週末の過ごし方
国家のブランディング戦略に、
日本のカルチャーが武器となる。
2025.04.01

「チームラボボーダレス ジッダ」がオープンしたサウジアラビアは、言わずと知れた産油国であり、イスラム教の三大聖地のうち、メッカ、メディナの2つの聖地を擁する国だ。中東の盟主と言われ、イスラム教の戒律が特に厳しく、国民は厳格な規範に則った生活を送ってきた。
しかし、近年は若年層の増加や脱石油への流れといった世界情勢の変化などに伴い、国内でも社会の変革を求める機運が高まっていた。

そんななか、2016年4月に“活気ある社会”“繁栄する経済”“野心的な国家”をスローガンに掲げた国家成長戦略「サウジビジョン2030」が発足。文化や芸術、スポーツに関する企画や誘致を行う総合娯楽庁も新設された。
2017年にサルマン国王の息子であり、現首相でもあるムハンマド氏が皇太子に任命されると、この戦略の主導者としてさまざまな改革を実行していく。
例えば、2018年には女性のスポーツ観戦や自動車運転が解禁。首都リヤドには35年ぶりに映画館がオープンした。観光政策にも力を入れ、2019年には日本を含む49カ国を対象に観光ビザの発給を開始。90日以内の現地滞在が可能となった。

「チームラボボーダレス ジッダ」も「サウジビジョン2030」のひとつである、芸術文化への貢献を強化することを目的とした展示インフラの開発・育成の一環として実現したものだ。また、個人と家族の生活の質の向上を目指す「クオリティ・オブ・ライフ・プログラム」に沿ったものでもある。
サウジアラビアではほかにもボクシングの井上尚弥選手が政府直轄のプロジェクト「リヤド・シーズン」とスポンサー契約を結んだり、「サウジアニメエキスポ」が開催されたり、さらには漫画『ドラゴンボール』の世界初となるテーマパークの建設も予定されているなど、日本人にも気になる話題が満載だ。2034年にはサッカーワールドカップの開催も決定している。

文化的にも経済的にも開放路線を突き進み、変革の最中にあるサウジアラビア。果たして5年後、10年後、どんな姿に変わっているのか? 今後の動向に注目したい。
Text: Hiroya Ishikawa