腕時計

藤原ヒロシ、ブルガリの時計をデザインする

2020.10.27

藤原ヒロシ、ブルガリの時計をデザインする

ストリートのカリスマ率いるフラグメント デザインが、ローマのメゾンとタッグを組んで新たな時代の時計を作り出した。熟成を重ねた名作に、どのようなマジックを掛けて生まれ変わらせたのか? 今季世界が注目するコラボレーションについて、デザインを手掛けた藤原ヒロシさんにお話を伺った。

【要素を削ぎ落とすことで加わったクールネス】

これまでにも一流のトップブランドとコラボレーションを繰り返してきた藤原ヒロシさん。ストリートのカリスマとして抜群の人気を誇るこの人物は、今季さらに大きなプロジェクトを手掛け話題を集めている。ローマの格式あるメゾンとして世界に君臨するブルガリ。なんとその名門ブランドの傑作時計をベースに、今回フラグメント流のアレンジを大胆に加えたモデルがリリースされるというのだ。ある種、完成された名品をどのような観点にてデザインしたのか。藤原ヒロシさん本人に、このビッグコラボの全貌を伺った。

編集部:まず、今回コラボレーションはどのようなきっかけからスタートしたのかをお聞かせください。

藤原:昨年、ブルガリのレディースバッグをデザインした経緯があり、そのつながりから今回の時計コラボにも声を掛けていただきました。

編集部:今回は時計をデザインされていますが、ベースとするモデルに関しては、ブランドと一緒に選定されたのでしょうか?

藤原:モデルのチョイスは自分で行いました。ブルガリの時計といえば、やはりブルガリ・ブルガリがアイコンです。世代的なものもあるでしょうが、自分が若いころに年上のリッチな人がよくブルガリ・ブルガリを着けており、それが強く印象に残っていたんです。実を言うとモデルの選定などは、先方のリクエストがあるだろうと当初は思っていました。しかし、今回のコラボレーションでは自由に選ぶことができました。

編集部:ブルガリ・ブルガリは世界に知られた名作です。今回デザインを加えるに際し、どのような作業から入りましたか?

藤原:まずデザインを考える前に、本や資料に目を通し、オリジナルモデルやバリエーションなどをひととおりチェックしました。そして幾つかのスケッチを起こしつつ、アイデアを詰めていったのです。大きなポイントのひとつがダイヤルデザイン。ビンテージ風の夜光インデックスやドット・マーカーなどの候補も発案しましたが、結局はインデックスを排したデザインに落ち着きました。というのもロゴを刻んだベゼルはすでに要素も十分。であれば他の要素を削ぎ落したほうが、クールな雰囲気になると考えたからです。

本当の意味でのコラボレーションとなった

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編集部:ケースのサンドブラストも非常にいまの時代感にマッチしているように思いました。

藤原:それはブルガリからの提案ですね。確かにマットな質感は撲も非常に気に入っている部分。一見地味に見えますが、エッジ部分は細くポリッシュが掛けられるなど、手の込んだ仕上げは流石です。

編集部:ブルガリ・ブルガリにNATOバンドという取り合わせも、とてもフレッシュですね。

藤原:以前からこのテキスタイルが気に入っており、他のコラボでもNATOバンドを起用したことがあるんです。実は私物の幾つかの時計にもNATOバンドを付けています。というか、むしろNATOバンドが似合うかどうかで時計を選んでいる節がありますね(笑)。

編集部:このNATOバンドは一般的なものと少しクオリティーが異なるようですが。

藤原:そうです。ブルガリ側がオリジナル製作のバンドを用意してくれて。これが非常にハイクオリティーであり、プロトモデルと合わせたところ、ベルト通しのパーツなども含め一体感があったのでこれに決めました。

編集部:今回のコラボレーションで、個人的にいちばんトライしたことは何でしょうか?

藤原:今回の作業は、驚くほどすべてがスムーズ。明確なビジョンにてデザインも構築できましたし、要所要所で受けるブルガリサイドからの提案も非常に的を射たものばかり。それゆえ本当の意味でいいコラボレーション=共作ができたなと改めて感じています。

編集部:最後になりますが、藤原さんにとって時計とはどんな存在でしょう?

藤原:着けるのを忘れるとソワソワするほどに重要なもの(笑)。携帯電話が進化を遂げた昨今、腕時計の存在感が薄れていると言う人もいます。しかし撲自身は腕時計で時刻を確認するタイプの人間です。それに時計は、選ぶ人のアイデンティティーやテイストを示してくれる希有なアイテム。ある意味、唯一無二の存在だと思っています。

FRAGMENT×BVLGARI ブルガリ・ブルガリ日本限定モデル

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ローマの名門メゾンが1975年に打ち出し、時計デザインに新たな革命を起こしたブルガリ・ブルガリ。その名作を藤原ヒロシ率いるフラグメントデザインが、新時代のクリエイティビティーにてアレンジを加えた注目のコラボウォッチ。アイコンとも言えるベゼルには「BVLGARI」「FRGMT」の文字が刻まれ、インデックスを排したミニマルな文字盤がスーパーモダンな印象を放つ。付属するベルトは引き通し式のいわゆるNATOバンド。ストライプと無地の二種が同梱される。日本限定250本のみのレアピース。サンドブラスト加工を施したステンレススティールケースは径41mm。自動巻き。50m防水。¥500,000(2020年11月発売予定)

掲載した商品はすべて税抜き価格です。

問/ブルガリ ジャパン 03-6362-0100

Photograph: Sunao Ohmori (TABLE ROCK.INC)
Text:Tsuyoshi Hasegawa(TRS)

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