スーツ
父親ならではの貫録、脇に徹する品格。
ネイビーダブルスーツでいいとこ取り
2026.03.11
子どもの卒業式に何を着るか。毎日のビジネスウエアを流用するのも芸がない。そこでおすすめするのがダブルのスーツだ。大人の男だからこそ見せたい、かつ偉ぶらない着こなしのノウハウを解説。
ジャケットの合わせにはシングルとダブルがある。ダブルのほうが威厳を感じさせるが、これはあながち間違いではない。シングルが貴族の礼服から始まったのに比べ、ダブルは海軍の軍服がバックボーン。同じく海軍発祥のPコートと同様、海上での風を防ぐため、左右どちらからもボタンをかけられるようにしたのが始まりだった。
それが一般のジャケットにも採り入れられたが、海ほど風向きにこだわる必要はないことから、紳士服のルールに則って左前に固定された。最近ではボタンを外してカジュアルに着られるダブルも人気だが、ミリタリー由来ということを考えれば、人生経験のあるミドル以上の男性にふさわしいジャケットと言える。
仕事で着るには仰々しいと感じるせいか、ダブルに苦手意識を持つ人も多いだろう。でも、着こなしから考えると意外にメリットはある。
ひとつは大きめのラペル(襟)。ピークドラペルと呼ばれる下襟が上斜めに突き出すようになった形状になっており、胸元をグラマラスに見せてくれる。小顔効果とまで言えるかどうかは微妙だが、胸元を強調してたくましさを感じさせるのは確か。上半身にポイントを持ってくることで、脚を長く見せる効果がある。またお腹まわりが気になる人にとっても、シングルに比べてウエストに余裕があるのはありがたいはず。
気を付けたいのは色合いと柄。明るい色は膨張して見えるため、過剰にかっぷくよくなるのは今ひとつサマにならない。特に卒業式はあくまで子どもが主役。結婚式で新郎新婦以上に目立たないようにするのと同じく、脇役に徹するならベーシックな色がベスト。間違っても太めのストライプが入った昭和チックなデザインは避けたいところ。無地、もしくは遠目で無地に見えるピンストライプやシャドウチェックにとどめたい。
写真のスーツは王道のネイビー。節度と品格を保ちながら、フレッシュに見せる効果がある。合わせは4つボタンと6つボタンが定番だが、Vゾーンをコンパクトに見せる後者をセレクトした。ネクタイのペイズリーも同系色を選べば、華美すぎるアクセントには見えない。またゴージライン(上襟と下襟の縫い目)が比較的低い位置にあり、ウエストを絞りすぎないシルエットになっている。それでもバブル期にはやったソフトスーツのような肩パッドがっちりの仕立てではないから、それなりにスマートな印象になるはず。さらにチーフはスクエア状のTVホールド。ポケットの横ラインと平行になった白が清潔感を醸し出す。
息子を引き立てつつ、貫録と若々しさを演出。ネイビーのダブルスーツは使える一着だ。
Photograph: Ryohei Oizumi
Styling: Hidetoshi Nakato(TABLE ROCK.STUDIO)
Text: Mitsuhide Sako(KATANA)