調べ・見立て(調査中)
新しい働き方でさらに変化してきた
メールのマナー、LINEのマナー。
編集長の「見立て」。#61
2022.11.18
私が社会人としてのキャリアをスタートさせたころは、仕事上の連絡は固定電話でするのが常識でした。場合によっては、まれにファックスを使うこともありましたが、携帯電話もメールもまだなかった時代です。先輩の編集者から、「編集部に外線電話が掛かってきたときには新人が誰よりも先に出るべし」と教えられました。男性誌に配属されたか、女性誌に配属されたかによって、電話で応答する言葉遣いのマナーも違ったりしたものです。
携帯電話が一般的になりはじめたときも、メールが使われるようになったときも、ビジネスにおける使い方のマナーに論争がありました。「いきなり携帯に直電を入れるのは失礼だ」とか、「メールしたら、電話してそれを伝えるべきだ」とか。その後、内線の代わりに会社から携帯が支給されるようになったり、社内ではメールよりもスラックなどを使うようになったりと、連絡ツールを巡る常識やマナーは刻々と進化しています。
アエラスタイルマガジンの「調べ」アンケートで「仕事上の連絡をするときに、まず最初に使うのは?」を問うたところ、「会社の固定電話」22%、「担当者の携帯電話」22%、「担当者のメール」56%という結果となりました。リモートワークが一般化していくなかで、会社の固定電話に連絡を入れても、担当者がオフィスに在席しているとは限りません。あるいは、自宅やシェアオフィスで仕事中の相手が携帯電話で話しづらい状況の場合もあります。と考えていくと、「まずはメールで連絡を入れる」のが現在の常識のようです。
では、メールのマナーはどうなっているのでしょうか。アンケート結果によると、「即レスを心掛ける」34%や「要件を簡潔に書く」31%が上位の回答となりました。LINEなどで未読か既読かがわかるようになった現在では、自分のメールが相手に読まれたかどうかがわからないのは、メールを送信した側にとってはストレスの一因となります。要件に対する回答が整っていなくとも、まずは「メール拝受」とか「〇〇までには回答します」とだけでも即レスするのは、いまどきのビジネスパーソンのマナーと言えるでしょう。ただし、これも度が過ぎるのは考えものです。終業後、場合によっては夜中であっても、即レスを返してくるビジネスパーソンもいます。そうすると、送ったほうも、「夜中でもレスポンスしなければ」といったプレッシャーになる場合もあるからです。仮に返信の文面を夜中に書いたとしても、下書きホルダーに入れておいて、翌朝の始業時間になってから返信するといった気遣いをすれば、夜中のメール応酬に疲労困憊(こんぱい)なんて事態にならなくてすみます。
「要件を簡潔に書く」というマナーも、ビジネス相手に対する思いやりにつながります。メールで何を尋ねているのかが明快に伝わるように「質問1〇〇〇、質問2×××、質問3△△△」と整理して要件を書けば、受け取った相手は、インラインで回答すればいいだけです。また、回答期限を明示するのも重要でしょう。いつまでに回答すればいいかわからない問いかけや依頼のメールは、送った側は「いつ回答が来るか……」と気がかりとなり、送られた側は「とにかくすぐに返事をしなければ」とせかされた気分になる場合もあるからです。
「業務の連絡にLINEを使いますか?」のアンケート結果を見ると、「業務では使わない」が48%となりました。「近しい同僚とだけ使っている」35%という回答も併せて見ると、仕事相手とのビジネスツールとしては認識されていないようです。業界によっては、一人ひとりにメールを入れるよりもグループLINEで連絡したほうが手っ取り早いと考える人もいます。ただし、LINEでのやり取りを後々のビジネスドキュメントに反映するのは違和感があります。込み入った要件ではなく、単純な連絡程度にとどめることをおすすめします。