週末の過ごし方

『マーベラス・ミセス・メイゼル』
いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは? #4

2021.09.16

『マーベラス・ミセス・メイゼル』<br>いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは? #4

ストーリーを彩るファッションや街並みも注目

そんな自虐ネタが客に大ウケ。そのクラブの従業員スージーは彼女の才能を見抜き、マネージャーに志願、そこからミッジはスージーと共にコメディエンヌとして生きてゆくことを決意する。

ミッジがコメディエンヌとして活動してゆくうえで、たびたび女性差別的発言を浴びせられるが、それすらもジョークのネタにし、物おじせず反撃する。「女は捨て、キャラで売れ」と忠告されても、私は私と、自分らしさを貫く。

女性の社会進出が困難な時代で、悲劇にもなりうる事態をチャンスにし、力強く生きてゆく感動ドラマになりそうなところを、洪水のようなセリフとミッジの毒舌なコメディスキルでハートフルなコメディ作品に仕上がっている。もちろん感動する場面も多々あるのだが、ミッジの立ち直りの早さと、会話の速さのせいでコミカルに物語が進んでしまうのだ。

この作品を語るうえで欠かせないのが1950年代のNYの街並みやファッション、車、インテリア、内装、すべてが完璧に再現されているところだ。

終戦後に人々の心が解放され、1947年のクリスチャン・ディオールが打ち出した「ニュールック」を筆頭に、女性がファッションを楽しめるようになった時代。好景気により上流階級だけのものだったオートクチュールは中流階級にまで広がり、エレガントな装いがNYの街中にあふれている。新しい時代の幕開けにふさわしいカラフルな色使いが、見ているだけで心楽しませてくれる。

どんな問題にも真正面から向き合うミッジを見ていると、自然とポジティブな気持ちになってゆく。そんな不思議な魅力であふれている本作は、現在Amazon Prime Videoでシーズン3まで配信中で、シーズン4も年内に配信予定。もう待ちきれない!

Text:Jun Ayukawa
Illustration:Mai Endo

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