カジュアルウェア

ファッショントレンドスナップ87
ロンドン生まれのグレンフェルのスリム キャンベルは、
プロも一目置く傑作コート。その魅力を深掘り!

2020.11.26

写真・図版 大西陽一

写真・図版

新型コロナウイルス感染症拡大による外出自粛期間にファッション系のYouTubeを検索していると40〜50年代のイギリスの有名ブランドのコートやヨーロッパのミリタリーコートなどを解説するものがたくさんあることを発見。

それも、1万回再生以上あるのがざらで、正直こんなオタクな服ネタをいったいどんな人たちが見ているのか最初は理解に苦しみました。それが、最近やっと解決。要するにビンテージとか古着が確実に20〜30代の人たちのあいだでブームになっていたのですね。それも男性だけでなく女性にもかなりファンがいるようです。

#古着女子とかで検索すると出るわ出るわ。フライドチキンのCMでおなじみの女優の高畑充希さん(@mituki_takahata)は、ビンテージ好き女子として有名です。有名女性ブロガーのなかにも「趣味は古着屋巡り」などと書き込む人も目にします。

1980年代中頃ぐらいに起こったビンテージデニムの流行のときとは、ちょっと広がり方や注目されている服の傾向もかなり変わってきています。またまた話が横道にそれてしまいました……。何が言いたかったかというとビンテージのヨーロッパ系コートが再注目され人気が急騰しているということ。

代表格はイギリスのバーバリー。トレンチコートが有名ですが、最近はステンカラーコートがリバイバル。マニアックな方々は、「袖の生地が一枚布でできているのは価値がある」「フランス製のバーバリーがいい」「裏地のチェック柄は年代によって違う」とブログやYouTubeでヒートアップしています。

写真・図版

そうしたビンテージコートの熱気は、トレンドに敏感なセレクトショップにまで伝わっていて、ブランドのアーカイブに眠っていたデザインを復活させたものや別注品がかなり出ています。なかには、本国のショップで買えないような珍しいものまで日本で手に入るという逆転現象が起こるほど。

というわけで、今回はいちばん人気のステンカラーコートのスナップをチョイス。ご登場いたいたジェントルマンは、ビームスFのディレクターの西口修平さん(@shuhei_nishiguchi)。場所はミラノの高級ブティックが軒を並べるモンテナポレオーネ通り。2019年1月の撮影ですが、すでにこの時点で今年のトレンドが満載のスタイリング。

このセージグリーンのステンカラーは、この通りを歩く人のなかでもひときわオーラを放っていました。イタリアではステンカラーコートをあまり見かけないこともありますが、個人的には、ぶかぶかしていなくてスラッとしたシルエットだったのと、膝下まである丈に打ちのめされました。

実は、ありそうでないんですよこのバランス!

ブランド名を聞いたらなんとグレンフェル。英国3大コートブランドのひとつですが、ほかの2社に比べると日本ではこだわり派の方が好むブランドですね。御本人にお話を聞くと、このコートは個人オーダーしたもので、いくつかこだわりポイントがあるそうですが、わかりやすいところでは着丈を基本よりも10cm長くしたのだとか。

確かに、普通のコートに比べると長いですね。かと言って、モード系のような長さでもないという絶妙な丈。ラグランスリーブならではの肩の落ち具合もキレイですね。同じラグランスリーブでも肩先が出っ張っているブランドもありますからね……。

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取りはずしが可能なウールの裏地が付いたステンカラーコート¥138,000/グレンフェル、ハウンドトゥースチェックのジャケット¥92,000/タリアトーレ、タートルネックセーター¥22,000/ビームスF、セルビッチ付き生地を使ったデニムパンツ¥26,000/オーベルジュ、スエードのサイドゴアブーツ¥125,000/エンツォ ボナフェ(以上ビームス六本木ヒルズ 03-5775-1623 https://www.beams.co.jp)

今回の西口さんのミラノでのコーディネートを再現したのがこちら。コートの下は細かなチェックのジャケットにデニムという王道スタイルですが、西口さんならではの着こなしポイントがさりげなくありました。

光の当たり具合いによっては深いワイン色のようにも見える絶妙なダークブラウンのタートルネック。そして足元はブラウンのスエードシューズ。コートは西口さんと同じグレンフェルのものでビームス別注モデルです。

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今回取り上げたグレンフェルは、1923年創業のコートメーカー。現在はサファリジャケットやゴルフ用ブルゾンなどのアウター全般を取り扱うように。ブランド名は、イギリスの著名な探検家であり医師でもあるグレンフェル卿の名に由来しています。

防水加工を施した、同社の代名詞とも言えるグレンフェルクロスは昔の冒険家には欠かせない必需品で、エベレストの初登頂を果たしたヒラリー卿率いるクライマーも採用したとか。

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上のイラストからもわかるようにグレンフェルクロスは1930年代半になると、レインコート、ゴルフジャケット、スポーツウエアなどに幅広く使われ、当時はいまで言うゴアテックス素材のような最先端の機能生地だったようです。

映画「シャレード」では俳優のケーリー・グラントがここのステンカラーコートを着用したり、英国王室御用達になったこともあったり(現在は御用達ではない)と話題満載のブランドですが、案外知られていないのが、いまもなおロンドンの工場で作られているという事実。

英国生まれのブランドの多くはグローバル化し、現在はイタリアやアジアに生産拠点を移しているところがほとんどですが、グレンフェルはいまなおmade in U.K.。それもロンドンの郊外の本社工場で生産されているというまれなブランドだったのです。

その辺を深掘りしたい方はグレンフェルのホームページへ!! https://grenfell.com/

掲載した商品はすべて税抜き価格です。 

トレンドスナップのまとめはこちら

プロフィル
大西陽一(おおにし・よういち)
数々の雑誌や広告で活躍するスタイリスト。ピッティやミラノコレクションに 通い、日本人でもまねできるリアリティーや、さりげなくセンスが光る着こな しを求めたトレンドウオッチを続ける。

Photograph & Text:Yoichi Onishi

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