週末の過ごし方

もしもシカゴ出張が入ったら? 最新シカゴ街歩き。【前編】

2025.08.28

もしもシカゴ出張が入ったら? 最新シカゴ街歩き。【前編】

海外出張、それはビジネスパーソンの醍醐味(だいごみ)。空港独特の匂いに始まり、車窓からの異国の街並み、ミーティング前の緊張感……どれもが非日常的で、そして仕事終わりに待ち受ける一杯は最高にエキサイティングだ。こちらの「もしも○○出張が入ったら?」では、元・地球の歩き方のトラベルエディターが海外出張の隙間時間に役立つ遊び方を紹介。vol.4の舞台はアメリカのシカゴだ。

季節によっておすすめの過ごし方が百八十度異なる“風の街、シカゴ”

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北緯約41度、日本だと函館市とほぼ同じ緯度に位置するシカゴ。夏は涼しく、冬は厳しい寒さのため、季節によりおすすめの過ごし方が大きく異なる。

ニューヨーク、ロサンゼルスに次いで、アメリカ第3の経済都市シカゴ。マクドナルドやユナイテッド航空など世界的企業の本社が置かれ、金融、産業、交通のハブでもあるため、日本から出張で訪れるビジネスパーソンも多い。

そんなシカゴには、“風の街”という愛称がある。実はこれ、風が強いから付いた名前ではなく、1893年に行われた万博の誘致の際に、シカゴの政治家の発言が「嘘ばかり(full of hot air)」なのを揶揄(やゆ)したものと言われている。ただ、ミシガン湖から吹き付ける風は、夏は心地よく、冬は湖水効果で大雪をもたらすため、結果的にシカゴの気候的特徴を見事に捉えたものになっている。

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高層ビルの谷間を縫うように流れるシカゴ川。リバーウォーク付近は経済・観光の中心でもあり、滞在中必ず一度は訪れたいエリアだ。

夏(6月〜8月)の平均気温は20〜28℃ほどと過ごしやすい一方、冬(12月〜2月)はマイナス20℃に達することもあり、訪れる季節によっておすすめの過ごし方がまるで異なるシカゴ。前編では屋外、後編では屋内のおすすめスポットを紹介していきたい。

まず夏のシカゴで足を運ぶべきなのは、シカゴ川沿いにあるリバーウォークだ。約2kmにわたって歩行者専用の遊歩道が整備され、道沿いにおしゃれなレストランやカフェが集結。テラスやオープンエアの店先には大勢のシカゴ市民が集まり、太陽の下で短い夏を謳歌(おうか)する姿が見られる。

また川沿いには右岸・左岸ともに高層ビルが立ち並び、摩天楼都市・シカゴを実感できるエリアとなっている。シカゴは1871年の「シカゴ大火」により市街地の大半が消失する被害を受けたが、その後の再建計画で耐火性のある街づくりが進められた。そこで脚光を浴びたのが、当時の最新技術、鉄骨構造や高速エレベーターを活用した高層ビルの建設。20世紀初頭に経済発展を遂げたシカゴは、限られた土地にオフィスや住居を合理的に収容する必要もあり、世界初の摩天楼都市として発展し今日に至っている。

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    建築家バードランド・ゴールドバーグによるモダニズム建築の代表作「マリーナシティ(1967年築)」。
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    リバークルーズのおすすめはやはり夜。日没後、ライトアップした摩天楼はとびきりドラマチックだ。

シカゴの高層ビルを手がけた建築家には、「近代建築の父」として知られるルイス・サリヴァンや、シカゴ万博の総指揮者ダニエル・バーナム、「モダニズム建築の巨匠」ミース・ファン・デル・ローエなど、建築ファンならば垂涎ものの名前がずらりと並ぶ。

近代建築の実験場として、個性豊かな高層ビルが次々と建設されたシカゴ。そんな高層建築を効率よく楽しむには、シカゴ川を走るリバークルーズが最適だ。ファーストレディや、ウェンデラツアーシティクルーズなど多くのツアー会社が専門のガイド付きのアーキテクチャーツアーを一日数十本催行しており、所要時間は約75〜90分。空きがあれば当日の申し込みも可能だし、夕方から日没時にかけて出発するツアーもあるので、ひと仕事終えたあとでも参加しやすい。

朝食や仕事後の一杯に、覚えておきたい究極のルーフトップ。

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街の中心、デュセーブル橋(旧ミシガン大通り橋)から眺めるシカゴの街並み。Terrace 16もこの一画にある。

世界を股にかけるビジネスパーソンであれば、出張先でいくつかお気に入りのバーリストは持っておきたい。摩天楼都市・シカゴであれば、眺望のいい高層フロアのルーフトップバーなどはいかがだろうか?

リバークルーズの乗船場からすぐのところにあるホテル、トランプ・インターナショナル・ホテル&タワー・シカゴの16階にある「Terrace 16」は、シカゴのランドマークを一望できるルーフトップバー。高天井の屋内エリアも十分開放感があるが、夏であればおすすめはやはり屋外だ。

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Terrace16からの夜景。足元のシカゴ川には行き交う何隻ものクルーズ船が見える。

正面にミシガン湖へとつながるシカゴ川を見下ろす絶好のロケーション。その左手の時計台があるルネッサンス調の優美な建物は1920年代に建てられたザ・リグレー・ビルディングで、その奥にはネオゴシック様式のシカゴ・トリビューン・タワーの上層部が姿を見せる。シカゴを代表する歴史的建造物をつまみにしながら味わうカクテルはもちろん最高だが、実はこのテラス、平日の朝食、週末のブランチ、そしてランチ・ディナーとオールデイダイニングとしても営業しているので、会食やミーティングに活用してもよいだろう。

テラスだけでも約200名分の座席数があるが、それでも人気スポットなので予約は必須。またドレスコードもあるのでラフすぎる格好は控えよう。

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テラスにはテーブル席のほか、ソファ、そしてファイヤーピットも置かれリラックスした雰囲気に。

タイミングが合えば4大プロスポーツ生観戦。おすすめはやっぱり。

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シカゴ・カブスの本拠地、リグレー・フィールド。MLBのレギュラーシーズン中(3月末〜10月初旬)の出張であれば試合日程をチェックしてみよう。

風の街、摩天楼都市として紹介してきたシカゴ。実はアメリカの4大プロスポーツ、NFL(アメリカンフットボール)・MLB(野球)・NBA(バスケットボール)・NHL(アイスホッケー)のすべてで本拠地シカゴのチームがあるスポーツシティでもある。屋内外、どちらの競技もあることから一年を通じてスポーツ観戦を楽しめ、出張中なにかしらのホームゲームがシカゴで行われている可能性が高い。

もしシーズン中であれば、おすすめしたいのがMLBシカゴ・カブスの試合だ。2025年8月現在、カブスには今永昇太と鈴木誠也が所属しており、応援する楽しみがあるのはもちろん、本拠地となるスタジアム、リグレー・フィールドの雰囲気も抜群。ボストン・レッドソックスのフェンウェイパークに次いでアメリカで2番目に古い歴史ある野球場で、国定歴史建造物にも指定されている。

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    スタジアム外には1998年に亡くなったハリー・ケリー氏を讃える銅像が立つ。
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    リグレー・フィールドはスタジアムツアーも催行。事前にウェブサイトから予約を。

リグレー・フィールドにはいまだに手動のスコアボードが設置されており、外野フェンスにはツタが生い茂るなど、全体的にノスタルジーを感じさせるスタジアムだ。外野フェンスのツタにボールが絡まった場合、野手が申告すると2ベースヒットになるというローカルルールも存在する。またスタジアム外に目を移すと、周辺のいくつかの住宅ビル屋上にも観戦シートが設置されている。これは「リグレー・ルーフトップ」という球団公認のシートで、売上の一部はきちんとカブスに支払われるという。

MLBの名物のひとつに、7回裏になると各スタジアムで歌われる「私を野球に連れてって」があるが、実はこれ、現在のように観客全員で歌うようになったのは、カブスの名物アナウンサー故ハリー・ケリー氏がきっかけ。ハリー氏は実況席から観客も巻き込んで自ら歌い、7回裏のセブンス・イニング・ストレッチの文化を普及させた。そのせいか、リグレー・フィールドでの合唱は、他のスタジアムと比べて1ランクも2ランクもボリュームが大きい。「For it's one, two, three strikes, you're out, at the old ball game」の部分は歌詞を覚えて、ぜひカブスファンと一緒に盛り上がろう。

ただし、リグレー・フィールドは住宅街にあるため、住民との協定でナイトゲームを開催できる試合数が決められている。そのため、平日でもデイゲーム開催が多く、仕事の後だと間に合わない懸念もある。もしMLBのナイトゲームを探すのであれば、シカゴのもうひとつのMLB球団、ホワイトソックスの日程も確認してみよう。

後編に続く[9月4日(木)公開予定]>>

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