週末の過ごし方
満足度100点! 伝説の冷たい肉そば一本勝負。
冬でも行列のできる立ち食い蕎麦屋『港屋2』@大手町
2026.03.10
早くて、安い。おまけに、ウマい。一見の価値あり、もとい“食”の価値がある都内の立ち食い蕎麦屋を紹介する連載。第3回は、「冷たい肉そば」に冬でも行列のできる『港屋2』。虎ノ門で人気を博し、今や伝説となった元祖『港屋』の味を継承する一杯を、大手町で食べられるってホント?
「冷たい肉そば」一本勝負。
伝説の一杯を忠実に再現。
かつて虎ノ門で話題を呼んだ立ち食い蕎麦の名店『港屋』。太くしっかりとした歯ごたえの麺に、たっぷりの豚肉とネギ、刻み海苔を添え、辛味調味料が利いたつけ汁で味わう。名物の「冷たい肉そば」に魅了された人々が生んだ、通称“港屋系”と呼ばれる蕎麦屋が、都内を中心に次々と誕生した。
しかし、今から約6年前、本店は惜しまれつつ閉店。系列店も次々と幕を下ろすなか、その味を引き継ぐ唯一の店舗が、東京・大手町の日本旅館『星のや東京』の一部かのようにたたずんでいる。その店の名は『港屋2』。メニューは元祖の一杯を忠実に再現する「冷たい肉そば」のみ。その潔さを支える要素のひとつが、まず麺にある。
麺は『港屋』御用達の製麺所による特注品で、たっぷりの湯で豪快にゆで上げ、冷水で一気に締めてから丼へと盛り付ける。製麺からゆで時間に至るまで、その日の温度や湿度に合わせて細かに微調整。作り手の“勘”が、かむほどに広がる絶妙な歯ごたえと豊かな香りを生み出すのだ。
蕎麦の上に盛られる具材も、元祖と同じ。ほんのり甘い豚バラ肉は、つけ汁でさっと煮たもの。たっぷりの薬味と共に甘辛いつけ汁にダイブさせて蕎麦をすすると、後から追いかける辛味調味料の刺激が食欲をかき立て、箸が止まらなくなる。別付けされた生卵をつけ汁に溶かせば、辛みと甘みが絶妙に調和してまろやかに。大ボリュームの一杯だが、気が付くと完食している。この蕎麦に惚れたファンの一人が、実は『星のや東京』を運営する「星野リゾート」の役員だった。
「ウマい!」から始まった、
『港屋』と『星野リゾート』のロマンス。
『港屋』と『星のリゾート』を引き合わせたのは、「星野リゾート」の役員だった。プライベートで店に訪れたのがきっかけ。立ち食い蕎麦屋とは思えないクオリティーとオーナーのそばへの熱意に感銘を受け、オーナーに技術とレシピの伝授をお願い。その結果、2016年のオープン当初から、作り手を「星野リゾート」の社員が担ってきた。現在の店主、望月さんは、店を任されて3年目だ。
「自ら名乗り出て、ご縁をいただきました。もしかすると、私がいちばん、この蕎麦のトリコかもしれません(笑)」
営業時間はランチタイムのみ。目立った看板やのぼりはなく、外から店内の様子も見えにくい。目印は、店前にできる長蛇の列だ。その列に身を委ね、店の中へと進もう。
湊屋2
住所/東京都千代田区大手町1-9-1 星のや東京 外
電話/非公表
営業/平日:11:30〜14:30(売り切れ次第閉店)
定休日/土・日・祝
Photograph: Shohei Ishida(Blue-ly)
Edit & Text: Ryuto Seno