カジュアルウェア

ファッショントレンドスナップ99
ボーダーTシャツで、簡単かつ手抜き感のない
春スタイルを手に入れる新ワザ公開!!

2021.04.07

大西陽一 大西陽一

春が近くなるに連れてSNSやネットでは、ボーダーと呼ばれているトップスがやたら目につくようになってきました。有名セレクトショップや百貨店、さらにはユニクロやZARAといった売り場にまでディスプレーされていますし、ホームページでも注目アイテムとしてプッシュされています。

とは言っても、ボーダーを着るのはなかなか勇気がいるな……と思っている人が多いのも事実。春らしくマリンテイスト満載なのは見てわかるけれど、実際試着すると想像以上に柄のインパクトがあり、自分のキャラと違うかも?と感じて購入を断念することも。

そこで、今回はこの春夏トレンドアイテムの攻略法と注目ブランドについて解説していきます。

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今回のジェントルマンは、トレンドのボーダーをうまく手持ちのアイテムに採り入れていました。

まず、見習いたいのはボーダーをグレージャケットの下に着ているところ。なんとなくボーダーTシャツは1枚でマリンテイストにまとめるというイメージをお持ちの方が多いと思いますが(私もそう思い込んでいた)、そうではなくアウターを一枚プラスして着るというところがポイントです。こうすることで、ボーダーのインパクトがほどよく弱められるので、初めてボーダーTシャツにチャレンジしたい方にはうってつけ。

それとこのジェントルマンは、ボーダーTシャツ(セーターかも?)の下に白のシャツをもってきています。それもシャツの裾は無造作に出していますね。こうすることで、ボーダーの悪目立ちを抑えて、ホドよく肩の力が抜けたスタイリングになっています。

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全身はこんな感じです。下半身はスリムなブルーデニムにホワイトスニーカー。ちなみに、グレージェケットはネイビージャケットに替えてもこのイメージはキープできます。そうするとボーダーTシャツ以外は、誰もが似たものは持っていそうな定番アイテムなので、案外トライしやすいスタイリングでは?

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最高級のコットンを24ゲージという細かな編み方で編まれたコットンボーダークルーネックニット¥35,200/ジョン スメドレー(ビームス 六本木ヒルズ03-5775-1623 https://www.beams.co.jp/

本題のボーダーTシャツの選び方に移る前に、このシャツのヒストリーを解説。ここを知っておくと、いまでこそトレンドアイテムとしてチヤホヤされているけれど、実は昔から メンズウエアの定番的な存在だったことがわかり、より魅力的に見えてくると思うので。

日本ではボーダーシャツとかバスクシャツと呼ばれているこの手の横しま柄の長袖Tシャツのルーツは諸説ありますが、有名なのはフランスとスペインの国境地域にあるバスク地方の船乗りや漁師が着ていたもので、1850年代にはフランス海軍の制服として採用されたというもの。当時の海軍の制服の横しま柄は、厳密に幅や間隔が規定されていて21本と決められていたとか。

当時は限られた職業の人が着る作業着および制服で、一般の人が着るものではありませんでしたが、1920〜1930年にかけてこの服を芸術家やファッションデザイナーがリゾートで着るようになり、ファッションアイテムとして注目されることに。

デザイナーのCoco Chanel(ココ・シャネル)の1930年ごろに撮影されたポートレートには、彼女がボーダーのTシャツにドレッシーなパンツを合わせているものがありますが、これを機にこのシャツは一気にファッションの仲間入りをしたと個人的には考えています。当時のことはシャネルホームページでチラっと触れられています。

男性のファッションアイテムとして世界的に広めた立役者は、画家のピカソでは。第二次世界大戦後に撮影されたポートレートにはよくこれを着ています。1960年代にはポップアートの旗手アンディ・ウォーホルがレザージャケットに合わせて着ていたという話も有名。

日本では、バスクシャツというとフランスの北部地方で1889年に創業されたセントジェームス。ただ、このブランドではバスクシャツという呼び方ではなくボーダーシャツと呼んでいますが……。

今回ピックアップしたボーダーTシャツは、イギリスの老舗ニットメーカー、ジョン スメドレーのもの。なぜこれなのかというと、ビームスならではの無数のこだわりが詰まっているからです。

まずは、生地の編み方が独特で、着心地がソフトで収縮性があります。一般的なボーダーTシャツは生地目が詰まったカチっとしたもので、綿布独特のハリ感とドライなタッチが特徴。しかしこちらは、それと見た目は同じでも着心地は別次元で高級セーターのような上品な仕上がりになっています。

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ジャケット¥264,000/スティレ ラティーノ、ニット¥35,200/ジョン スメドレー、ポロシャツ¥19,800/ドルモア、パンツ¥41,800/ロータ(以上ビームス 六本木ヒルズ 03-5775-1623 https://www.beams.co.jp/

再現コーディネートがこちら。ブラックジャケットにブラックのボーダーTシャツをコーディネートしています。伝統的なブルーよりも、こちらのほうがシックにまとまります。インナーには半袖のポロシャツを裾出しでコーディネート。ジェントルマンのような長袖シャツだと、季節的にちょっと暑いと感じる人もいるはずですし、着心地もちょっとゴワゴワすると思ったので。ボーダーTシャツの下は、半袖シャツもありですね。

もちろんインナーなしというのもありですが、首まわりが普通の丸首Tシャツに比べて大きく取られているので、肌の露出がちょっと違うので初めての方には慣れが必要かもしれませんね。

掲載した商品はすべて税込み価格です。

トレンドスナップのまとめはこちら

プロフィル
大西陽一(おおにし・よういち)
数々の雑誌や広告で活躍するスタイリスト。ピッティやミラノコレクションに
通い、日本人でもまねできるリアリティーや、さりげなくセンスが光る着こな
しを求めたトレンドウオッチを続ける。

Photograph & Text:Yoichi Onishi

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