バッグ

フジタカのバッグ。
[世界が見ほれる、日本の逸品。]

2024.11.25

伝統を受け継ぐ匠の技と時代性が結実した、ジャパンメイドの最高峰。

日本の逸品1_フジタカのバッグ 400_1
“名巧シリーズ”と呼ばれる最高級ライン「FUJITAKA GALLERY」のブリーフケース。ドイツの名門タンナー製のカーフレザーが、端正なフォル ムを引き立てる。収納スペースを大きく確保するマチ構造や手縫いのハンドルなど、細部にクラフトマンシップが息づく。バッグ[W40×H29 ×D11]¥220,000/フジタカ(FUJITAKA TOKYO 03-3861-6276)、スーツ ¥97,900、ベスト ¥27,940/ともにシップス、シャツ ¥ 36,300/エリコ フォルミコラ、ネクタイ ¥20,350/ステファノ カウ × シップス(すべてシップス 銀座店 03-3564-5547

自由闊達(かったつ)なムードを育む、
創業以来の自社一貫体制

〝メイド・イン・ニッポン〟と「日本製」は、同義ではあるが、そこに内包されるニュアンスはやや異なる。作られた場所を指すのではなく、作り手の気質や技術を含めた賛詞が〝メイド・イン・ニッポン〟であり、世界中から厚い支持を得る理由だ。

1941年の創業以来、日本のものづくりにこだわりつづけるフジタカもそのひとつ。〝ジャパンモダン〟を掲げ、高度な職人技術とデザイナーの感性が融合したプロダクトは、人生を共に楽しむ価値を所有者に提供する。それをかなえるのが、企画、デザインから製造、検品、さらにアフターケアまでを負う自社生産制だ。同じ屋根の下で異なる部署のスタッフが肩を並べることで、品質管理はもちろん、持ち場を越えた対話が、デザインや開発に生かされていく。思いがけないアイデアが生まれる背景には、こうした風通しのいい 環境があることは間違いない。人と人をつなげているのは、自社製品への愛情と自身の仕事への矜きょう持じだ。なかでも屋台骨である職人たちは、「日本かばん技術創作コンクール」や「JAPANLEATHERAWARD」などを受賞した〝匠〟がそろう。彼らは積極的に若手の育成に努め、その知識や 技術はブランドの共有財産として、後進にも受け継がれていく。

※下に本文が続きます

日本の心配りが通底する、
〝メイド・イン・ニッポン〞

作り手の気質が〝メイド・イン・ニッポン〟を形作っているのは、先述したとおり。情緒豊かな四季や多彩な文化が育んだ感性と繊細な心配りもまた「気質」と言えるだろう。フジタカでは、収納機能を設計する際、常にスマートフォンやタブレットの最新機種を手に入れ、使い勝手やサイズ感を確認するという。伝統や歴史に固執せず、アップデートを怠ることはない。細やかな心配りは、独自に製作した裏地にも見て取れる。素材によっては、湿気が多いと色落ちや色移りする恐れがあり、生地が波打ちして表地の風合いやたたずまいに悪影響を及ぼすこともある。そのため、梅雨が長い日本の気候を考慮して、染色堅牢度が高く収縮率の低い糸で織り上げたオリジナルの裏地を採用している。

心配りの矢印が向く先は、何もユーザーに限ったことではない。環境負荷を減らす材料や生産工程の開発を積極的に支援するなど、地球や働く人の問題を解決する活動も行う。

日本の技術、日本の感性、日本の心配り。フジタカが大切にしてきたこだわりは常に更新されつづけている。

日本の逸品1_フジタカの作業風景7 500_8

清掃の行き届いたクリーンな工房から、フジタカのプロダクトが生み出される。工房内には、20代〜70代まで幅広い年代がそろい、常に活気に満ちている。職人はそれぞれ、型紙に沿ってフリーハンドで革を裁断したり、革と芯材を貼り合わせてパーツを成形したりと、工程に沿って作業を進めていく。なかでもミシンを使ったステッチワークは、腕の見せどころ。極めて緻密な作業だが、ミシンを体の一部のように操ってスピーディーに縫い上げる。全員がプロフェッショナルであり、フジタカプライドを胸に切磋琢磨することで技術の向上を目指す。 

「アエラスタイルマガジンVOL.57 AUTUMN / WINTER 2024」より転載

Photograph: Tetsuya Niikura
Styling: Hidetoshi Nakato(TABLE ROCK.STUDIO)
Hair & Make-up: Ken Yoshimura
Text: Tetsuya Sato

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