腕時計
バーゼルワールド2019 リポート
ラドー
2019.06.24
1月のジュネーブサロン(SIHH)に続いて、バーゼルワールド2019がスイスで3月21日~26日に開催された。時計はもちろん、宝飾系ブランドも新作を披露する大規模な国際展示会だが、今年はオメガなどが属するスウォッチグループが不参加。その影響もあって出展社数は減少したが、会場は例年同様の活気が感じられた。スウォッチグループはブランド独自に新作を発表しているので、それらも含めて注目モデルをピックアップする。
懐の深さを象徴する、現代的なビンテージと
アーティストのコラボモデル
世界で初めて時計にハイテクセラミックスを導入したラドーは、数々の革新的な加工技術も開発。多彩なカラーや、セラミックスとは思えないメタリックな輝きなどを生み出してきた。その素材感を活用したスタイリッシュなコレクションだけでなく、近年は世界のアーティストとコラボレーション。個性的なモデルを発表しており、今年も複数のアーティストが手掛けた新作が登場した。
鳥の羽根のモチーフがダイヤルからブレスレットまで広がる「ラドー トゥルー シンライン マイ バード リミテッド エディション」は、伝統と絢爛さ、独特のカラーリングで知られるロシアの有名アーティスト、エフゲニア・ミロがデザイン。セラミックの軽量性を感覚的にイメージさせる羽毛のデリケートなパターンを、高精度レーザーでエングレービングしている。
ダイヤルを横切る羽根の軸は、1時から7時の角度になっており、これは人間の最も活動的で生産的な時間帯を意味するという。深いブルーが美しいノーマーカーダイヤルに、ローズゴールドカラーの時分針とロゴがシャープにコントラストしている。
その一方で、1960年代にヒットした傑作ダイバーズモデルを現代的にリファイン。「ラドー キャプテン クック オートマティック」は、ケースサイズを42㎜に拡大したほか、風防のアクリルガラスをサファイアクリスタルに変更。経過分を簡単に計測できる回転ベゼルは、もちろん傷がつきにくいハイテクセラミックス製。
デザインも単純な復刻ではなく、オリジナルのビンテージ感を巧みにアレンジしている。約80時間のロングパワーリザーブも実用的。ラドーの懐の深さを再認識させる新作だ。
掲載した商品はすべて税抜き価格です。
問/ラドー/スウォッチ グループ ジャパン 03-6254-7330
プロフィル
笠木恵司(かさき けいじ)
時計ジャーナリスト。1990年代半ばからスイスのジュネーブ、バーゼルで開催される国際時計展示会を取材してきた。時計工房や職人、ブランドCEOなどのインタビュー経験も豊富。共著として『腕時計雑学ノート』(ダイヤモンド社)。