カジュアルウェア
ファッショントレンドスナップ62
新作「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」で
ジェームズ・ボンドが着たようなブラウンスーツがこの春いち押し!!
2020.03.10
日本のビジネススタイルは、クールビズや服装自由化などが浸透してきましたが、どちらかといえばポロシャツにスニーカーで、カフェでテレワークといったカジュアルバージョンが注目されがち。
その一方で少数派ではありますが、いままで会社には着て行けなかった色めのスーツやトレンドのイタリア流スタイリングを始めたというドレスアップ派の人も出てきています。
そこで、今回はそろそろ春用スーツを買いたいなと思っている方のなかでも「もうダーク系はそろっているから、ちょっと違う色にチャレンジしてみたい」とか「今年のトレンドとされるスーツを1着買いたい」と考えている方に向けて私なりの回答を用意しました。
ズバリ、この御仁が着用しているようなブラウン系スーツが2020年春のスーツがいち押し!!
昔からヨーロッパでは、春先から初夏のスーツとして人気の高い色で、素材はコットンやサマーウール。日本ではいままでは既成品では、なかなか手に入りにくいものだったので、マニアやファッション関係者がオーダーして着ていたくらいでした。ところが今年は、セレクトショップから格安スーツを売りにした専門店(ザ・スーツカンパニーなど)でも売り出されるという状況です。
そんな状況をより盛り上げてくれているのが007のジェームズ・ボンド。2020年11月に公開予定の映画「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」でボンドがブラウンのスーツを着て登場するのです。
イタリアの世界遺産の街マテーラでのアクションシーンのなかで着用していますが、ブルーのシャツにノータイで着こなしていました。ポスターでもこのスーツ姿が使われているので、ファッションに興味のない方の目にも留まり、日本でもブレークしそうな予感です!
007/ノー・タイム・トゥ・ダイの公式サイト
https://www.007.com/no-time-to-die-jp/
話が脱線してしまいました、この御仁のスーツに話を戻しましょう。実はこの御仁は、イタリアのイザイアというブランドのミラノ店のショップマネージャーの方。スーツについてお聞きすると、生地はソラーロという名前でヘリンボーン織りになっているというこだわりの詰まったものでした。
シャツは、ジェームズ・ボンドと同じブルーを合わせています。ホワイトのシャツでは、ネイビーのネクタイがスーツの色になじみにくいのですが、こうするとシックにまとまります。ポケットチーフの端がブルーになっているのも粋ですね。
いつもなら、足元にフォーカスするところですが、今回は腕元に。イタリアのファッション関係者の時計の合わせ方は、奇想天外でユニークなことが多いので興味津々でスーツのソデをあげてもらうと!!
クラシックなスーツに、モータースポーツの世界を連想させるクロノグラフをチョイス。
ブランドはチューダー。ベルトはネイビー×ワインレッドのリボンベルト(ファブリック)に付け替えています。最近ピッティやパリコレなどに来ている人の間では、この御仁のように時計のベルトをリボンベルトやNATOベルトというファブリック系のものに付け替えるのが流行中です。
こちらはこの御仁の時計のデザインに近いモデルの現行品で、日本で現在購入可能なもの。
チューダー ブラック ベイ クロノ S&G¥570,000(日本ロレックス 03-3216-5671)
時計を見せてもらったので、最後に撮影のお礼をしようとしたら、御仁がおもむろに右の腕もガバっと腕まくりして「こちらも見てね!!」と言わんばかりの笑顔に。イタリアの男性は、ブレスレットやミサンガなどをつけるのが大好きですが、この御仁のようにスーツ姿でつけている人は初めて。これだけ身につけていたらさぞかし重くて疲れるのでは?と心配してしまうのは私だけでしょうか……。
次回も春先のトレンドを取り上げてみたいと思います。
乞うご期待!!
掲載した商品はすべて税抜き価格になります。
プロフィル
大西陽一(おおにし・よういち)
数々の雑誌や広告で活躍するスタイリスト。ピッティやミラノコレクションに通い、日本人でもまねできるリアリティーや、さりげなくセンスが光る着こなしを求めたトレンドウオッチを続ける。
Photograph & Text:Yoichi Onishi