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高級腕時計はほかの腕時計となにが違う?
時計の魅力や選び方の注意点を紹介!

2023.01.30(最終更新:2023.09.21)

高級腕時計はほかの腕時計となにが違う?<br>時計の魅力や選び方の注意点を紹介!

1本は持っていたい憧れの高級腕時計。繊細な部品で作り込まれた機構の美しさはもちろんのこと、資産としての価値を持つことも魅力のひとつです。この記事では、メンズの高級腕時計の定義や魅力、選ぶときの注意点などについて解説します。

目次
  1. 高級腕時計の定義とは?
  2. 高級腕時計を持つ意味。機械式時計の魅力
    1. 芸術品や工芸品のような味わい深さがある
    2. 実用性を超えたさまざまな機能を搭載できる
    3. 身に着けることでステイタスを示せる
    4. 世代を超えて末永く愛用できる
    5. 資産価値があり、投資としての側面も持つ
  3. 高級腕時計を選ぶときの注意点
    1. 一日に数秒の誤差が生じる
    2. ゼンマイを巻かないと止まってしまう
    3. メンテナンスの費用がかさむ
  4. 機械式とクオーツ式、どちらを選ぶべき?
    1. クオーツ式腕時計とは?
    2. クオーツ式腕時計の歴史
    3. クオーツ式腕時計のメリット
    4. クオーツ式腕時計のデメリット
  5. まとめ

そもそも高級腕時計とはどのようなものなのでしょうか? 明確な定義は存在しないものの、一般的には機械式時計をはじめとする本格派の時計を示します。機械式時計とは、巻いているゼンマイがほどける力を動力源としている時計で、手巻き式と自動巻き式の2タイプあります。

腕時計の歴史は19世紀フランスまでさかのぼることができます。当初は女性用のアクセサリーのような存在で、精度が低かったため、一般的な時計の主流と言えば懐中時計でした。しかし、すぐに時間を確認する迅速性が求められる軍隊での需要に応える形で、機械式腕時計は発展していきます。とりわけ20世紀初頭に勃発した第一次世界大戦は、腕時計が普及する大きなきっかけとなり、その後男性の時計のトレンドは懐中時計から腕時計へとシフトしました。日本でも1930年代、腕時計は懐中時計の生産数を上回るようになります。戦争を契機に発展を遂げた機械式腕時計は、次第に日用品として、さらにはステイタスを示すアクセサリーとして認識されるようになりました。

機械式時計の価格は、素材やブランドによって大きく異なります。たとえば10万円前後で購入できるブランドではハミルトンなどが人気です。30万~100万円ほどの価格帯では、ブルガリ、オメガ、カルティエ、フランクミュラーといった一般的に認知度も人気も高いブランドのアイテムがそろっています。100万円以上のものでは、ロレックス、ウブロ、ハリー・ウィンストンなどのブランドが名を連ね、2001年に誕生した新興ブランドであるリシャールミルのものに至っては、なんと約1000万円以上の価格が付いています。電池で動くクオーツ式腕時計が主流の現代において、機械式腕時計は嗜好性の高い“作品”とも言えるでしょう。

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時刻を確認するだけであればスマホで簡単にできるにもかかわらず、なぜ機械式時計はいまなお多くの人を魅了するのでしょうか? 細部にまで及ぶこだわりや時を超えて備わる価値など、機械式時計の奥深い世界を探ってみましょう。

小さなスペースに200個以上の細かい部品が緻密に組み込まれている機械式時計は、まさに職人技の集大成とも言える工芸品。特にメカニカルなものに夢中になる男性の心をくすぐる趣味性の高いアイテムです。その繊細な機構を見ているだけでうっとりとしてしまうという愛好家が多いこともうなずけます。華やかな装飾を施したものや、スタイリッシュな機能美を前面に出したものなど、各ブランドが意匠を凝らしたデザインも注目ポイントのひとつです。機械式腕時計は、独自の個性を放つ芸術品を鑑賞するような楽しみ方もできるのです。

また、現在機械式腕時計のなかで主流の自動巻き式は、腕に装着することで内部のローターが回り、ゼンマイを巻き上げて時計が動きはじめるので、「腕時計を身に着けている人と一緒に時を刻む」という特徴があります。つまり、自分だけの特別なパートナーのような時計なのです。めでるもよし、着けるもよし、機械式時計は実用性だけではないさまざまな味わい深さを備えています。

前述のとおり、機械式時計には職人の高度な技術が込められています。機構の基本は18世紀の昔から変わっていないものの、モジュール的にさまざまな機能を付加することが可能であるため、いくつもの機構のスタイルが生まれました。

そのなかにはひと握りのブランドや時計職人にしか実現できない超絶技巧を搭載しているものもあります。なかでも世界三大複雑機構と呼ばれているのが、重力による誤差を解消する「トゥールビヨン」、鐘を鳴らして時間を知らせる「ミニッツリピーター」、暦に則した日付を半永久的に表示する「パーペチュアル(永久)カレンダー」。複雑機構には、実用性という観点からは必要ではないものもありますが、これらの時計には100万円を超える価格が当たり前のようについています。役に立つことがすべて、はない、こうした嗜好性が愛好家を魅了するのでしょう。

ちなみに「時計史上最も複雑な機械式時計」の記録を持っているのが、ヴァシュロン・コンスタンタンの「リファレンス57260」。直径98ミリ、厚さ50.55ミリと、とても大きな弧の腕時計は、使われている部品の数は2800個以上で、57もの複雑機構を搭載しています。

機械式時計は、長い歴史に裏付けられた伝統や、職人技の集大成。そのため一流のブランド品として価格が高いということは言うまでもありません。しかし、そういった歴史ある高額な腕時計を身に着けることで、一流品への理解や経済力といった社会的ステイタスを周囲に示すことができます。たとえば一般的な認知度の高いロレックスやカルティエなどの腕時計であれば多くの人の目に留まりますし、ハイブランドに詳しい人や時計好きの間での評価が高いブランドのものを身に着けていれば、“わかる人にはわかる一流の機械式腕時計を身に着けている”と一目を置かれることが期待できます。高級腕時計がその他の腕時計と違う点として、ステイタス・シンボルになるということも挙げられるのです。承認欲求が満たされるだけではなく、実際に社会的信頼が得られるというシーンもあるでしょう。

また、こうした高級腕時計を身に着けることで自分に自信を持つことができるようになるという人も多くいます。こうしたことから、高級腕時計はここぞというときに大きな効力を発揮してくれる可能性があると言えます。

機械式時計は、定期的にしっかりメンテナンスを行うことで、何十年にもわたって末永く使用することができます。ひとつひとつ部品を組み合わせて製造されているため、たとえ不具合があっても分解して修理することができるのです。壊れたから買い替えるといった使い捨ての発想ではなく、修理を繰り返しながらずっと大事に使いつづけることで、特別愛着のある時計になっていくに違いありません。

また、よほど複雑な機構や特殊な部品でない限り、長い年月が経っても部品の交換ができるため、自分の時計を子どもや孫の代まで継承していくこともできます。自分とともに人生を歩んだ時計に家族のヒストリーが刻みつづけられていくというのは、機械式時計ならではのロマンチックな体験だと言えるでしょう。

一般的に高級品と呼ばれるものでも、経年劣化などで価値が下がることは少なくありません。しかし機械式時計の場合、修理をしながら使いつづけることができることや、限定生産モデルといった理由で希少価値が高まり、リセール時に購入時以上の価値がつくことが多々あります。たとえば高級腕時計の代表格とも言えるロレックスは、世界的な人気に対して供給が足りておらず、人気モデルほど正規店で買うことが難しいとも言われています。

そういった機械式腕時計は、前述のように家宝として代々受け継ぐ価値もありますし、売却して次に買う時計の資金にする時計愛好家もいます。また、株などのように相場が上がったときに売却して利益を得ることを目的とした腕時計投資なるものまで存在しています。

ただし、機械式時計にまったく興味がないにもかかわらず投資として購入を検討するのはおすすめできません。同じモデルでも製造年度などによって価格に大きな差が出るからです。それでも投資をするのであれば、商材としてではなく、あくまで時計を愛し楽しむ気持ちを持って検討しましょう。

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機械式時計の魅力を知れば知るほど、手に入れたいと思った方は多いでしょう。しかし、大きな金額の買い物になるので後悔は避けたいところ。そこで、実際に購入する前に知っておきたい機械式時計のデメリットも紹介します。

機械式時計は価格が高いので精度も高いのではないかと思われる人がいるかもしれませんが、機械式時計は電池を使わず部品の物理的な力で動いているため、どうしても一日に数秒の誤差が出てしまいます。ものにもよりますが、一日で-10秒から+20秒ほどであれば許容範囲とされています。時計の扱い方次第でも精度は変わってきます。時計の向きや部品同士の摩擦で誤差が発生することもあれば、気温の変化の影響を受けることもあるのです。また、ゼンマイが十分巻き上げられていない状態だと、ゼンマイがほどけるにつれてトルクが弱まり、精度も落ちると言われています。

一日に数秒の誤差なので日常生活で大まかに時間を確認するだけであれば問題ありませんが、秒単位で正確な時間を測る必要があれば、精度の高いクオーツ式腕時計を選んだほうがよいでしょう。

機械式時計はゼンマイの力で動くため、定期的にゼンマイを巻かないと動かなくなってしまいます。腕から外して置いたままにしておくと、ものにもよりますが2日ほどで動きが停止しまうのです。自動巻き式のものは腕に着けて活動していれば自然と稼働しつづけますが、腕の動きが少ない場合もゼンマイの巻き上げが不足して止まってしまうことがあります。止まってしまったときは、リュウズ(右側についている小さなつまみ)を奥側に回せば自分で巻き上げることができます。また、ワインディングマシーンというものに入れておけば、使わないときでも止まらない状態で時計を保存できるので便利です。

機械式時計を手に入れたら、肌身離さず身に着けて不具合がないか気を配ったり、久しぶりに着けるときにはゼンマイを巻き上げておくなど、日頃から時計と向き合う姿勢が重要になってくるでしょう。その手間がよりいっそうの愛着を生むと言えます。

機械式時計は作りが繊細なので、ほかの時計と比べて衝撃や振動、磁気に弱いと言えます。こうした不具合や故障の際、修理代が高くなりがちです。また、機械式時計を使う人は3~5年に一度、メンテナンスとしてオーバーホール(分解掃除)を欠かすことができません。オーバーホール代はブランドにもよりますが、1回につき数万~数十万円かかることもあります。

オーバーホールは故障を未然に防ぐ定期点検の意味合いが大きいですが、部品をひとつひとつ組み直すため、すり減った部品を交換したり、機構をリフレッシュしたりすることができます。そのことで精度も上がり、新品のような状態に仕上がるのです。その結果、末永く使うことができ、売却するときの価値も上がる可能性が高くなります。

機械式時計はただでさえ高額であるうえに、さらにメンテナンスにもお金がかかるというのが現実です。そのため、勢いで購入したもののメンテナンスに手が回らなくなり、価値が下がってしまったということにならないように気をつけましょう。

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機械式時計は手間もお金もかかるということがよくわかったのではないでしょうか? 一方、主に電池で動くクオーツ式時計であれば、もっと気軽に腕時計を楽しむことができます。そこで、クオーツ式時計についても説明します。

クオーツ式腕時計とは現在最も一般的に普及している腕時計で、電池を動力源として動くのが特徴です。仕組みとしてはステップモーターによって針が動き、1秒間に数万回振動する水晶振動を用いています。クオーツ時計の誤差は1ヵ月で15~30秒なので、機械式時計よりも高い精度を誇っています。さらに価格が安いので、コストパフォーマンスは抜群と言えるでしょう。クオーツ式時計の技術はデジタル時計やキッチンタイマーにも応用されています。ちなみに電波時計やGPS時計はクオーツ式時計よりも精度が高いと言われていますが、いずれも時刻を修正する機能が加わったクオーツ式時計の一種です。

クオーツ式腕時計はさまざまなメーカーから出ていますが、オメガやウブロといった高級機械式腕時計ブランドもクオーツ式腕時計を発売しています。2019年にはカルティエを代表する機械式腕時計のモデル「サントス」に、新たにクオーツの「サントスデュモン」が追加され話題となりました。もちろんこれらの腕時計は、ほかの一般的なクオーツ式腕時計と比べると高価ですが、機械式腕時計よりも安価となっています。

1923年にイギリスで初めて水晶振動子による正確な時間測定が行われ、クオーツに時計としての役割が期待されました。しかしその頃のクオーツ時計は真空管を使っていたため巨大で、一般的なものではありませんでした。一方、日本の時計ブランドであるセイコーも早くからクオーツ時計の開発に取り組んでおり、1964年の東京オリンピックでは、壁掛け時計ほどのサイズにまで小型化させた時計を大会公式時計として提供しました。

1969年、セイコーは世界で初めて市販のクオーツ式腕時計「セイコークオーツアストロン」を発売し、世界を驚かせました。それまでの腕時計は機械式が一般的でしたが、日差±0.2秒という劇的な精度の向上を実現したのです。1970年代に入ると、世界中で各メーカーが次々とクオーツ式腕時計の製造に参入し、市場を席捲しました。クオーツ式腕時計は安価で量産できるものとなった結果、機械式腕時計が売れなくなり、欧米の時計ブランドは大打撃を受けました。現在に至るまでクオーツ式腕時計が主流であることに変わりありませんが、実用性の高いクオーツ式腕時計に対し、技巧を凝らして作られる機械式腕時計は、富裕層を中心に人気を保ちつづけています。

前述のとおり、クオーツ式腕時計のメリットは安価で高精度だということです。量産可能なので、いまでは100円均一ショップでも入手することができます。あまり安いものでは期待できませんが、一般的なクオーツ式腕時計は耐衝撃性があるので、あらゆるシーンで気兼ねなく使用できます。

また、機械式腕時計と異なり数日間使用しなくても止まることはありません。もちろんクオーツ式腕時計もメンテナンスやオーバーホールをしたほうがよい状態を保てますが、末永く使うことを考えていなければあまり気にする必要はありません。オーバーホールをする場合でも、コストは1、2万円ほどで済みます。

機械式腕時計をメインにしているハイブランドの各社でも、クオーツ式腕時計を製造している場合もあります。欲しいブランドの機械式腕時計は価格的に手が出ない、あるいは機械式腕時計にはこだわっておらずブランド力のある時計が欲しいというのであれば、クオーツ式腕時計のモデルを検討してもよいかもしれません。

クオーツ式腕時計のデメリットに、電池交換が必要だということがまず挙げられます。電池は約3~5年で、電子回路も10年ほどの寿命しかありません。もちろん交換すれば使いつづけられますが、機械式腕時計のように世代を超えて末永く使いつづけるのは難しいでしょう。

その意味でも、クオーツ式腕時計は機械式腕時計と比べると資産価値も低くなります。電池を使わず動く機械式腕時計の資産価値が高いのは、メンテナンスをすれば末永く使えるという理由もあるのです。また、時計愛好者のなかでは、機械式腕時計よりも安価で量産可能なクオーツ式腕時計を格下と見る向きがあります。そのため、違いのわかる人に対してはクオーツ式腕時計ではステイタスを示すのに決め手に欠けるというデメリットがあると言えます。

ほかには、機械式腕時計はゼンマイの強さを動力源としているので、太くて大きい針を動かせたり複雑な機構にさまざまな機能を搭載できたりする一方、クオーツ式腕時計の電力では細い針しか動かせず単純な機構しか構築できないため、見た目が単純で貧相になりがちです。力強い太い針やトリッキーな機構を楽しみたいのであれば、機械式腕時計がおすすめです。

嗜好性の高い機械式腕時計と実用性の高いクオーツ式腕時計。それぞれのよさがあるので、両方持っているとシーンに合わせて使い分けることができるでしょう。ブランド名だけではなくメカニカルな部分の魅力を知ることで、時計を見る目が変わり、時計選びも楽しくなりそうです。たしかに高級腕時計の代名詞である機械式腕時計は、価格の高さに加えて日々のメンテナンスの手間などがかかりますが、その分愛着が湧いて自分だけのパートナーになってくれるはずです。そんな一生モノを1本持っているというだけで、人生が少し豊かになるのではないでしょうか。

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