スーツ
スーツのベストのボタンを留める数は?
スリーピーススーツのボタンマナー
2022.12.27
スーツはビジネスでのユニフォームであり、着こなしがすべて見た目とパフォーマンスに直結します。そのひとつがボタンの留め方。意外に無頓着な方が多いのではないでしょうか。スーツを着る際、ジャケットやベストのボタンはどこまで留めればいいのか、意外に知られていません。これだって立派なマナーのひとつです。
今回はちょっとしたことでスマートに見えるスリーピーススーツの着こなしにおけるボタンのルールを解説します。
スリーピーススーツのベストのボタンマナー「アンボタンマナー」とは
もともとスーツは貴族の礼服に由来します。スーツが男性の服飾文化の主流となるに従ってデザインと機能性の折衷が図られ、ジャケットは3つボタンでいちばん上が段返り(ラペル下の折り返し部分)、真ん中ひとつがけがオーソドックスな着こなしになりました。つまり、いちばん上といちばん下はデザイン的なポイントで、このふたつを留めないことが基本。通常のスーツのジャケットは身頃の下がカーブを描いており、いちばん下のボタンを留めると見苦しいシワができることも理由のひとつです。これを「アンボタンマナー」と呼びます。
また、意外に見落としがちですが、スーツ姿で座るときは第二ボタンも外してください。ちょうどお腹の上に位置するため、留めたままだとジャケットの真ん中にシワが寄ってしまうからです。
スリーピーススーツは、よりクラシカルかつフォーマルなデザインです。ジャケット、スラックスと同じ生地でつくるのが基本であり、ジャケットを脱いでもさほどラフな印象を与えません。この場合、ジャケットのボタンは留めず、下に着るベストを見せるようにします。そして、このベストにアンボタンマナーが適用されます。
スリーピーススーツのベストのボタンの留め方をシングルベストとダブルベストごとに解説
最初に述べた通り、スリーピーススーツを着用した場合、基本的にジャケットのボタンは開けたままにする代わりに、ベストのボタンは留めます。でも、ベストもシングルとダブルでは留め方に違いがあり、ここでもアンボタンマナーが適用されます。
シングルベストのボタン留め方
シングルベストのボタンは4~6つなどデザインによって数は異なりますが、どれもいちばん下のボタンを外します。もともと左右が離れた位置にあり、飾りとしてあしらわれたものも少なくありません。
ダブルベストのボタンの留め方
よりフォーマルなダブルベストは左右で6つ、または8つが主流で、前身頃にあたる右下のボタンを開けるのがセオリーです。ただ、結婚式で親族の立場であったり、よりフォーマルなシーンでの着用だったりする場合は、すべて閉じてしまっても構いません。また、右側いちばん上にデザイン的に配されたボタンがありますが、こちらは飾りなので留める必要はありません。
スリーピーススーツのボタンは結婚式やお葬式ではすべて留める
例外的に、スリーピーススーツの着用時にもジャケットのボタンを留めることがあります。結婚式や葬式などのフォーマルシーン、またビジネスでもかなり目上の人とのミーティングの場合は留めるのがベターです。
スリーピーススーツのベストのボタンはマナーを守って着こなそう
ジャケットと同様、スリーピーススーツのベストにもアンボタンマナーがあります。基本的に飾りにあたるいちばん下は開けるのがルールです。
またベストを着用した場合、ジャケットのボタンを開けるようにしてください。両方を留めるとかなりタイトな印象が強くなり、着脱という機能的な装身具であるボタンの存在感を強調され、見栄えがあまりよくありません。ただフォーマルなシーンでは双方を留めて、アンダーステートメントな態度を表現することはOKです。シチュエーションに合わせて判断してください。
Text:Mitsuhide Sako(KATANA)