旅と暮らし

シカゴがもたらす知的な時間、アカデミックな人生!
第1回:一世紀にわたる“名建築クロニクル”を堪能

2019.10.23

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アメリカ、シカゴと聞いて、何を思い浮かべるだろうか。N.Y.、L.A.に次ぐ第三の都市であり、全米屈指のビジネスシティーのイメージもあるだろう。とはいえ、新しい時代を迎え、ここアメリカを筆頭に混沌とした世界が広がるのが2019年の現状。だからこそ、モードの先端を行くN.Y.とも違う、ピースフルで自由なL.A.とも異なる、シカゴの大らかな「アメリカらしい」空気感が、いま新鮮に映る。中西部ならではの温かみと、大都市特有の知的で洗練されたムード、そのふたつが合わさり、実に成熟したオーラを放っているのだ。そんなシカゴだからこそ享受できる、とっておきの宝物。それはまさに“インテリジェンス”と言えるだろう。

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「シカゴ美術館」や「リリック・オペラハウス」など文化的施設が充実。© Dan Rest

巨匠の作品が立ち並ぶ建築、全米第二の美術館を備える芸術、毎夜ライブが行われる音楽、さらに舞台、食文化、スポーツまで。そのハイレベルでジェネラルな充実ぶりは他の都市に類を見ない。美しい知性なしに豊かな成熟なし。人生に深みを増していきたい大人のためのティップスに満ちた街、シカゴの魅力を伝えていく。

リバーサイドから見上げる高層建築群に呆然

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まず堪能したいのは、やはり建築だろう。街そのものが建築の博物館と呼ばれるシカゴ。摩天楼発祥の地であり、世界中の名だたる建築家がエポックメイキングな作品を残している。そのきっかけとなったのが1871年のシカゴの大火。1万7400以上の建物が全焼し、850ヘクタールが焼け野原に。シカゴ・トリビューン紙が復興を呼びかけ、フランク・ロイド・ライトら有名建築家が集まって、シカゴ近代化を進める建築ラッシュが到来したのだ。

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    「シカゴズ・ファーストレディ・クルーズ」からの眺め。

その建築物は街中にも点在しているが、名物のスカイスクレイパーを目に焼き付けたいなら、訪れるべきは「シカゴ建築センター」。そして、このセンターがパートナーシップを結ぶシカゴ建築リバークルーズ「シカゴズ・ファーストレディ・クルーズ」に乗船したい。特筆すべきは、このシカゴ川沿いには、1890年代から現在に至るまで約120年にもわたる、時代を代表する建築物が立ち並んでいるということ。歴史が移れば、建築のモードも変容する。その移り変わりを目の当たりにできる“名建築クロニクル”なのだ。

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ベージュのレンガが美しい「マーチャンダイズ・マート」。エジプト建築に強い影響を受けたもので、写真では見えないが、トップにピラミッドモチーフが載っている。

たとえば、シカゴの歴史的アイコンとされる、1930年竣工の「マーチャンダイズ・マート」はアール・デコスタイル。2ブロックにもわたって横に広がった巨大な建物であり、独自の郵便番号を有しているというのも、引いた目線のリバークルーズからだと腑に落ちる。

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左にそびえるのが「マリーナ・シティ」。ユニークな姿に60年代のデザインパワーを感じる。右が「AMAプラザ」。鉄とガラスのソリッドな建物は、ミッドセンチュリーモダンそのもの。

時代は進んで1967年、まるでトウモロコシのような「マリーナ・シティ」は、バウハウスで学んだバートランド・ゴールドバーグの設計。向かいには1971年、同じくバウハウスの最後の学長で、近代建築三代巨匠のひとり、ミース・ファン・デル・ローエによる「AMAプラザ」がそびえるのも興味深い。

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右の「リバー・ポイント」は、周囲のビル群と抜ける空が曲面のガラスに映り込む姿が美しい。左の「150 ノース・リバーサイド」と合わせて、どちらも2017年竣工。

最新建築は、「150 ノース・リバーサイド」と「リバー・ポイント」が隣同士、双璧をなす。「150 ノース・リバーサイド」は超高層ながら根元がかなり細いのがわかるだろうか。公園など公共スペースを確保するデザインらしく、そこに時代性が感じられる。

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「シカゴズ・ファーストレディ・クルーズ」のチケット売り上げは建築教育支援に利用される。

最後は、紺碧のミシガン湖に出て、圧巻の摩天楼を遠くから眺める。建築の歴史と伝統、その様式美の移り変わりを、ユニークかつ的確なガイドとともに巡る90分。車や時計と同じく、機能がベースとなった建築デザインは大人の心をくすぐる。これぞ、贅を凝らした知的時間の過ごし方ではないだろうか。

シースルーの展望台で、高層建築を“体感”する

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「スカイデッキ・シカゴ」は1974年竣工、世界で2番目に高い「ウィリス・タワー」の103階にある。

さて、高層建築を見上げ尽くしたなら、次は見下ろす場所へと出かけたい。そのためにうってつけなのが、展望台「スカイデッキ・シカゴ」。一気にエレベータで103階まで上がると、それは見事な景色が広がるのだが、ここにはただの展望台とは趣を異にしたある仕掛けがある。

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    「スカイデッキ・シカゴ」は写真映えスポットとしても有名。
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それが、外壁の外に飛び出したガラスの部屋「ロッジ」。足元から地上まで412mがシースルー。高所恐怖症の人には地獄のような空間だが、その独特な浮遊感は癖になる。眼下に走る車は豆粒で、目線の高さにシカゴ・オヘア空港の発着便とおぼしき飛行機が飛ぶ。リバークルーズで知識を深めたのち、ここで高さをリアルに体感すると、高層建築を生み出した偉人たちの大いなる知恵に思いをはせてしまう。

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フランク・ロイド・ライト財団による「ルッカリー」のガイドツアーも行われている。

その「ウィリス・タワー」から徒歩5分の場所にあるのが、世界最古の鉄骨高層ビル「ルッカリー」。1880年代の復興時に活躍したシカゴ派の伝説的建築家、ダニエル・バーナムとジョン・ウェルトン・ルートによるもので、その後1905年にフランク・ロイド・ライトがロビーを改装。繊細な光が降り注ぐそのアトリウムは、ため息が漏れるほど美しい。

リバークルーズ、展望台を巡って、シカゴ建築の源流へ。時間軸で見ても、物理的な意味でも、あまりに立体的な魅力を備えるシカゴの建築シーン。マニアはもちろん、ビギナーならなおさら、知識を深めるきっかけとして十分すぎる環境である。

ピザにステーキ、シカゴ生まれのグルメは裏切らない!

さて、知識欲を満たしたなら、今度は食欲。ミシュランを獲得する星付きレストランも多くあるが、まず第1回は、シカゴ生まれと呼ぶべきオリジナリティーあふれるフードスポットを紹介したい。

<ジーノズ・イースト マグニフィセント マイル>
ここで食べるべきは、ずばりディープディッシュピザ、通称シカゴピザである。特徴はその厚さ。3〜5cmの深さの型にピザ生地を敷き、その上にトマトソースとチーズをたっぷり載せて焼き上げる。トマトの甘みとチーズのコクがうま味に変わり、意外に食べ進められてしまうが、頼む場合はやはりシェアを。シカゴピザのお店はいくつか店舗があり、地元住民はそれぞれお気に入りの店があるというから、自分の好みを探してみるのも一興かもしれない。

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「ジーノズ・イースト」は名物のピザ以外に、サンドイッチやサラダもそろう。

<STK シカゴ>
さらにシカゴではずせないのが、ステーキ。ここは表面を強火で焦がし、中をレアに仕上げたシカゴ・スタイル・ステーキが味わえる。最高級ランクのプライムビーフをはじめ、地元産の牧草牛、最長60日熟成させた熟成肉、高級肉の代名詞であるA5ランクの和牛まで、各種がそろうのだからメニューを読むだけで心が躍る。ぜひ大勢で訪れて、シェアしながら食べ比べると一気に楽しさが増すだろう。個室も備えているのでビジネスディナーにもフィットする。

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「STK シカゴ」はシカゴ発祥のステーキハウス。
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洗練と温かみ。ふたつの要素がブレンドされて、実に心地いい雰囲気をまとうシカゴの街。第2回は、世界有数の名作を擁するアートシーンを紹介する。

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<第2回に続く>

シカゴ建築センター(111 E Wacker Dr, Chicago, IL 60601)
シカゴ建築リバークルーズ シカゴ・ファースト・レディ・クルーズ
(112 E Wacker Dr, Chicago, IL 60601)
スカイデッキ・シカゴ(233 S. Wacker Drive, 103rd Floor, Chicago,IL)
ルーカリー(209 S. LaSalle Street, Chicago, IL)
ジーノズ・イースト・マグニフィセント・マイル(162 E. Superior Street, Chicago, IL)
STK シカゴ9 W.Kinzie Street, Chicago, IL

取材協力/シカゴ観光局ユナイテッド航空

Text:Maho Honjo

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