ネクタイ
結婚式でのネクタイの結び方とドレスコード、
失礼にならない着こなしとは?
2022.11.07(最終更新:2023.09.13)
最近、ビジネスカジュアルの浸透、さらにリモート勤務の増加で、タイをする機会は少なくなってきました。でも、本来タイはVゾーンを飾る絶好のアクセサリー。女性に比べて華やかさに欠ける男性にとって、おしゃれを楽しめる数少ないアイテムのひとつです。特に結婚式などのハレの場では。ぜひ季節を問わずにネクタイをしてみたいもの。そのために押さえておきたいドレスコード、タイの選び方、さらにノットのつくり方などを解説します。
結婚式でのネクタイの結び方を知る前に理解しておくこと
まずはタイの基本のキ、各パーツの名前や幅などをおさらいしましょう。選び方と結び方を覚える前に覚えておいたほうがいい鉄則です。
ネクタイの部位ごとの名前
タイの原型は、クロアチアの兵隊が首に巻いていたスカーフと言われます。それが小さくなり、シャツの襟で固く締められるネクタイになりました。合わせて片方の先端が太く、もう一方は細くなる現在の形が完成したのです。
大剣(エプロン、ブレイド) | ネクタイ先端が太い方。ネクタイの幅も大剣を基準にされている |
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小剣(チップ) | ネクタイ先端が細い方 |
小剣通し(ループ) | 着用時に小剣を通して収まりをよくする部分。ブランドタグがこれを兼ねる場合もある |
中継ぎ(ダイアゴナルシーム) | 中継ぎ(ダイアゴナルシーム) ネクタイのほぼ中央部のパーツ。主に首周りに当たるパーツ |
カンヌキ留め(バータック) | 芯地を固定するためのステッチ |
たるみ糸(ハンドスリップステッチング) | ネクタイの裏側を縫い合わせている糸の余り |
裏地(チッピング) | 大剣、あるいは小剣の裏側の先端に施された生地 |
ヘリ縫い(ハンドロールドヘム) | 縁の処理方法 |
タイの幅は大剣のサイズが基準となります。小剣通しは小剣が動かないように固定し、収まりをよくする部分。ブランドタグが兼ねる場合もあります。たるみ糸はタイの復元力を増すために考案されたもので、タイの動きをスムーズにしてくれます。これは工程に手間がかかるため、上等なタイに見られる仕様。品質を保証するディテールといえます。
ネクタイの幅による印象の違い
ナロータイ | 4~6㎝ |
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レギュラータイ | 7~9㎝ |
ワイドタイ | 10㎝~ |
タイは幅によってカテゴライズされます。大剣のいちばん広い箇所の幅が6.0㎝から7.0㎝をナロータイ、7.5㎝から8.5㎝がレギュラータイ、9.0㎝を超えるものはワイドタイと呼ばれます。それぞれスーツはラペル、シャツであれば衿の長さと比例します。ナロータイはモードやカジュアルなスタイルに使われ、ワイドタイはクラシックな印象になります。もっとも汎用性が高いのがレギュラータイです。
ノットとの相性もポイントに
タイの結び目はノットと呼ばれます。ここがきれいな逆三角形になることに留意してください。さらに気を付けたいのがシャツの衿との相性、つまり開きの角度と台衿の高さです。結んだときのノットがはみ出さず、かつ空きすぎないようにきれいに納まることがポイントとなります。また結び方には何種類かあり、特徴がノット部分に表れます。もっとも多い結び方はプレーンノット、ウィンザーノット、セミウィンザーノット、ワイドノットなどがあります。
- タイ選びは結婚式のフォーマル度、新郎新婦との関係性を基準に
- 避けたほうがいいネクタイとはどんなもの?
- ネクタイの締め方はプレーンノット、セミウィンザーノットが万能
- 友人なら遊びのあるノットも試してみたい
タイ選びは結婚式のフォーマル度、新郎新婦との関係性を基準に
結婚式でのタイを選ぶ際、ウェディングのフォーマル度と新郎新婦との関係性が目安となります。神前式や高級ホテルなどの格式を感じさせる席では、控えめであることが暗黙のルール。さらにそれぞれの親族であれば、華美なタイはミスマッチです。ソリッドタイがおすすめですが、赤やピンクなどの「映える」色は避けたほうが無難。シルバーグレー、ネイビーなどのアンダーステートメントな色を選ぶようにしましょう。ただし、カジュアルウェディング、あるいは親しい友人や同僚という関係であれば、もう少し色艶があっても許容範囲。その場合、ビジネスシーンでもOKな明るめのソリッドタイのほか、ストライプタイ、ドットタイ、クレストタイがおすすめです。
フォーマルウェディングから二次会のパーティーへと移る場合、余裕があれば明るい色のタイに付け替えるのもありです。
避けたほうがいいネクタイとはどんなもの?
ソリッドタイといっても、葬儀を思わせる黒がご法度なのは言うまでもありません。殺生を連想させる動物柄は、結婚式に限らず、フォーマルな席ではNG。キャラクターなどの派手なプリントといった悪目立ちするものも控えてください。
素材では麻やニットなどはラフに見えるため、カジュアルウェディングとはいっても避けてください。お祝いの場にはやはりミスマッチです。
ネクタイの締め方はプレーンノット、セミウィンザーノットが万能
タイの締め方はタイやシャツとのバランスを外さなければ問題ありません。プレーンノットやセミウィンザーノットなどのベーシックなタイプは、多少デザイン性が高くてもしっくりとマッチします。
結婚式の主役はもちろん新郎新婦。いちばん華やかなのはこのふたりです。親族などふたりに近い存在はもてなす立場にあたるため、プレーンノットのようなベーシックな結び方が一般的です。ふたりの友人のような立場であれば、それ以外の結び方もOKです。
ここでは代表的なプレーンノット、セミウィンザーノットのほか、ダブルノット、ウィンザーノットを解説します。
プレーンノット
1.大剣を小剣より長くしてシャツの衿から垂らし、第3ボタンくらいの位置で大剣のほうを上側にして交差させる。
2,3.大剣を小剣の周りで一周させる。
4.大剣を体の側からくぐらせる。
5.くぐらせた大剣を、先ほど巻いたときにできた輪の内側に通す。このとき結び目を片手で押さえながら、大剣を下方に引っ張る。そして結び目を押さえたまま、小剣を引っ張って結び目を衿元までスライドさせる。
セミウィンザーノット
1.大剣を小剣より長くしてシャツの衿から垂らし、大剣の上にして小剣の下から回す。
2.大剣を最初に交差させていた上側に向かわせ、前から体に向かって通す。
3.大剣を再び、小剣の周りで一周させる。
4.大剣を体の側からくぐらせる。
5.くぐらせた大剣を、先ほど巻いたときにできた輪の内側に通し、結び目を押さえたまま、小剣を引っ張って結び目を衿元までスライドさせる。
ダブルノット【華やかに見える結び方】
ダブルノットは、プレーンノットにもうひと巻きプラスした結び方です。プレーンノットよりも結び目が縦長で、大剣の長さがコンパクトになります。華やかさを演出できます。
ウィンザーノット【落ち着いた印象の結び方】
洒落者であり、メンズファッションに大きな影響を与えたイギリスのウィンザー公が流行の由来と言われています。ボリューミーなノットでワイドカラーシャツにマッチ。より首元がアピールされます。
友人なら遊びのあるノットも試してみたい
新郎新婦の身内ではなく、友人という関係であれば、もう少し凝った結び方もアリです。結婚式はやはりハレの場。パーティーというシチュエーションですから、日頃のビジネスではあまりする機会のないタイのおしゃれを楽しんでみましょう。
スモールノット【がっちりした方におすすめ】
スモールノットは、名の通り、結び目が小さいのが特徴。厚めの生地のネクタイでボリュームを抑えめにしたいときにおすすめの結び方です。
ブラインドフォールドノット【スカーフ風な結び方】
名の通り、ノットが見えないように大剣をもう一回前に回す結び方。アスコットタイのような印象になります。
クロスノット【お洒落な結び目】
ノットに2重を巻くように結ぶ。正面から見て左右対称に斜めの線が入る凝った手法で、さり気なく洒落っ気を演出できます。
ヴァンウェイクノット【襟元がスッキリ見える結び方】
ぐるぐると巻き付いたような凝ったノットが特徴。より華やかでエレガントな雰囲気を醸し出します。
ノンノット【カジュアルな印象】
プレーンノットと同じ結び目ですが、その中に1本斜めにラインが入ります。大剣に小剣を2回巻き付けるため、ボリュームがかなり大きくなり、少しカジュアルな印象に。
結婚式でのネクタイの結び方で気をつけること
- ディンプルの形に気をつける
- ジャケットのラペル幅と大剣幅を同じにする
- ネクタイの長さでバランスを保つ
ディンプルの意味はえくぼ。タイの真ん中にきれいに入るのが基本かつベストです。ネクタイを締め上げる際に人差し指を軽く当ててくぼみを作るのがきれいにつくるコツです。
タイの太さを決める際。ポイントとなるのはラペルと大剣の幅。ここに差が出すぎると、Vゾーンがアンバランスな印象になります。
タイの長さは大剣と小剣が同じ長さになるのが理想ですが、もうひとつのポイントは大剣がベルトのバックルに軽くかかる程度を目安とすること。ここから短いと寸詰まりの印象となり、長いとだらしなく見えます。
結婚式でのネクタイの結び方は式の雰囲気に合わせよう
ビジネスのカジュアル化が進んでいますが、結婚式はタイのコーディネートを楽しめる絶好のシチュエーション。式の雰囲気や場所にマッチした結び方にするだけで、会場に入る前から気分は盛り上がります。新郎新婦との関係性と自分の立ち位置を考え、ぜひVゾーンで最上の祝福を表してみませんか。
Text:Mitsuhide Sako(KATANA)