週末の過ごし方
銀座で美食の革新を追求。
小林 圭シェフと「とらや」が目指す「美食の研究所」とは?
2024.07.18
2020年、フランスでアジア人初となるミシュランフレンチ三つ星を獲得し、5年連続三つ星を守りつづけているのが、パリ1区にある「Restaurant KEI(レストラン・ケイ)」のオーナーシェフ、小林 圭氏だ。世界中の美食家たちから注目を浴び、愛されつづける気鋭のシェフが、2024年春、500年もの歴史を誇る和菓子屋「とらや」とタッグを組み、レストラン&バーを銀座にオープン。気鋭のシェフが掲げる、レストランの新たな在り方、「美食の研究所」とはー―。
銀座中央通りに面する、TORAYA Ginza Building。この11階にあるのが、「ESPRIT C. KEI GINZA」である。小林 圭シェフと「とらや」がつくる、伝統と新しさが共存する新たな美食空間だ。この空間に足を踏み入れると、まず大きなオープンキッチンが目に飛び込んでくる。シェフたちが食材に真摯(しんし)に向き合い料理している姿は、まるで舞台を見ているようなエンタメ感と活気に満ちあふれ、心が躍る。それも、「料理人に限らず、ここで働くすべての人が食材を学び、研究し、美食の神髄をお客さまと共に分かち合い、料理だけでなく、このレストランでの体験すべてがお客さまの心を満たすものであってほしい」、そんな小林シェフの思いが体現された空間だからなのである。
メニューにも、小林 圭シェフの料理人としての精神「自然の恵みに敬意を払い、お客さまの記憶に残る料理を作ること」が表れている。まず、コースではなく、アラカルトであること。今日手に入る最高の食材をベストな方法でおいしさを引き出すメニューラインアップであること。銀座という場所も相まって、そのときにしか出合えない一期一会スタイルもまた、どこか食のエンターテインメントを楽しむ非日常をのぞかせ、特別感を演出してくれるような食体験を味わうことができる。
以前、小林 圭シェフも師事していたフレンチの巨匠、アラン・デュカス氏にインタビューしたときに、シェフとしての信念として、「ローカルのもの、どこで誰が生産したものなのかが明確なもので、常に何か食材を探し、それをいかに(食材の良さが引き立つように)よりいい料理ができるよう常に意識しているし、たとえば食べてもらったときに(環境や自然に対して)考えが巡るような料理をしたい」、とソーシャルグッドな食への姿勢について話す姿が印象的だった。
料理人として考える自然回帰、人にとって食べることとは何なのか、現代人にとっての食の本質的な意味とは。何よりもまず、「自然の恵みに敬意を払う」という小林シェフのエスプリ、料理への姿勢が宿る、「ESPRIT C. KEI GINZA」でもまた、そんな世界の美食の潮流を存分に感じることができるはずだ。
このレストランの上階にある「ST LOUIS BAR by KEI」 もまた、銀座での夜を特別なひとときにしてくれる空間だ。1586年に創業したフランスのクリスタルメゾン「Saint-Louis(サンルイ)と小林 圭シェフがコラボレーションした新たなスタイルのバーでは、サンルイのグラスで提供されるドリンクと供に、小林シェフがディレクションする料理とデセールを楽しむことができる。なかでも注目は、レストランのデセールメニューにもラインアップされている「ヴァシュラン」。小林シェフのレストランのシグネチャーデセールを銀座バージョンにしたもので、「とらや」のあんを使ったソースを最後にかけることで、和と洋を同時に味わえる、ここならではのメニューのひとつ。
「ESPRIT C. KEI GINZA」で食事をした後、デザートは「ST LOUIS BAR by KEI」で。という楽しみ方も、特別な夜にふさわしい楽しみ方ではないだろうか。感性が刺激される空間と料理、そしてお酒で、特別な人と、特別なひとときを過ごしてみては。
ESPRIT C. KEI GINZA(11 階)
営業時間/17:30~23:00(L.O. 20:30)
定休日/日曜・月曜日
席数/30 席(テーブル、カウンター、個室)
www.maisonkei.jp/esprit_c
ST LOUIS BAR by KEI(12 階)
営業時間/17:30~23:30(L.O. 23:00)
定休日/日曜、月曜日
席数/31 席(カウンター、個室、半個室、テラス席)
www.maisonkei.jp/st-louisbar
Text: Ai Yoshida