カジュアルウェア

ファッショントレンドスナップ104
定番スタイリングをトレンドの仕様に
激変させるパステルカラーのカーディガン

2021.05.18

大西陽一 大西陽一

ファッショントレンドスナップ104<br>定番スタイリングをトレンドの仕様に<br>激変させるパステルカラーのカーディガン

カーディガンの人気が急激に高まっています。2〜3年前までは、紳士服量販店のビジネスコーナーの片隅にグレーやブラックのものが並んでいました。超定番だけどちょっと昭和の匂いのする、クラシックなアイテムというイメージがどことなくあったような気がします。

ところが、在宅勤務やリモートでのミーティングが増えてきたこともあり、気軽にはおれるうえに、体の線をうまく隠してくれるカーディガンがいきなり人気急上昇。

個人的には、山下達郎などの昭和のシティ・ポップがいまの10代~20代のあいだでブレークしているのと似ていると感じています。昭和のシティ・ポップが海外のDJにリミックスされ、令和のサウンドになったように、カーディガンもイタリアのデザイナーが斬新なアレンジをして生まれ変わりました。

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その典型的なカーディガンが、このジェントルマンが着ているもの。鮮やかなカラーのカーディガンが今季かなり出回っているのです。いままでの英国的な真面目で地味な優等生といった感じはみじんもありませんね。とにかく今年は、こうしたパステルカラーを中心としたカラフルなカーディガンがめじろ押し。

それと見逃してはいけないのが、着丈の変化。ジェントルマンのように、パンツのベルトが少し隠れるくらいの短めにしないと、このスポーティーで軽快な感じは出せません。購入する場合は色だけでなく、ここを必ずチェックしてください。

ちなみにインナーは、ボーダーTシャツですが、難度が高いと感じる方は、イラストやロゴのマークなどの入ったホワイトベースのTシャツに替えるのがいいのでは。ここを無地のTシャツにすると、全体がのっぺりした印象になり、ジェントルマンのような締まりのあるスタイリングになりません。

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パンツは王道のホワイトのコットンパンツ。カーディガンの色を品よく見せるためには、インナーとパンツの色数は控えるのが鉄則。

このジェントルマンを見ていただければわかるように、お顔はかなり濃いめですが、このカーディガンを選んだことで優しげな印象にまとまっています。こうしたパステルカラーカーディガンの効果は、休日のお出かけ着としてだけではなく、ウェブ会議やリモート飲み会などのときにも期待できるはずです。

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カーディガン¥37,400、ポロシャツ¥33,000/以上グランサッソ(エスディーアイ 03-6721-1070)パンツ¥25,300/ジェルマーノ(ビームス ハウス 丸の内 03-5220-8686)靴は著者私物

こちらが今回のジェントルマンの再現コーディネート。インナーはTシャツではなく、ポロシャツに変更。襟がつくことで、ちょっとだけきちんと感がプラスされています。

ヨーロッパではTシャツやタンクトップは肌着の感覚に近く、本来他人に見せるものではないという考えが昔はあったようです。それに対して、ポロシャツはシャツと同じ仲間。スポーツなどをするときのトップスとして広まったという経緯があるので、堂々と人前で着用してOK。現代の日本では、そうした昔話はあまりリアリティーがありませんが、一部の厳格なゴルフ場ではこうしたルールがいまだに残っているそうです。

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カーディガンは、このように肩にかけるコーディネートが様になるのもポイント。80年代にトレンディードラマの製作関係者がこうした着こなしをよくしていたので「ディレクター巻き」「プロデューサー掛け」などと呼ばれ、当時の大学生を中心に大流行しました。

この肩掛けが、最近また復活しているようで、女性の間ではもう定番コーディネートになっています。彼女たちには昭和のイメージはまったくなく、SNSでバズるトレンドコーディネートになっています。

このテクニックは照れないで男性も採り入れれば、女性のウケも狙えるはず。ポイントはカーディガンの見頃を真後ろに持っていくのではなく、肩側に少しずらしてヌケ感を出すところ。こうしたちょっとしたひと手間を加えることでトレンド感がぐっとアップします!

掲載した商品はすべて税込み価格になります。

トレンドスナップのまとめはこちら

プロフィル
大西陽一(おおにし・よういち)
数々の雑誌や広告で活躍するスタイリスト。ピッティやミラノコレクションに通い、日本人でもまねできるリアリティーや、さりげなくセンスが光る着こなしを求めたトレンドウオッチを続ける。

Photograph & Text:Yoichi Onishi

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