週末の過ごし方
一杯のコーヒーが、美しい未来をつくる!
デリシャスネスとサステナビリティを両立した
コーヒーショップ「SAMAA_(サマア)」が三軒茶屋に誕生。
2025.10.15
国際コーヒーの日である2025年10月1日、東京・三軒茶屋にコーヒーショップ「SAMAA_(サマア)」がオープン。築70年以上の長屋を再生した空間で、“一杯のコーヒーが、美しい未来をつくる”という信念のもと、デリシャスネス(おいしさ)とサステナビリティの両立を目指す実験的なカフェが誕生した。素材や生産背景、空間、人との関係性までをひとつの循環と捉え、日常に開かれた選択肢を提案していく。
初店舗となる三軒茶屋店では、日本とインドネシアの文化が交差する新しい価値観を表現。抽出家が監修するコーヒーメニューに加え、インドネシアの伝統飲料「ジャムウ」をアレンジしたドリンクや、「étéco bread(エテコ ブレッド)」が手がける特製ベーグルなどを提供。食・空間・カルチャーを融合させた体験型のコーヒーブランドとして、これまでの常識や業界慣習では両立が難しかった課題を、ラボ的なアプローチで再構築し、「おいしさの未来」が続いていく社会の実現を目指している。
コーヒーを監修するのは、抽出家の藤岡 響(ふじおか ひびき)。石臼やイブリックによる伝統的な抽出から、超音波や減圧蒸留などの化学的手法まで、多様な技術で豆の持ち味を引き出し、香り・味・抽出方法における多様な表現を通じて、豆と水の新たな可能性を提示する。
フードは「étéco bread(エテコ ブレッド)」の梶原 裕(かじわら ゆたか)が監修。主役となるベーグルは、小麦粉(全粒粉)とライ麦、サワー種による密度ある食感が特徴。オーバーナイト中種法を用いた低温・長時間発酵により、風味とうまみを引き出しながら、かみごたえのある仕上がりに。インドネシアの伝統飲料ジャムウをアレンジしたオリジナルドリンクもラインアップし、どのメニューも素材や背景に対する視点を重視し、身体と地球、感覚と思想が共存する設計となっている。
左から:サーモンクリームチーズ ¥1,320、あん焦がしバター ¥770
建築設計は、“直感とプロセスのミクスチャー”をテーマに活動する建築事務所「STUDIO DIG.(スタジオ・ディグ)」が担当。築70年以上の長屋を解体せず、「育てる建築」という視点で改修。骨組みを生かした構造とし、持続可能な建築として再生した。店内にはロングカウンターを設置し、ゲストとスタッフ、文化や価値観が交差する“ひらかれた実験場”としての空間が広がる。
器や家具には、「菅原工芸硝子(すがはらこうげいがらす)」や「SUNGAI Design(スンガイ・デザイン)」などによるアップサイクル素材(廃材や再生プラスチックなど)を用いた製品を採用。ユニフォームには古着や天然染料を活用し、資源と文化の循環を空間全体で体現している。
ロゴデザインは、インドネシアのバンドンを拠点に活動するデザインスタジオ「NUSAÉ(ヌサエ)」のAndi Rahmat(アンディ・ラマット)が手がけた。「SAMAA」という文字そのものではなく、その周囲に浮かぶスペースに着目し、“読みやすさ”ではなく“感じる余白”を重視した設計とすることで、空間やメニューのトーンと呼応しながら、ブランドの思想と世界観を視覚的に表現している。
ブランドの起点には、創設者・村上雄一がインドネシア人のEDGAR HONGGO(エドガー・ホンゴー)との再会を通じて直面した、バリ島の環境課題がある。「感覚的な喜びとサステナビリティは両立できる」という気づきから、「SAMAA_」というブランドは生まれた。今後は、バリ島やジャカルタなどアジア都市部への展開も予定しており、 都市と自然、感性と論理が交差する場としてブランドを育てていく。
SAMAA_
住所:東京都世田谷区上馬1-33-7
営業時間:10:00〜22:00
席数:24席
https://www.instagram.com/samaa_coffee/
掲載した商品はすべて税込み価格です。
取材協力/株式会社サマサマホールディングス
Text:AERA STYLE MAGAZINE