調べ・見立て(調査中)
仮にスーツの購入頻度が1年に一度以下だとしても、
いまこそ買い替え時!?
編集長の「見立て」。#53
2022.03.22
昭和の経済を支えたサラリーマンであった団塊世代には、ボーナスが支給されたら百貨店でスーツを仕立てる習慣がありました。その時期になるとイージーオーダーの催事が開かれて、にぎわいを見せたものです。半年に一度のペースで夏物のスーツと冬物のスーツを購入するこの習慣は、すっかり過去のものとなりました。アエラスタイルマガジンのWEBアンケートで「スーツの購入を考える頻度は?」と尋ねたところ、「1年に一度以下」が52%で多数を占めています。「半年に一度」は19%、「季節ごと」は13%という結果です。
スーツの購入頻度が減った理由を推察してみましょう。まず、気候が温暖化して季節ごとに着替える必要を感じなくなったことが理由として挙げられるでしょう。そういった状況に対応して、季節を問わずに着られるとうたう「3シーズン用スーツ」「10マンススーツ」のためにメーカー側が生地を開発したのも、それに拍車をかけました。さらに、2005年にスタートしたクールビズでは、ネクタイや上着の着用を避ける習慣が一般化。そして、新型コロナウイルス禍によるリモートワークで、スーツを着用する頻度が減少してしまったのです。
では、現代のビジネスパーソンはどんなタイミングでスーツを買い替えているのでしょうか。アンケートの回答で最も多かったのは、「サイズが合わなくなったとき」の39%です。加齢による体重の増加、あるいは出勤や外出機会の減少による“コロナ太り”によって、これまで着用していたスーツが着られなくなったというリアルな声をよく聞きます。
それに続くのが「着ているものが古くなったとき」の回答で、31%を占めました。「古くなった」の言葉には、2つの意味があります。腕時計を着けている左腕の袖口が擦り切れてきたとか、生地の風合いがヨレてきたとか、スーツが傷んできたという意味がまずひとつ。そして、スーツの着丈やシルエットが古く感じられるようになってきたという意味もあるでしょう。形や色づかいが決まっているスーツは、ほかのファッションアイテムと比較すると、それほど大きなトレンドがあるわけではありません。それでも、微妙な形やシルエットの違いで、なんだか古く感じてしまうことがあります。バブル期に流行した大きなシルエットのスーツはもちろん論外です。そして、いまでいえば、2000年代初頭に流行したパツパツの細身スーツもNGです。ヒップが隠れないくらいに着丈が短いブラックスーツを着用している30代のビジネスパーソンは、痛すぎて、目も当たられません。