノデザインウィークレポート3

ミラノの中心地のあちこちでさまざまなデザインのイベントが行われているのは、フオーリサローネ(Fuori Salone)と呼ばれていて、名前が示すように「サローネの外」を表しています。ミラノサローネ国際家具見本市は出展料が高く色々な出展規制があるのを嫌い、ミラノ市内の家具デザイナー・中小家具メーカーの関係者らが、創作したものを展示して見てもらうという発想で、1980年代に生まれたものでした。

私も15年ほど前にミラノ サローネ取材のときにそれらの展示会に足を運びましたが、スペースは狭くネットで調べてもわからないブランドが多く来場者もまばらでした。しかし出店者やデザイナーの熱意は強く感じられました。きっといつかはミラノサローネ国際家具見本市に出展することが、彼らの夢なんだろうな……と思いながら見ていたのを覚えています。 

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それがいまのフオーリサローネは、トレンドな話題性とSNSの進歩であっという間に本家のミラノサローネを上回る人気のイベントに変身。期間中には400以上のイベントがあり、世界の著名な企業(今年はソニー、プジョー、ルイ・ヴィトンなど)も、新商品あるいは企業のブランドイメージを高めるための空間演出&イメージ作品の展示をするという状況に。街を歩いていると思わぬ場所に「これは面白い!!」と思う作品を発表しているイタリアの小さな工房に出くわすことも。

ミラノデザインウィークレポートの最終回は、そうした街で偶然見つけたユニークなデザインをまとめてみました。

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こちらは、ミラノの郊外にある工房アグネリが発表していたゴルフクラブを載せられる自転車。ラウンドするためのものというよりは、ゴルフショップなどのディスプレー向きといった感じですね。

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こちらは、ここのいちばん推しの自転車。古いバイクのパーツを使った電動アシスト機能付き自転車です。ここまでやるんだったらエンジンつけたほうがいいんじゃないかな?と思うのは私だけでしょうか。本体が重いから、バッテリー切れてから自力でこぐのは超大変だと思います……。

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この方がオーナー兼デザイナー。はっきり言って、この方のユニークな発想力と、後先を考えずまずは作って見よう!!というイタリア的な行動力に、ただただ脱帽。デザインは楽しい!!と痛感した瞬間でした。

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お次は、路上にこんな巨大な動物の足跡が。この先に進むと体育館くらいはあるスペースにライオンの群れが出現!?

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フランスの車メーカーのプジョーの展示会場だったのですが、コンセプトデザインのEV車1台と現行車両を数台展示していましたが、見せたかったのはこちら。写真の右奥に男性が立っているのが見えますが、それとこのライオン像を比べてもらえば、このスケール感とプジョーの遊び心がご理解いただけるかと。

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こちらも街をぶらぶら歩いていた時に見つけた古い壁画とハンドメイドと思われる門。奥から人が次々に出てくるので恐る恐る入ってみると、古いアパートメントの一部を使いイタリアのデザイン史の中でも異彩を放つデザイン集団「メンフィス」の作品がまとまって展示されていました。

メンフィスは、1981年に第一回の展示会を行い世界のデザイン関係者に襲撃を与えたグループで、エットレ・ソットサスを中心にミケーレ・デ・ルッキ、マルコ・ザニー二、倉俣史朗、磯崎 新などが参加していました。

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こちらは、エットレ・ソットサスの代表作「カールトン」。いわゆる本棚ですね。それまでのインテリアデザインは、ほとんどがクライアントからの制約がありその範疇のなかでしかデザインは許されませんでした。それを彼らは自分たちが作りたいものを自由にデザインするという革命的な試みを始めたのです。

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イタリアのデザイン界の中でも異彩を放つメンフィスのデザインは、当時は奇抜と感じる人もいましたが、今となっては全く違和感ありません。逆に今見るとモードな感覚さえする!!

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このデザインウィーク期間中は、この写真のように通りや建物の敷地内でさまざまな展示がされているので、観光客もミラノの人たちも思い思いにデザインを楽しむことができました。

ミラノのこの雰囲気に浸っていると、デザインは生活に欠かせない栄養素で、まさにビタミンのような存在なんだな……と感じずにはいられませんでした。

次回からは、通常のファッションスナップに戻ります。

トレンドスナップのまとめはこちら

プロフィル
大西陽一(おおにし・よういち)
数々の雑誌や広告で活躍するスタイリスト。ピッティやミラノコレクションに通い、日本人でもまねできるリアリティーや、さりげなくセンスが光る着こなしを求めたトレンドウオッチを続ける。

Photograph & Text:Yoichi Onishi

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