週末の過ごし方

お江戸カルチャーを100年先もこの地で。
大手町の日本旅館「星のや東京」が挑むソーシャルグッドな試み。

2022.06.30

エシカルな美食体験とユニークな試み

そして夕食、ここはぜひ地下1階のメインダイニングで、国際フランス料理コンクールで受賞歴のある総料理長・浜田統之氏が考案した「Nipponキュイジーヌ 〜発酵〜」を体験してみてほしい。免疫力を高める効果がある日本の発酵食品にフレンチの調理技法を融合させた独創的なコース料理で、想像以上に両者の相性は抜群。フランス産を中心としたワインのペアリングも絶妙だった。例えばコース2品目の「石〜五つの意思〜」では、えんどう豆味噌やイカ墨入りの塩辛、鯖のぬか漬けといった発酵食が、見た目にも美しいフレンチのアミューズへと完全に昇華。また魚料理の「尽〜初鰹の藁焼き」では、米麹醤とごま油で初鰹をマリネし、発酵食の酒盗とたまり漬けマスタードを混ぜたソースで味付け。通常は廃棄される血合の部分をブーダンノワールにして添えるなど、「尽」の名のとおり食材を使い尽くしたエシカルなひと皿で、浜田氏の料理がお目当てのゲストも多いというのが納得の美食体験だった。

写真・図版
地下1階にあるメインダイニング。版築仕上げの壁面は地層をイメージしている。
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    「ドラピエ」のノン・ドサージュのシャンパーニュと合わせることで味覚が際立つ「石〜五つの意思〜」。
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    魚料理の「尽〜初鰹の藁焼き」には、モンテ・ダッローラの自然派アマローネを。敷膳やカトラリーの柄部分も「ヒノキ工芸」(鋼の部分は「龍泉刃物」)というこだわり。

最後にユニークな試みも紹介しよう。今夏、「星のや東京」では六代 玉屋柳勢(たまやりゅうせい)による「納涼・怪談落語」を開催。これは江戸時代、人々が暑さをしのぐために夏の夜に怪談噺(かいだんばなし)を聞き、背筋を凍らせ涼を楽しむという風習になぞったもので、宿泊施設のアクティビティとしては異例となる丑三つ時(午前2時ごろ)にかけての催行となっている。もうひとつ、食欲をそそる香辛料がたっぷり入ったカレーを朝に味わう「暑気払いカレー」も今夏から始まった独創的な朝食メニュー。浜納豆や魚味噌を加えたコクのある「発酵カレー」と、野菜や牛肉を煮込んだ「欧風カレー」の2種を、1625年創業「やげん堀七味唐辛子本舗」のオリジナル七色唐辛子を加えて味わう。朝方に発汗作用の強い食事を取り、体内の熱を外に逃がして一日を涼しく過ごすという江戸の知恵を参考に企画したという。当時の文化や風習を、ユニークな体験を通じて現代に再現していく。これもまた、「星のや東京」にしかできないソーシャルグッドな取り組みと言えるだろう。

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日本三大怪談「牡丹燈籠・お札はがし」で背筋も凍る夜を。参加者は、これまた江戸の風習にならい、戸田屋商店が仕立てた藍色の浴衣をまとい参加する。
写真・図版
釜炊きの米は「煮えばな」と呼ばれる絶妙に硬めな炊き加減で、スープ状のカレーと相性抜群。この発酵カレー、今まで食べたどのカレーよりもおいしかった!

星のや東京
東京都千代田区大手町1-9-1
0570-073-066(星のや総合予約)
https://hoshinoya.com/tokyo/

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