特別インタビュー

元ラグビー日本代表キャプテン、HiRAKU代表取締役
廣瀬俊朗の「新しいリーダー論」。[後編]

2022.01.19

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いくつものプロジェクトを並行して抱え、多忙を極める廣瀬俊朗は、東京・青山のスタジオにひとりでやって来た。

高校、大学、社会人、日本代表でキャプテンを務めたラガーマンは、思いのほか穏やかかつスマートで、身体からは「静かなる気」だけを発している。2016年に現役を引退し、自身の会社「HiRAKU」を興した廣瀬だが、会社代表という気負いもなく、実に凜々(りり)しいたたずまいの人だった。

写真撮影のあと、インタビューが始まってからも、その印象は間違っていなかったことがわかる。ただし、内側にたぎるような情熱と大望を隠していたことを除いて。


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日本代表時代、廣瀬は、オーストラリア人であるエディ・ジョーンズ監督と選手をつなぐいわば中間管理職のような立場にいた。エディの言葉をソフトにかみ砕いて選手に伝えたり、エディが怒り、選手が反発したときには「エディさんも目的は一緒、頑張ろうや」と緩衝材になったりした。

廣瀬が日本代表のキャプテンとして重んじたのは、「大義と目的」だった。

「なんのためにこのチームは存在するのか、なぜこのチームは勝ちたいのか、というところに共感してもらう。大きな幹の部分を共有すれば、あとは、多少自由度があってもいい。個々の自主性、主体性を拾いながら、みんなでいい世界をつくっていけたら、というのがずっと思ってきたことでした」

理想論にも聞こえるが、廣瀬は久しくこれを実践してきたのだ。ビジネスを始めたいまもこの思いは変わらない。

「大義と目的に共感してもらってプロジェクトをやるのは大前提。でないと、ある日、お金や自分の名誉に走っちゃったりする。企業であれば、なぜ売り上げをあげたいのか、あげることの意味はなんなのかを仲間と共有するということですね」

キャプテンとしてもうひとつ大事にしてきたのは、「信じること」だった。

「人はどこかで間違ったり、ミスをしたりすると思いつつ自分を信じ、仲間を信じる。一緒にやる仲間なので、根本的にキャプテンがこの人たちを信じていなかったら、絶対にチームはうまくいかない。何か問題が起きても、一緒に頑張れなくなった理由はどうして出てきたのか、と考える。常にそういうスタンスでした。コーチや監督だとセレクションもあるし、マネージメントだから、もう少しドライになると思うけど」

廣瀬がリーダーとしていかに秀逸だったかは、こうした一連の発言からも明らかだろう。

では、廣瀬が理想とするリーダー像はどういったものなのか。

「アップデートする姿勢は大事だな、と思っています。常に学び、成長しようとする姿勢があれば、みんなもこの人と一緒にやっていこう、となる。何かひとつ成功して、その経験だけをもとにやっていくんではなく、それを越えて、ときに失敗して、次にもっといいものをつくっていこう、と言えるリーダーであれば、周りもついてくると思うんです」

日本のリーダー、とりわけ政治家の在り方を見ているとなかなか新しい世界が来るとは思えない、と向けると、廣瀬はこう言った。

「上の人たちがどう去るのか、何を残すのか、そういう視点は大事だと思っています。自分が偉いとか、自分の存在意義を変につくりにいくとか、そうなっちゃうとやはり問題ですよね。そうならないためには、厳しいことを言ってくれる人が周りにいるかどうかだと思います」

廣瀬は、自身を戒めることを忘れない。

「僕は、一般の方からのダイレクトな反応を大事にしてます。イベントなどのアンケートでも、忌憚(きたん)ない素直な意見をくださいとお願いすると、正直に書いてくれるんです。そうすると、自分のなかでたるんでたなとか、甘えてたなとなる。そんな周りからの声が聞こえなくなったときは危険ですね」

次ページ走り続ける廣瀬俊朗が考える、現代のリーダーに必要な7つのエレメント。

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