週末の過ごし方

求めやすいプライスと高品質を両立した、
華麗なるイタリアンSUV。

2025.12.26

美しいルックス、優れた性能、高いコストパフォーマンス。それらをインポートカーで同時にかなえるのは夢のような話だが、そんな理想を具現化したSUVがマセラティから登場した。「グレカーレエッセンツァ」だ。

優れた評価で注目を集めるグレカーレの優美さと高品質を保ちながら、吟味された仕様で魅力を凝縮。990万円からというプライスを実現したのがエッセンツァだ。“Essenza”＝「本質」という名を冠した日本限定モデル、エッセンツァの誕生は、ブランドの新たな挑戦と言えそうだ。

グレカーレのエントリーグレードという位置付けだが、それは、マセラティのエントリーモデルでもある。すなわち、イタリアンラグジュアリーがより身近な存在となるという福音なのだ。さっそくテストドライブで体感したその魅力をお伝えしていこう。

まずは、ダイナミックでありながら華麗なエクステリアに注目だ。強さと美しさを兼ね備えたフォルムには、高級ブランドの路面店や一流ホテル、星付きレストランに乗り付けるのにふさわしい上質感が漂う。ボディーのフロントやリアサイドできらめくトライデント（三又の銛）のエンブレムなど、ディテールにも宿るエレガントなたたずまいは、野暮なSUVと一線を画している。

ドアを開けて乗り込んでみれば、グレカーレエッセンツァの気品に満ちたインテリアが出迎えてくれる。レザーのクオリティーを確かめようとすると、その手触り、そしてステッチの美しさに魅了される。シートも理屈抜きで胸が躍るつくりの良さだ。長年、時間を共にすれば、よくできたソファーのようにかけがえのない存在になってくれるに違いない。

またダッシュボードにもステッチが施され、そのラインを眺めているだけで、クラフトマンシップも大切にするマセラティのDNAが、高級車のあるべき姿を乗り手に示してくれる。秀逸な職人技が光るレザーのインテリアは、これがエントリーグレードであることをすぐさま忘れさせてしまう。

ダッシュボードに備わる時計も、マセラティのモデルであることを主張する。高級ウォッチのような三針式の表示をはじめ、カラー液晶でこちらも表示パターンを選択することができるうえ、ケースデザインも秀逸だ。もちろん、センターディスプレイも大型で見やすく、ナビゲーションをはじめ操作性にも優れる。

走りだしてみると、力強さに感心する。2リッター直4ガソリンターボエンジンと電動コンプレッサー（eBooster）、そして48Vマイルドハイブリッドシステムを組み合わせ、低速域からボディーを軽々と引っ張る。2リッターという排気量からは想像できないほどのパワーで、最高速240km/h、0-100km/h加速5.6秒をマークしている。

かといって、力強さだけを追求してはいない。街なかでは控えめなアクセルワークに従う穏やかさだ。全域でコントロールしやすいのは、多くのドライバーに受け入れられるに違いない。トランスミッションは8速で、パドルシフトも備える。

しかも、シチュエーションに合わせて走行モードを切り替えて走ることも可能だ。コンフォートのモードでは、あたかも高級サルーンの乗り心地。街中をこのモードで走れば、快適さに感激するはずだ。GTのモードは、パワフルさと走りのキレにこのクルマの奥深さを痛感するだろう。

さらに、スポーツのモードに切り替えれば、スポーツカーのようなダイナミックさを披露する。ビートの利いた排気サウンドは、名高いチェリストが卓越した弓さばきで奏でる官能的な音色を思い起こさせる。

SUVのキャラクターに加えて、高級サルーン、GTカー、そしてスポーツカーの特性を1台で味わえるパフォーマンスはうれしい限りだ。

高級車のサウンドと言えば、装備したオーディオのできも気になる。このグレカーレエッセンツァに搭載されるのは、イタリアの音の工房、ソナス・ファベールが手がける。まろやかなサウンドで室内を包み込み、長時間、聞いていてもイヤにならない聞き疲れしないクオリティーだ。珠玉のオーディオシステムで、お気に入りのプレイリストをたっぷりと楽しめる。

優れた空調システムに加え、シートヒーターが冬季の快適さを引き上げ、インテリアにほのかな照度で差し色をもたらしてくれるアンビエントライトも備える。もちろん、助手席に加え、リアシートにもゆとりのあるパッケージングだから、前後席で心地のいい優雅な時間を過ごせる。

フルプレミアムレザーの仕立てをはじめクラフトマンシップにあふれるインテリア、大人の審美眼にかなう華麗なルックス、そしてどんなシチュエーションでも満足度を高めてくれる走りの良さ。これらが高次元で融合されるクオリティーは、111年という歴史を誇りイタリアのクルマ文化を継承してきた名門マセラティのDNAがなせる業だろう。