週末の過ごし方

サステナビリティで未来とつながる
ラグジュアリーホテルブランド、ついに日本初進出
【センスの因数分解】

2026.08.18

サステナビリティで未来とつながる<br>ラグジュアリーホテルブランド、ついに日本初進出<br>【センスの因数分解】
ホテルのプール内にも豊かな植栽が。ほかにスパやハマムというスチームバスなども完備。

“智に働けば角が立つ”と漱石先生は言うけれど、智や知がなければこの世は空虚。いま知っておきたいアレコレをちょっと知的に因数分解。

ホテルブランドを知りました。世界で初の「サステナビリティ」を第一に掲げたラグジュアリーホテル。1 Hotelsです。

客室デザインはシンプル。しかしアメニティは英国の高級オーガニックライフスタイルブランドのバンフォードを採用。エントランスだけでなく全客室に豊かな植栽がされ、プロがグリーンメンテナンスを行っていました。一方でグラスはワインボトルからのアップサイクルで、客室にはペットボトルはありません。その代わり浄水システムが完備されていました。心地よさには妥協はしない、けれど環境へのダメージも徹底して避けようとするホテルの意思が感じられました。

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    全211室ある客室のエントランスには、すべて苔の植栽があり、ゲストの目を癒やす。
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    客室には3層のウォータートリートメントシステムが装備されている。

そしてこの3月、1 Hotelsブランドがとうとう日本に誕生。1Hotel Tokyoは、日本のみならずアジア初進出となります。

「私たちのホテルは、創業者バリー・スタンリヒトの地球は美しいものであるからこそ、私たちはそれを美しいままに保ちたいという思いから生まれています。ですからまず第一にサステナビリティが重要となるのです」と話すのは、1 Hotel Tokyoの小南正仁総支配人。このホテルはまず地球への敬意という思想から、スタートさせているのです。

「サステナビリティの意識については、ヨーロッパが先行し、その後にアメリカに移行し、そして日本へと続いてきました。この時間差は、平均するとヨーロッパからアメリカ、そしてアメリカから日本へ、それぞれ約10年の遅れがあるという見方ができると思います。そんななか、2015年に1 Hotelsの第1号が誕生しました」

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バスルームにはバンフォードのアメニティ。シャワー隣にある砂時計は全身を洗う目安に。

まだ世界でサステナビリティを掲げるホテルがなかった時代から、1 Hotelsでは誕生からその遂行に着手。マーケティングや戦略ではなく思想から導き出した道であるからこそ、ピンポイントではなく、ホテル運営の首尾にわたり一貫した姿勢となっています。

「たとえば都市にいながらにして自然との対話や触れ合いをラグジュアリーな環境の中で実現できることが、私たちのブランドの大きな個性と言えると思います。

ひとつの例がバイオフィリックデザインの導入です。これは人間が自然を求めるのは、本能的な欲求であるということを重視し、外にある自然の要素を内部へと取り入れる設計のことで、企業などでも採用されています。私たちも設計デザインの段階から、自然の要素を取り入れひとつずつ大切にすることに注力してきました。

さらにプロダクトや設備などを通じて、自然との共存の実現を目指しています。またそれぞれの客室の中に“1 Less Thing”と書かれた木の板があります。これはお客さまがチェックアウトされる際に、ご自身の服で程度の良いものを一つ二つ置いていきませんかという提案です。そうすることによって、私たちがお客さまの代わりに本当に必要としている人たちに寄付をさせていただきます。

そういった形で、自分のためにホテルへ来て滞在を楽しんでいることが、実は誰かのために役立っている。それがお客さまにも伝わる仕組みになっています」

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アースカラーを主体とした客室。大きく切り取られた窓から、東京の絶景を一望できる。

植栽やオーガニックアメニティ、浄水システムなどのインテリアや設備だけでなく、小さなきっかけを呼びかけることで、自然を感じる快適さや共生というホテルのメッセージを届けているのです。

ホスピタリティに関しても、1Hotelsらしい個性が感じられます。

「私たちは、ホテルの世界観をひとりひとりが深く理解し、誰もがそれを語れるよう学びの機会を持っています。世界基準のラグジュアリーホテルサービスの上に、独自の指標を設定しており、それをグッドネイチャーサービスGNS)と呼んでいます」

高級ホテルに求められるサービスレベルをクリアし、さらにその上にサステナビリティを信条にしながら、よりパーソナルなサービスの提供を目指す……それをGNSといって掲げているのです。

1 HotelsGNSは、ゲストが快適に過ごすには何がベストか自発的に働きかけます。それもまた、ブランドが考える「地球の美しさを保ちたい」という共存共栄の理念に通じているのでしょう。

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ラウンジのアクセントもグリーンと、窓からの景色。隣のレストランはフレンチリビエラがコンセプトだ。

「こんなエピソードがありました。まだ開業前に滞在していた、社内のお客さまがカプチーノをオーダーしたんです。そのときミルクの泡の上にハートを描いたのですが、お客さまがバリスタにとても上手だけれど、これはどうやって作ったの?と尋ねました。彼は『I madeit with love(愛を込めて作りました)』と答えたんです。これはサービスのスタンダードには書けませんし、教えられるものでもありませんが、このようなGNSを目指しています」

自分の心地よさとは、自分だけが良ければいいとは違う。書いてしまえばあたりまえのことも実現が難しい今、ラグジュアリーホテルながら共に豊かになることを目指す1 Hotelsブランド。ここに滞在する心地よさは、未来へつながっているのではないでしょうか。

1 Hotel Tokyo
東京都港区赤坂2-17-22

「アエラスタイルマガジンVOL.60 SPRING/SUMMER 2026」より転載

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