カジュアルウェア
ファッショントレンドスナップ90
しゃれたコートの着こなしはこれ!!
決め手はインナーに合わせたフーデッドパーカ。
2021.01.14
スーツはかつて上下共生地でできた室内着だったものが、19世紀後半には外出着として当たり前になったように、近代のメンズファッションは、カジュアルでスポーティーなものにドレスダウンされていくのが常。
そんな流れは21世紀になっても続いていて、今回取り上げるチェスターコートの着こなしも前世紀とはずいぶんと変わってきています。
昭和の日本ならチェスターコートは冬のビジネススタイルの主役で、下にはネクタイをビシッと締めたスーツスタイル以外は考えられませんでした。それが、いまではファストブランドからラグジュアリーブランドまでが「カジュアルなアイテムをインナーに合わして、ブルゾン感覚でラフにはおる」というスタイルに変わってきています。
今回のスナップのジェントルマンもチェスターコートをクールにドレスダウン。こうしたスタイリングが、女性からの評価が高いことを、彼女の寄り添い方から察せられます!
チェスターコートは、ジャケットの着丈を長くしたシンプルなもので、モード系コートのように強力にアピールするデザインはまったくありません。なのに、なぜこのようにモテモテになるのでしょうか?
その答えは、クラシックなチェスターコートと内側に着ているものや足元の色のバランスが女性の心をつかむカジュアルなスタイリングにまとまっているから。なんとコートのインナーは、スポーツウエアとして生まれたフーデッドパーカです。
パッと見はちょっと首まわりがだらしない感じがしますが、全体で見るとコートの堅苦しさをここで絶妙に弱めています。前世紀ならミスマッチと炎上間違いないのでしょうが、これが現代のモテるコートの着こなしになってきているようです。
全身で見るとフーデッドパーカとハイカットのレザースニーカーとのバランスがうまく取れていました。昭和のスタイリングなら、こうしたコートスタイルのときは黒のブーツというのが鉄板でしたが、そうするとちょっとハードなイメージに仕上がってしまいます。いまどきの女性のハートをつかむには、足元をトレンディーなスニーカーにして全体から甘いオーラを漂わせることがポイントのようですね。
パンツの裾丈がやたらと短く見えるかもしれませんが、ここはお好みで。くるぶしが隠れるくらいの長めでもこのコーディネートはまとまります。ただしショート丈にする場合は、ソックスをハイソックスやロングホーズにすることをお忘れなく。歩いているうちにソックスがズレ落ちたり、座ったときにスネ毛が見るのはNG。
今回のコーディネートの再現は、インナーの色をオフホワイトに変更。ジェントルマンのようなブラックにしなかったのは、黒髪の日本人だと全体が重く沈んだ印象になりがちなので。それにライトグレーのコートとの相性も抜群ですし、全体に優しさと清潔感をプラスできます。
掲載した商品はすべて税抜き価格です。
プロフィル
大西陽一(おおにし・よういち)
数々の雑誌や広告で活躍するスタイリスト。ピッティやミラノコレクションに
通い、日本人でもまねできるリアリティーや、さりげなくセンスが光る着こな
しを求めたトレンドウオッチを続ける。
Photograph & Text:Yoichi Onishi