カジュアルウェア
新生MUJI Laboのコスパ最高で
エコ&エシカルなジャケット
ファッショントレンドスナップ205
2024.11.14
東京のトレンド発信地の銀座、青山(表参道)とはひと味違うファッションやカルチャーが渦巻いている代官山。
ここには、代官山をファッションの街にけん引した「ハリウッドランチマーケット(1979年移転オープン)」や、樹齢300年以上の巨木がシンボルの老舗「カフェ ミケランジェロ(1997年オープン)」、ファッションを中心にさまざまなジャンルの書籍などを扱いながらポップアップストアや野外イベントも行う「蔦屋書店(2011年オープン)」など、ほかの街にはない独特の雰囲気を醸し出しているカリスマ的なショップが点在しています。
個人的には、20代の雑誌編集アルバイトだったころ、買いものもしないのによく通った、「同潤会アパート(1996年解体)」にあったイギリスの靴やウエアを扱う「ロイド クロージング(現在は銀座でロイド フットウエアとして営業)」は、いまだに忘れられません。
ショップに入ると独特の香りが漂い、一瞬でブリティッシュ魂を吹き込まれたのが懐かしい思い出。
今回は、そんな思い入れが強い代官山に新しい風を吹き込んでいる無印良品 代官山にフォーカス。
既に、YouTubeやSNSではさまざまな動画や記事が上がっていますが、私的にはどうしても現物を見て試着したい!という一着があったのでショップに駆け付けました。
「MUJI Labo(ムジ ラボ)」が今季からリニューアルされ、そのコレクションと世界観を詰め込んだのが「無印良品 代官山」。そのラインアップのなかで最も刺さったのが、ライトグレーのカシミヤ混ジャケット。
ショップスタッフの田中陸登さんが着用しているカットを見ていただきたいのですが、ベーシックなデザインでありながら、どことなくモード感が漂っているように見えませんか。従来のジャケットにありがちな重厚でシャープなイメージがほとんどなく、逆にライトで優しいフォルム。
「このジャケットは、デザインはとてもシンプルですが、新『MUJI Labo』ならではのこだわりが詰まっています。デザインのポイントは、胸ポケットは付けず、腰ポケットはパッチにしているところ。サイズ感はトレンドを意識したややゆったり気味。生地は再生カシミヤと再生ウールにナイロンをミックスしたものです。その二枚の生地を張り合わせて一枚にしたダブルフェイス仕様になっているのですが、そうすることで上品な見栄えと軽さを生み出しています」と田中さんがこのジャケットの魅力を明かしてくれました。
私も実際着てみましたが、とにかく軽く包み込まれるような着心地は、ハイブランドが作るダブルフェイスのジャケットとほとんど変わらないレベル。なかでも肩周りとバストの立体的な仕上がりは超ハイレベル。これが2万円台で買えるなんて奇跡!(注)あくまでも個人的な見解ですので、あしからず。
しかも、この生地は感動もののストーリー。実は再生素材のこの生地は、昨今のエコ&エシカルブームに便乗した新しい技術ではなく、日本の毛織物の産地である尾州地区(愛知県の一宮市を中心としたエリアと岐阜県の西濃エリア)で、古くから受け継がれてきた再生ウールの技術を進化させたものなのです。(注)尾州の再生生地&糸の多くは、再生ウールに強度を持たせるために化学繊維をミックスしたものがほとんど。再生カシミヤが入ったこの生地は「MUJI Labo」オリジナル。
極限までそぎ落とされたデザインで過不足ない丁寧な作りは、無印良品の創業当時から貫かれているコンセプト。
「MUJI Labo」は、その名が示すように、レギュラーラインの「無印良品」では使用するのが難しい大量生産できない素材や技術を使いつつ、定番デザインに独自のアレンジを加えるという実験的なモノづくりが貫かれています。
そこまでこだわりながらも価格は良心的。無印良品のウエアに比べるとやや割高ですが、百貨店やセレクトショップの同レベルの服と見比べれば、コスパが高いのが一目瞭然。
今回モデルになっていただいた田中さんは身長168cmでサイズMを着用。筆者の私は170cm、70Kgなのでジャストフィットで着るならサイズS。
MUJI Labo カシミヤ混ジャケット ¥24.900
問/無印良品 https://www.muji.com/jp/ja/store
無印良品 代官山
住所:東京都渋谷区猿楽町24-7
電話番号:03-5422-3250
(注)お電話での在庫の確認やお取り置きは行っておりません。
営業時間/11:00〜19:00
https://www.muji.com/jp/ja/shop/detail/046722
トレンドスナップのまとめはこちら https://asm.asahi.com/knowledge/12060270
Photograph & Text:Yoichi Onishi