特別インタビュー
伊勢丹新宿店 メンズ館5階 メンズテーラードクロージング
スタイリスト 松本祥音さん
この人から買いたい、この一品
2020.03.27
「若いお客さまにも着こなしの魅力を伝えたいです」
スタイリストの仕事は、お客さまのサイズに合った服をお持ちするだけでなく、コーディネートを一緒に考えて差し上げることです。正統派に着たいのか、ちょっと着崩したいのかによっても選ぶ服が違います。僕自身、ようやく最近、遊びを効かせたコーディネートができるようになってきたので、お客さまにもそのあたりの説明をして差しあげたいと思っています。
入社するまでは、ずっとサッカーをやってきていて、中学時代に市の選抜に選ばれたこともあるんです。高校でもサッカー部で、3年時にはキャプテンを務めました。いまは趣味程度ですが、仕事終わりや休日に仲間と集まってフットサルをしています。
仲間内にドレススタイルの友人は少ないのですが(笑)、20代でもスーツやジャケットを楽しんで着てほしいと思っています。僕自身、社会人になるまで、ベストのことを「ジレ」と呼ぶことすら知らなかったけれど、いつの間にかスーツやジャケットスタイルの奥深さや懐の深さにとてもひかれるようになりました。20代でもスーツをきっちり着こなしていたり、ジャケットを軽やかにはおったりできたら、すごくカッコいいと思うんです。
あまり難しく考えずに、もっと自由に楽しんでいいんじゃないかなって思うんです。今日の僕はダブルのブレザーにデニムを合わせてますが、じつはインナーは半袖ニットです。デニムはサスペンダーではいているので、ウエストがずり下がらず、くるぶしがのぞく丈をキープできています。スカーフは巻かないで、あえてストールみたいに垂らしてみました。このほうがアクセサリーっぽくて気軽だし、ちょっと面白いんじゃないかなって思ってるんです。
5階は年齢層が高いと思われがちですが、若い方にももっといらしてほしいんです。特にフレッシャーズの方には、正統派のビジネススタイルからオフィスカジュアルまで、一緒に考えて差しあげられると思うんです。ただネクタイをはずしただけのビジネススタイルって、どうしても野暮ったくなりがちじゃないですか。若い人のビジネススタイルを応援したいですね。
年齢ですか? いま26歳です。年相応に見えませんか(笑)。同年代の方、ぜひお気軽に声を掛けてください!
松本祥音さんおすすめの一品
タリアトーレの別注4つボタンダブルジャケット
タリアトーレは、ファッションスナップでもおなじみのピーノ・レラリオ氏が南イタリア、プーリア州のマルティナフランカで立ち上げたブランドです。5階フロアで最も勢いのあるブランドのひとつですね。紹介したい一着は、三越伊勢丹別注モデルのダブル4つボタンジャケットです。
一般的なダブルのジャケットは6つボタンのイメージですが、4つボタンにすることでカジュアルな印象になっています。カットソーやニットとも合わせやすいので、今日の私みたいにデニムに合わせたスタイリングもしやすいです。ボタンが金色なところも、ちょっとしゃれていると思いませんか。
素材はリネン100%なのでとても軽く、特有のシワも一緒に楽しめますし、さらっとドライで清涼感もあります。日本だとリネンは夏の素材というイメージですが、夏が待ち遠しい気分で春から着てみるのはいかがでしょう。おしゃれなイタリア人男性は春が訪れると、待ってましたとばかりにリネンを着るのだそうですよ。
掲載した商品はすべて税抜き価格です。
問/伊勢丹新宿店 03-3352-1111
Photograph:Hiroyuki Matsuzaki (INTO THE LIGHT)
Text:Yasuyuki Ikeda