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ファッショントレンドスナップ106
イタリア生まれのGジャンが人気急上昇。
そのブレークの理由とは?

2021.06.02

大西陽一 大西陽一

ファッショントレンドスナップ106<br>イタリア生まれのGジャンが人気急上昇。<br>そのブレークの理由とは?

梅雨冷えが続いたかと思うと急に夏日になったりと、激しく気候が変わるこの時期。カーディガンやパーカといった軽い前開きアイテムの出番が多くなりがちですが、今年はそこに強力な助っ人が登場しました。アメカジのイメージが強かったGジャンが、今季トレンドアイテムとしてリバイバルしていて、SNS上では目下増殖中なのです。

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今回はそんな旬のGジャンにフォーカス。スナップのジェントルマンは、ビームスのプレスの林 ジェフリー 渓介さん。着ているのはベージュのGジャンですが、何かシャツのような軽快な雰囲気ですね。それにアメリカンなデニムのGジャンにはないラグジュアリーなオーラも。

「このGジャンは、イタリアのバグッタのもので、素材は麻100%。このブランドはもともとシャツファクトリーとして創業し、アルマーニなどイタリアのモード系ブランドのシャツを作っていたことで注目され、いまはイタリアを代表するブランドになっています。着心地はGジャンというよりは、シャツとブルゾンの中間という感じですね」と林さん。

これなら、梅雨冷えのときにさっとはおれば寒さをしのげるし、猛暑のときは強烈な紫外線から肌を守ってくれます。Gジャンのデザインは好きだけど、デニムだと梅雨以降は蒸れるのが……という方にも最適。またウェブ会議のときは、部屋着の上にこれをさっとはおるだけで、写りがシャキッと締まって見えるはずです。

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全身はブラウンとホワイトでまとめることで、上品で優しげな雰囲気にまとまっています。Gジャンの下は、ボーダーTシャツですが、裾はパンツにインしてベルトを見せています。アメカジではTシャツの裾はアウトにするのが王道ですが、こうしたヨーロッパ的な着こなしのときはこちらが正解。もちろん、おなかの出っ張りを隠したいという方はアウトにしてもOKですが、そのときはTシャツの着丈がGジャンの裾から出ないくらいの短めのものを選ぶとバランスが取れます。

余談ですが、日本ではTシャツの裾はアウトにして着る男性がほとんどですが、これがイタリアになるとインする人がグッと増えます。特にジャケットやブルゾンを着る時のTシャツは、普通のドレスシャツと同じ感覚でインします。イタリアは、新しいファッションを作り出している国というイメージがありますが、それはあくまでモード業界でだけで、そのほかのほとんどの人のファッションはかなり保守的。親から教わったクラシックな着こなしのルールを守っている人がいまでもかなり残っています。この辺は、カトリックの教えが今でも生活のベースに染み込んでいることと、母親の教えには逆らわない(マザコン)教育がまだ根強く残っているからではないかと個人的には解釈しています。もちろん諸説ありますが……。

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Gジャン¥38,500/バグッタ、Tシャツ¥29,700/ジョン スメドレー、パンツ¥25,300/ジェルマーノ、靴¥37,400/イルモカシーノ(以上ビームス 六本木ヒルズ 03-5775-1623 https://www.beams.co.jp/

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素材はやわらかいウォッシュ加工がされたリネン100%で、通気性がよく肌触りがサラっとしているのが特徴。シャツ生地よりは厚いものなので、デニムのGジャンのようなハリ感と着込むとワークウエア風の味が生地に出てきます。ボタンは、金属のタックボタンではなくテーラードジャケットなどに使われるドレス仕様の高級ボタンを使っています。実は、ここはかなり重要なポイントで、こうすることで全体の雰囲気がカジュアルになりすぎず品よく仕上がります。こうした、発想はもともとモード系シャツを得意にしていたブランドならではですね。

掲載した商品はすべて税込み価格になります。

トレンドスナップのまとめはこちら

プロフィル
大西陽一(おおにし・よういち)
数々の雑誌や広告で活躍するスタイリスト。ピッティやミラノコレクションに
通い、日本人でもまねできるリアリティーや、さりげなくセンスが光る着こな
しを求めたトレンドウオッチを続ける。

Photograph & Text:Yoichi Onishi

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