旅と暮らし
世界最高峰の時計づくりで知られるパテック フィリップが、
歴史的タイムピースなど一堂に会する大規模な時計展示会を
シンガポールで開催
2019.09.27
高度な技術力と芸術性で世界最高峰とされるスイスの名門時計ブランド、パテック フィリップが、シンガポールで「ウォッチアート・グランド・エグジビション」を開催します(2019年9月28日〜10月13日)。同社が手がけた傑作タイムピースと卓越した時計製作技術などを披露する展示会であり、2012年にドバイから始まり、ミュンヘン(2013年)、ロンドン(2015年)、ニューヨーク(2017年)に続いて、今回は第5回となります。
シンガポールはエアラインやビジネスなどでアジアのハブとなっていますが、パテック フィリップの妥協を許さないクラフトマンシップと工芸技術は昔から高く評価されており、この地域を通して近隣諸国にも深い関わりを持ってきました。今年は、シンガポールを貿易拠点として発展させる基礎を整えた英国人が上陸して200年。これを記念して、歴史的なタイムピースなども一堂に会する過去最大規模の展示会になります。
スイス・ジュネーブに所在するパテック フィリップ・ミュージアム(2001年開館)が所蔵する貴重な作品が展示されますが、これほど多数が海外に搬出されるのは初めて。プライベート・コレクターから特別に貸与されたタイムピースも含まれているので、二度と経験できない濃密で充実した内容になりそうです。エナメル細密画で広東港を往来する船舶を描いた懐中時計や、クロワゾネ(有線七宝)に微細な銀箔を埋め込んだ「タイの装飾」と呼ばれるドーム型テーブルクロックなど、アジア独自の文化・風物や動植物などの自然を描いた作品を陳列。また、シンガポール独立50周年を記念して2015年に製作されたドーム型テーブルクロックは、花火を絵柄としてアレンジ。将来性あふれる東南アジアのダイナミズムが表現されています。
この「ウォッチアート・グランド・エグジビション」の会場は、シンガポールの中心部に位置するマリーナベイ・サンズ・シアター(Marina Bay Sands Theater)。1800㎡に及ぶ展示面積に、現行コレクション・ルーム、ムーブメント・ルームなど10のテーマ・ルームを設置。ジュネーブ・ローヌ通りにある直営店のサロンや、プラン・レ・ワットの本社工房、前述したミュージアムを実際に訪問したかのような臨場感で、パテック フィリップの世界観に浸ることができます。時計製造の舞台裏が見られることも、ファンには楽しみになるはず。この展示会に合わせて、限定製作のタイムピースもいくつか発表されます。
これだけの規模にもかかわらず、入場料は無料。ただし、見学者は前もってwww.patek.comにアクセスして、チケットを入手することが必要。出品されたタイムピースのすべてを解説した詳細なカタログも刊行される予定です。同社がシンガポールをはじめとするアジア諸国を重視していることを感じさせる、これまでにない多彩で豊潤な展示会になるのではないでしょうか。
問/パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター 03-3255-8109
開催場所/シンガポール、マリーナベイ・サンズ・シアター
Marina Bay Sands Theater, 10 Bayfront Avenue, Singapore 018956
開催期間/2019年9月28日(土)〜10月13日(日)
開館時間/日曜日〜木曜日:午前10時〜午後7時(午後6時に入場締め切り)ただし10月13日は午後5時に終了(入場締め切りは午後4時)
イブニングオープン:10月4日(金)、11日(金)と10月5日(土)、12日(土)は午前10時〜午後10時(入場締め切りは午後9時)
ファミリーデー:10月6日(日)、13日(日)の午前10時〜午後5時(入場締め切りは午後4時)
プロフィル
笠木恵司(かさき けいじ)
時計ジャーナリスト。1990年代半ばからスイスのジュネーブ、バーゼルで開催される国際時計展示会を取材してきた。時計工房や職人、ブランドCEOなどのインタビュー経験も豊富。共著として『腕時計雑学ノート』(ダイヤモンド社)。