カジュアルウェア
ファッショントレンドスナップ63
今春トレンドのダブルの紺ブレは、
デニムシャツでカジュアルな組み合わせると洒落感増々!!
2020.04.06
紺ブレが久々にトレンドに返り咲いています。それも優等生顔のシングルではなくヤンチャなダブルの方に人気が集中しているとか。この現象は、エッジの効いたセレクトショップからツープラススーツ系の店にまで浸透中。
ネットでは、フレンチトラッドのリバイバルからの流れで人気が出て来たという説が有力。個人的にはモードブランドがこぞって今年の春夏ウィメンズコレクションでWジャケットをおしていて、トレンドに敏感なファッション系のインスタグラマーがこぞってそれを着てアップしているのも影響していると思います。
こんな状況なら、Wのジャケットや紺ブレを着て仕事したり、合コンで着ていても同僚や女性からドン引きされることはないはず!? ちなみに2020年春夏のセリーヌのウィメンズ コレクションではトップバッターがWの紺ブレを着て登場していました。
さてさて、本題のスナップに戻りましょうか。このジェントルマンが着ているのは、典型的なWブレストの紺ブレ(紺色ブレザーの略称)。ボタンはゴールド色で6ボタンです。
紺ブレは、一説にはイギリス海軍の制服が原型と言われていることもあり、そもそもはゴールド色の金属ボタンが正統。10年くらい前に「ちょいワルブーム」のときはシルバー色のメタルボタンやホワイトの貝ボタンをつけたモードぽいものやスポーティーな紺ブレが流行りましたが、今回はあえてクラシック回帰のデザインが再注目。
70年代のファッションリーダーだったフランスの作曲家&俳優(マルチタレントの先駆け)のセルジュ・ゲンスブールは、ダブルのテーラードジャケットにデニムやダンガリーのシャツでパンツもデニムというスタイルを良くしていて、それが日本でも流行しました。
それまでヨーロッパでは、デニムはアメリカの作業着くらいにしか見られていなかったのですが、彼はそれにあえて真逆のドレスのジャケットをミックスさせ斬新なスタイルを生み出した先駆者だったのです。
このジェントルマンはそのスタイルを意識したかどうかわわかりませんが、シャツはデニムシャツですね。
よくよく見るとシャツはアメリカのカウボーイが愛用するラングラー社のウェスタンシャツです。ウェスタンシャツは、ボタンが白いスナップ式でエリがレギュラーカラーでやや小さめなのがポイント。ここが、イタリアのシャツにはあまり見られないディテール。こうしたウェスタンシャツのラギッドな感じが紺ブレの優等生感をうまく消しています。
シャツのボタンは2個開けですが、内側に首から垂らす様にネッカチーフ(バンダナかも)をプラスしています。こうしたネッカチーフの使い方は、最近ピッティで流行っているので、日本でもセレクトショップのスタッフの方がトライし始めています。
全身はこんな感じ。下半身はセルジュ・ゲンスブールとは違い、短丈の白パンにタッセルスリッポンで綺麗目に仕上げています。この辺はイタリア人らしいコーディネイト。
実はこのジェントルマンはイタリアのニットメーカーの方で、大学時代はカリフォルニアで過ごしたという経歴の方でした。そう聞くと、イタリアでは珍しいラングラー社のウェスタンシャツをチョイスしたのもうなずけます。
スナップのジェントルマンのスタイルを日本で購入できるもので再現したのが上の写真。季節感を考慮し足元は、白のスニーカーソールのタッセルスリッポンに。このようにすることで全体を軽快でスポーティーなイメージにすることができます。
Wジャケット¥92,000/タリアトーレ
ウェスタンシャツ¥24,000/バグッタ(ともにトレメッツォ 03-5464-1158)
タッセルスリッポン¥72,000/ヘンダーソン(アンティシペーション 03-3473-6621)
パンツはスタイリスト私物。
次回は春に着たくなるカジュアルスタイルを予定しています。
乞うご期待!!
掲載した商品はすべて税抜き価格になります。
プロフィル
大西陽一(おおにし・よういち)
数々の雑誌や広告で活躍するスタイリスト。ピッティやミラノコレクションに通い、日本人でもまねできるリアリティーや、さりげなくセンスが光る着こなしを求めたトレンドウオッチを続ける。
Photograph & Text:Yoichi Onishi