週末の過ごし方
『エミリー、パリへ行く』
いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは? #79
2024.08.22
2024年夏季オリンピック開催地として全世界の注目を集めたパリ。そんな興奮冷めやらぬパリが舞台の『エミリー、パリへ行く』、待望のシーズン4パート1が8月15日にスタート(パート2は9月12日)!
『セックス・アンド・ザ・シティ』を手がけたダーレン・スターと、衣装デザイナーを務めたパトリシア・フィールド(本作ではシーズン2まで)が再びタッグを組んだというだけでも話題性はあるが、それに加え実際にあるパリの有名なカフェテリアやレストラン、広場や公園などで撮影が行われているため、「パリを旅行している気分になれる!」と話題に。パリでの暮らしに慣れてきたエミリーの、仕事や恋の行方に世界中が注目している。
シカゴのマーケティング会社から、急遽(きゅうきょ)パリへ赴任することになったエミリー。期待に胸を躍らせ憧れの街パリについたエミリーだったが、初っ端からフランス語ができないのでは話にならないとボスには冷たくされ、職場では“田舎者”とあだ名をつけられる始末……。友人もいない、恋人とは離れ離れ、行く先々で起こるカルチャーショックに驚かされることばかりだった。
でもエミリーはくじけない。いつだって前向きに、斬新で新しいアイデアを生み出すことができる能力を生かし、徐々に周りの人たちを魅了してゆく。
プライベートでもハプニング満載! パリでできた友人たちと共に、恋に、仕事に、新しい環境で奮闘する姿を描いた痛快ロマンチックコメディ。
注目されていた作品なだけに、配信当初は「時代遅れもいいとこ」「フランスのイメージを誇張しすぎている!」「これはSF?」などとフランス人からは少々厳しい意見が多かった。
確かに突っ込みどころは満載で、パリを訪れたことのない人が抱きそうなパリのイメージをそのまま具現化したような、ステレオタイプな表現は実際に多い。エミリーの上司が、所かまわず喫煙していることだけは違和感があるが(今は室内禁煙が当たり前)、シカゴから来たアメリカ人が、パリに来たらしそうなことを見事に皮肉たっぷりに表現しているとも言える。
どちらの視点から観るかで意見が分かれそうだが、それを含めて楽しめるというのも正直なところ見どころのひとつなのだ。
パリのロケーションや衣装に関してはさすがSATCを手がけた制作陣、街を生かすストーリー作りはお手のもの。最高に魅力的なシーンの連続で、見ているこちらも旅をしている気分だ。
パリの人たちはみんなオシャレ! 私も毎日着飾って、パリを満喫するの!と言わんばかりのエミリーファッションは、ハイブランドとフランス発のミドルブランドをかけ合わせるスタイルが主流。どのキャストを見ても、それぞれ個性として衣装に現れており、登場人物を覚えるのに苦労しないのはこの効果のおかげだろう。
果たしてエミリーの恋の三角関係はどうなっていくのか? アメリカの恋愛観とフランスの恋愛観はちょっと違う? とんでもなく急展開したシーズン3の終わりから、心待ちにしていた人は多いだろう。
一見華やかに見えるマーケティング業界でも、クライアントはひと癖ある人ばかり。フランス流の仕事の仕方や、フランス流の自由な恋愛、カルチャーショックに悩まされながらも、“C'est la vie!”「それが人生」とひたすら前向きに突き進んでゆくエミリーに、きっとパワーをもらえるはず。
『エミリー、パリへ行く』はNetflixにて配信中。
Text:Jun Ayukawa
Illustration:Mai Endo