腕時計
バーゼルワールド2019 リポート
ティソ
2019.06.26
1月のジュネーブサロン(SIHH)に続いて、バーゼルワールド2019がスイスで3月21日~26日に開催された。時計はもちろん、宝飾系ブランドも新作を披露する大規模な国際展示会だが、今年はオメガなどが属するスウォッチグループが不参加。その影響もあって出展社数は減少したが、会場は例年同様の活気が感じられた。スウォッチグループはブランド独自に新作を発表しているので、それらも含めて注目モデルをピックアップする。
コストパフォーマンスに優れた
ダイバーズと18Kゴールドベゼルの3針
1853年創業のティソは、スイスでも老舗のブランドであり、1917年にロシア王朝から受注して製作された「バナナ・ウォッチ」は現代でも人気の高いスーパーロングセラーとなっている。世界初のタッチセンサーを備えた腕時計「T-TOUCH」など、革新的な技術開発でも定評がある。
若い人にも手が届く価格帯で、コストパフォーマンスの高い時計づくりを行ってきたことも見逃せない。今年の新作でも、本格派のダイバーズモデルが10万円以下でそろっている。
「ティソ シースター 1000 オートマティック」は、ねじ込み式リュウズとケースバックで300m防水。潜水時間を管理する回転ベゼル(逆回転防止付き)はセラミック製で傷がつきにくい。300m防水にもかかわらずシースルーバックになっており、ティソが誇るフラッグシップ・ムーブメント「パワーマティック80」のパワフルな動きが見られる。この「80」はパワーリザーブの時間を意味するので、完全に巻き上がった状態から3日間+8時間にわたって動きつづける。スポーツテイストをベースにしたミニマルなデザインなので、ビジネスシーンで着用しても違和感がない。このスペックで、オールブラックの精悍(せいかん)な3針モデルが9万3000円(税別)。
ケース径はこれまで43㎜だったが、45.5㎜にサイズアップしたクロノグラフも追加。回転ベゼルはセラミックではなくアルミニウムとなり、ムーブメントもクオーツだが、電池切れ警告機能も備えており、実用性は文句なし。ラージケースの重厚な存在感を楽しめる。
デイリーなビジネスユースに対応した3針の「ティソ ジェントルマン」も美麗に仕上がっている。特にベゼルは、この価格帯では珍しい18Kローズゴールドを採用。金無垢ならではの輝きが魅力だ。
掲載した商品はすべて税抜き価格です。
問/ティソ 03-6254-7361
プロフィル
笠木恵司(かさき けいじ)
時計ジャーナリスト。1990年代半ばからスイスのジュネーブ、バーゼルで開催される国際時計展示会を取材してきた。時計工房や職人、ブランドCEOなどのインタビュー経験も豊富。共著として『腕時計雑学ノート』(ダイヤモンド社)。